◆環境が誘発するDNAの発現・・・

進化は突然変異などという不確かなものに頼って起こるのではない。形質の変化は環境の激変により物理法則にのっとってあっという間に起こる・・・
前掲の本、西原克成さんの「追いつめられた進化論」では、陸に上がった魚は20倍に増えた酸素濃度と6倍に増えた重力の作用で形質を変えたとありましたが、それを髣髴とさせるテレビ番組がありました。

▼重力が変える・・・

NHKの“サイエンスZERO”、「踏み出せ!宇宙農業への第一歩」で紹介されていたのですが・・・シロイヌナズナを遠心力を使って過重力で育てる。あるいは宇宙船の中で無重力で育てる。
すると同じ種子から発芽させていても、まったく異なる形に成長するんですよね。過重力の環境に置くとほんの一日でリグニンが増えるといった変化がおこり、これにより細胞壁が強固になり花が咲きにくくなる。そして逆に無重力の環境ではまるで開放されたように枝葉を広げ、すくすくと伸びる。
なんとシロイヌナズナの全遺伝子26000個の中で600個はその発現量が重力の影響を受けることがわかってきたとのことですが、これはその昔、浮力の働く水中で生育していたころから名残なのだと。


▼酸素濃度が変える・・・

こちらは立花隆さんの“NHKスペシャル”、「がん、生と死の謎に挑む」での話。
大きく成長したがん細胞の固まり・・・その中央部では血管も損なわれて酸欠の状態。普通なら細胞はがん細胞もろとも死に絶えるはずがFIF-1という物質が活動し始め低酸素でも生き残り、しかも浸潤し易い細胞に変質する。

これは酸素の供給が乏しい初期の胎児が生き延びるため、もっと遡れば海と陸の間を行き来していたころからDNAが持っていた機能がFIF-1の刺激で発現したもの。このFIF-1は酸素センサーとしても働き、100以上のほかの遺伝子の発現に影響するとか。FIF-1が活動できない状態にしたマウスの胎児はいろんな器官を生み出していくことができず死に絶えるとのことなんですよね。

重力や酸素濃度などの環境変化で思わぬ発現をするDNA。そういえば・・・南米の荒地が原産のトマトは極端に節水して育てるとDNAが持つ祖先の記憶がよみがえり、きわめて糖度の高いトマトとして成長するといった話も。どうやらDNAが内包する記憶の奥深さと、それが発現する可能性には計り知れないものがあるようです。(2010.3.12)
by c_mann3 | 2012-08-16 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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