◆素朴心理学は消去される・・・??

素朴心理学という言葉があるようですね。

前掲の本、「心の哲学」人間篇でも触れられているのですが・・・素朴心理学(folk psychology の訳語だとか)はどうやら学としての根拠が曖昧な心理学を指すようで、いずれ科学的な根拠を持つ心理学に取って代わられ消去される・・・これが“素朴心理学に対する消去主義”という立場だとか。

ただこの言葉、インターネット検索などでみているといろんな使われ方をしているようで・・・どういうポジションの人が何を指して言うかでニュアンスが変わりちょっと怪しい感じがなくもない。

素朴心理学というのはちょっと乱暴に例えると・・・

まっとうな(西欧的な)医学に対する民間療法や祈祷療法ってとこでしょうか。たしかに高度に発達した西欧型医療の前に先進国では祈祷療法は消去された。そして民間療法やおばあちゃんの知恵袋的なものもかなりの部分、影を潜めている。でも民間療法としてくくられる中には数千年の歴史を持つ漢方のようなものもあり・・・漢方が消去されるかどうかはその社会の文化や思想次第ですよね。

で、心理学の話に戻りますと・・・

西欧由来の分析心理学などの一応学として扱われている心理学の立場から、占いもどきの心理学は素朴心理学であり消去抹殺されるべきというあたりまではいいのですが・・・
“科学的心理学とは脳科学や認知科学で裏付けられるもの”といった立場をとる人から見るとさしずめユングなどは素朴心理学に分類されかねない。で、脳科学や認知科学が発達するといずれ消去されるということになる・・・

だったら漢方は消え、ユングもお役ごめんの時代が来るのかということなのですが・・・
例えば脳科学が発達し、喜怒哀楽がニューロンのもつれ具合や神経伝達物質で説明できたとしてもそれは物理現象としての喜怒哀楽であって、その喜怒哀楽の中身やテーマを特定することにはなりそうにない。
悩んでいるとき増量される神経伝達物質は特定されたとしても失恋の悩みと仕事の悩みを区別する神経伝達物質が発見されるなどとは思いにくいですよね。

“こころ”というターゲットはとにかく広くて深い。脳科学や認知科学からは昨日も今日も目からうろこのような新しい知見が提示されてはいても、広くて深いこころの領域の中では今のところ限られた領域での話であり、縦横無尽に心を表現するユングなどに比べると未だ説明能力不足。

ユングの圧倒的な表現力は人がこころをもてあましながら生きていく以上、永遠に優位なのかもしれません。(2008.12.31)
by c_mann3 | 2012-06-06 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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