◆人類や生命の単一起源説・・・

前掲の本「人類進化の700万年」のもうひとつのポイントは“単一起源説”なのでしょうが、実はこの“単一起源説”、何年か前に初めて接したときはちょっとしたショックでした。

以下、生命の進化と文明の進化(発達)を同一視して話をするのは気が引けなくもないのですが・・・

現生人類には共通の祖先があり、それはアフリカから始まったと。で、あちらこちらで発見されていたネアンデルタール人や北京原人は勢力を確保できないまま消滅していったとのこと。化石からもDNAからも証拠付けられるこの説に異論は唱えにくいのですが・・・生命進化では単一起源説が有力といわれると、生命の進化論を文明や文化の進化にも重ねたがる私のようなものにとっては、ちょっと心情的に引っかかるものがあるんですよね。

関孝和がニュートンやライプニッツに先駆けて微分や積分の概念に到達していたといった話がありますよね。あるいは発明や発見がまったく交流の無いあちらこちらでほぼ同時に生まれ、特許出願が一日違いだったといった話もある。
こうした話に感動しやすい技術系の私などは、発明や進化というものは環境や状況(ニーズ)、発達段階といったステージが似ていれば、相前後してあちらこちらで類似のものが花開くなどと思っていることもあり、人類の起源もあちらこちらで発見される原人がその地域での起点だとする「多地域進化説」を素朴に信じていたんですよね。

技術開発でも「多地域進化説」なら、他国や他社の動向を気にしなくても勝手に想像力を膨らませて、その筋さえよければ同等の価値を持ったものが独自に生み出せて並存できるというわけです。

他にも疑問はいろいろ・・・メソポタミア、中国、マヤ・・・数千年前に世界の各地の古代文明で天文学をベースにした正確な暦ができていますよね。これって同じ星を眺めていれば同じ結論に至るといった多地域起源?それともアフリカ起源の人たちが世界に散る過程のどこかで既に天文学に近いこと知っていた単一起源?あるいはシルクロードさえなかったはるか昔にアジアの西と南米の間では既に交流があり、実は単なる文化の伝播と模倣の構図たったということなのでしょうか・・・?


もっとも心情的に引っかかったのは私だけじゃなく、中国の学者の方にも少なくなかったとか・・・
火薬、ロケット、印刷技術、あらゆる文明の発祥の地と自認する中国としては祖先は自前の北京原人であってほしいですよね。ですがその思いの出口を塞ぐかのように・・・仮に北京原人が祖先だったとしても実は北京原人もネアンデルタール人もアフリカが発祥の地で第一陣として180万年前にアフリカを出て世界に広がったもの。その後それを追っかけて10万年前にアフリカを出発した第2陣の現生人類に取って代わられたのだと・・・
これでは遡っても遡ってもアフリカ発の単一起源の波状攻撃といった感じで、中国の学者も浮かばれないですよね。

◆さらに枠を広げて生命の起源の話となると・・・

これはNHKのTV番組「進化の木、人の起源に迫る」で紹介されていた話なのですが、地球上のすべての生命は辿っていくと共通の祖先LUCAに行き着くとか。
このLUCAを起点にした生命の共通項はACGT四つの塩基からなるDNAと20種類のアミノ酸からなるたんぱく質で構成されていて、35億年をかけて分岐を続け現在その仲間は5千万種とも一億種とも。
もっともその殆どは古細菌、バクテリアといった細菌類が占めていて今もなお新しいものが生まれ(枝分かれ)、行き詰まったものは絶滅していると。
となるとここでも単一起源説になってしまうんですよね。もっともこの番組の解説ではLUCAが出現した時代に存在していたのはLUCAだけじゃなかったと・・・だとすると単一起源ではなく単一生き残り?

こうしたネタをもとに勝手な思いをめぐらせながら、無理やりまとめてしまうと進化の歴史というものは・・・
  ①まずは単一起源でスタートしたとしても
  ②それがいろんな環境の地域に拡散し
  ③それぞれの場所で多地域進化を進め
   (この間、中立変異も蓄積され続ける)
  ④やがて訪れる極端な環境変化か競争淘汰で単一生き残りとなる

そしてこの④が次の単一起源となって新たな色で世界を塗り替えるといったことが繰り返えされるといったことなのでしょうか。ただ現生人類の単一起源説では新たな①は④の中からではなく、再び外部から入ってくるということに・・・繰り返し繰り返し新たなグローバルスタンダードを発信し続けた当時のアフリカっていったいどんな世界だったのでしょうか・・・(2010.7.20)

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by c_mann3 | 2012-08-10 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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