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◆経済学もいろいろ・・・「経済物理学」

いくつか上(にスクロール)の記事で“心理学もいろいろ・・・”などといった話を書いていたのですが、経済学も負けず劣らずいろいろのようです。

進化経済学、行動経済学・・・そしてさらに先週の日経新聞(11/4~6)では「経済物理学」などといった聞きなれない学問の紹介記事が連載されていました。それが面白かったので思わず本屋に飛び込んで買ってしまったのですが・・・

題して「経済物理学の発見」。高安秀樹(ソニーコンピュータサイエンス研究所)著、光文社新書167、これがまた新鮮でした。

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“物の値段は需要と供給の交点で均衡する”と言うのは幻想。均衡点などと言うから静かな安定点といったイメージを持ってしまうが、このポイントは実は需要過剰と供給過剰が入り混じって激しく揺れ動く臨界点。
たとえて言うと水から気体に相転移する臨界点(沸点)は温度としては多少温めても冷ましても100℃を維持する安定点のようでいて、実は大小の気泡が生起消滅し、音を立てやかんを揺さぶるカオスの状態であり、時には飛び散る飛沫で大火傷をこうむることさえあるんですよね。

ネット上で数秒から数十秒に一回の取引が無制限に繰り返される為替や商品相場のディーリングルームではこのカオスの性質が強く出るとのこと。

経済物理学では数秒に一回発生する為替取引の生データを何百万個も集めて数値解析し、物理学のモデルを当てはめたシミュレーションなどとつき合わせてその瞬間に起こっていることの特徴を抽出していく。
そこには“波に乗っかる順張り”や“凪いでいる時の模様眺め”といった人間に共通の癖があり、それが原因でいつも小さな暴騰、急落を繰り返している。しかもその発生分布が正規分布ではなく、ベキ乗分布であるため、しばしばとんでもない暴騰や急落が発生するがそれを止める力はどこからも働かないのだと・・・

為替相場はともかく、仕事がら昨年以来の重油相場の乱高下に一喜一憂している私などは思わず納得してしまう、おもしろい本でした。(2009.11.10)
by c_mann3 | 2012-10-06 00:00 | Comments(0)
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