◆言語野の手前の「読字障害」・・・

あかちゃんが見る見るうちに言語能力を開花させていく姿は感動的ですが、言語能力の獲得には思わぬ落とし穴があるとのこと・・・少し前の話になりますが,NHKのドキュメンタリー番組で「読字障害」の話が紹介されていました。

http://http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20081012

一般的な知的能力は並みの人以上に高いのに文字を読むことだけが極端に苦手な人たちが西欧では10人に一人,日本では20人で一人の割合でおられるとのこと。番組の中では日本の若い建築デザイナーと米国の恐竜学者の例が紹介されていましたが,Wikiで調べると著名な芸術家や政治家、学者と山のようにおられるんですよね。
「読字障害」のひとは読字はほとんど拾い読みに近いのですが、まるでそれを補うかのようにそれ以外の知的能力が極めて高く、特に図形や空間の把握能力に優れているとのこと。

人類にとって音声による言語能力は数十万年の歴史を持ち脳内にはそれに伴って進化した言語野の機能を持つが,文字による言語能力はほんの数千年前に獲得し始めた機能・・・そのため脳内では文字を視覚から取り入れ古くからある別目的の機能を流用することで音声に変換し,従来の言語認識の回路に横から合流させるといったやりくりで言語処理をしている・・・ところが一部の人はその音声への変換部が十分ではないとのこと。

音声による言語処理とは異なり文字による言語処理は人類が進化の歴史の中では新しく獲得した機能であり、脳内の準備が完全ではないことによるのだと・・・
だとすると「読字機能」以外でも新しく要求されだした機能ではそこだけポッカリと穴があいたように欠けている人は結構あちらこちらにいるんじゃないか・・・などということが気になり始めました。


◆たとえばビジネスの才能なども・・・

早い話が企業が社員に求めるビジネスの才能などもそうなのかもしれません。

このブログでも別掲記事で話題にしているのですが、ギャラップ社によるとこの才能とは “かかわり合う、影響を与える、努力する、考える”の四つに大別される全34項目にまとめられていて・・・こうしたものは15才ぐらいまでの間に脳内ニューロンに組み込まれた性向といったものであり、訓練で高められるスキルとは違うものなのだと・・・

“訓練で高められるスキルではない”と言われると、34項目もある中では幾つもが欠落していそうな私などは“どうすればいいの?”と思ってしまいますが・・・
数千年の歴史を持つ文字認識機能でさえ一部の人にはその脳内機能が不十分な方がおられるというのなら、せいぜいこの百年程度で言われ始めたに違いない企業人に望まれる機能などというものには十分な脳機能の準備がない人がいても不思議ではないのかもしれませんよね。

とはいうものの・・・普通の人には当たり前の機能で極端な弱点を抱えて生きていくのは大変なこと。文字が読めない子供やスキルセットがそろわない会社員はたいていの場合はやる気がないと解されるか劣等生扱いされて終わってしまう。

「読字障害」によらずこうした研究が進み、人の脳機能には時として思わぬところに落とし穴があること、でも人の能力は多機能であり、落とし穴を補って余りあるところまで別機能で才能を開花させることは可能だといった理解が進むのはいいことですよね。(2008.12.21)
by c_mann3 | 2012-02-18 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
<< ◆難しい計算より難しい簡単な計... ◆発達アンバランス症候群・・・ >>