◆「ビジネス・インサイト」・・・

これぞまさに暗黙知の世界といった本が出ています。
題して「ビジネス・インサイト」、石井淳蔵(流通科学大学長)著。岩波新書の1183です。

強み伝いの経営は破綻する。会社は跳ばなければならない。形式知による実証的な手順では強み伝いの道しか歩めず、その先には消滅がまっている。

といった恐ろしいフレーズから始まる本なのですが、新たな価値を求めて跳ぶためには知の隠れた力、ポランニーのいう暗黙知の活用が必要であると。

それは・・・
▼独自の課題を嗅ぎ取り、その背後に潜む構図を感じ取って、
▼十分な検証はできなくともその妥当性や確からしさを確信し、
▼それは、努力が傾注されるに見合う価値ある何かであることを信じて邁進する世界である。

暗黙知とは単に言語化されていない知識といったものではなく、もっとダイナミックなプロセスである。
対象に対して距離をとり客観性を確保するのではなく、対象の中に棲み込んでいくことでのみ暗黙知は作動し始めるとのこと。

また、製品はそれ自体が価値をもつわけではない。当初の目的からは思いもよらなかった市場で花開いた制振鋼板を例にとり、価値は市場とのコミュニケーションの中から芽生えてくるものであり、マーケティングとは市場とともに姿を変える価値創出のコミュニケーションプロセスなのだとも。

キットカット、セブンイレブンのコンビニ、宅急便、スーパーのダイエー・・・こうした事例で解説が進み読みやすくて迫力のある一冊です。

▼内なる確信・・・
それにしても暗黙知の話では常に“内なる確信”といったものが重要な原動力になっているんですよね。データもそろわず、まわりの賛同もそろわない中での確信。

この確信が推進エネルギーとして必須でありながら、実はこの確信の良否が成果の良否を決める。
いま固まりつつある“内なる確信”が思い込みでも固執でもなく、未来を切り開く良質な確信であると確信するよりどころ・・・それがポイントなのでしょうが、難しいですよね。まずは少しでも直感の質を高める・・・そんな記事が別掲にも。(2009.6.28)
by C_MANN3 | 2009-08-16 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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