◆中空構造日本の深層・・・

以前から気になっていた河合隼雄さんの本、「中空構造日本の深層」を読んでいます。もともとは中央公論から1982年に出版された著作のようなのですが、新聞の書評欄で目にした「中空構造」といったタイトルが気になっていながら読む機会がないままでした。

実はこの話、ここのひとつ上(にスクロールしたところ)の記事で紹介している山本七平さんの本、「日本人と組織」とイメージが重なります。

山本さんの本はユダヤやキリスト圏の歴史から組織や社会の構造を解き明かす中で“西欧は契約に基づく中心軸統制組織”、対して日本は“円環的枠組組織”といった話が出てきます。

一方河合さんの本では古事記といった神話の研究から日本人の意識構造を分析し、西欧の中央統制的な父権社会とは異なる日本の構造を中空構造と名づけています。
この中空構造論では中央に権威は置いても権力は置かない。そこに働くのは統制による切り分けと排除ではなく、調整とバランスだと。そして対立するものも一時的にどちらかが強くなっても必ずゆり戻しが起こる。

本来この中空部にはエネルギーが充満しているはずのものなのに、現代の日本を見ているとこの中空部が本当に空虚になってしまっている。
中空部がうつろになると危険。うつろになると決まってそこに父権的なものを持ち込もうとする人が出てくるが結局は西欧の父権的なものとは異質なまやかしものになりやすいのだと。

そうしたことを避け西欧には無い中空構造の特質を生かしていくためには、日本人自身がそれを言語化、意識化することが必要。もともと空で非言語的な世界を言葉で表現し論理付けることは困難な作業ではあるが、もしそれを訳したならば西欧にも理解してもらえるレベルにまで磨き上げる努力を重ねるべきなのだとのことなのですが・・・

とにかく、河合さんと山本七平さんではアプローチも題材も違うはずなのに結果は妙にオーバーラップします。

それにしても益々うつろな中空構造になっている感じがする最近の日本・・・そんな中でこの二冊の本を行きつ戻りつしながら読んでいるといろんなことを思ってしまいますよね。(2010.5.15)


【2015.1.26追記】 ◆突然この記事にアクセスが急増!?・・・

実はこのブログのアクセスが先1/3に突然急増。なんだ?!と思って調べるとこの記事にアクセスが集中していました。
どうやらその前日の1/2の深夜にNHKで放映された「100分de日本人論」の中で、河合さんの本“中空構造日本の深層”が取り上げられたことがきっかけようです。
アクセスはその後も尾を引くように続き、1/24の深夜に再放送があった時点でまた急増・・・1/3以降のこの記事へのページアクセスは既に200件を超えました。

この番組の登場者はそれぞれが一冊の本を抱えた中沢新一さん、松岡正剛さん、斉藤環さん、赤坂真理さんと超豪華メンバー。それにしても放映が終わると視聴者を一斉にネット検索に駆り立てるとは・・・さすがNHKなのか、出演者の魅力なのか、はたまた河合さんの人気なのか・・・いずれにしてもすごいパワーです。番組の詳細はこちらに・・・

http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/2015special/index.html


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by c_mann3 | 2010-06-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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