【2010.4.28記】 久しぶりにユングの本を読んでいます。題して「転移の心理学」、ユング著、林道義さん訳。林さんの翻訳のせいなのでしょうか、意外に読みやすく、文章もリズミカルです。
精神療法の現場では分析医と患者の間でしばしば転移現象が起こる。フロイトはこの現象をできれば避けるべきものとして扱っていたようですが、ユングはこれを錬金術になぞらえ、人が個性化していくための重要なプロセスなのだと・・・ そしてこのプロセスを錬金術師たちがよりどころにしてきた「哲学者の薔薇園」と称する10枚の挿絵に従って解説していくのですが・・・ ①変容の場、舞台の構成それにしても・・・「結合」が10段階の中では5段目。もう少し大詰めの終盤で出てくるものだと思っていたのですが・・・この段階が《黒》の状態に対応しているとなると話はやっとここから始まるということのようです。 10段階のプロセスを経て自己を確立する・・・読んでいてふと大乗仏教の悟りに至るプロセスを描いた十牛図を思い出してしまいました。これも10枚の絵で構成されているんですよね。 ◆無意識はそっとしておくのが一番・・・ ところでこの本の中におもしろいフレーズが出てきます。 >無意識の分析は外科手術のようなもの。メスを握るのは他に方法がないときだけにすべきである。 >無意識はそれが盛んに働きかけてくるのでなければ、そっとしておくのが一番よい。 これって・・・さんざん無意識を掘り起こしているユングの言葉とは思えない? いや、だからこそ出てくる言葉なのでしょうか。案外じっくり味わうべきフレーズなのかもしれませんね。(2010.4.28)
by c_mann3
| 2007-08-14 00:00
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