◆野生の思考、ブリコルール・・・

ひとつ上(にスクロールしたところ)で取り上げた本「日本辺境論」でブリコルールといった耳慣れない話が紹介されていて、それはレヴィ=ストロースの「野生の思考」に出てくる概念なのだと・・・で、結局レヴィ=ストロース著、「野生の思考」(みすず書房、1976)を拾い読みすることになりました。

“野生の思考”、 変なタイトルですがその反対は“栽培された(工業化され効率化された)思考”だと言われてなるほどと納得。

この思考方式は、文化人類学者レヴィ=ストロースが世界各地の未開の人たちの思考を調査するなかで浮かび上がってきたものなのですが、それは近代的な科学的思考に対して未発達とか未開などと位置付けられるようなものではなく、それと同格で対を成し人間が本来持っているもうひとつの思考方式なのだと。

この思考を特徴づけるのがブリコルール(器用仕事をする人)ということなのですが・・・そのポイントはありあわせの材料や知識をベースに手探りで目的を達成していくというもの。
それに長けた人は日頃から“もしかしたら役に立つかもしれない”といった姿勢で残り物の材料や断片的な知識を独自の整理法でストックしていてそれを巧妙に活用していく。
事前に目的が決められ、設計され、無駄なく材料をそろえて論理的、効率的にことを成すアプローチとは対極にあるもの。

そう言われてみると、この思考方式は実はわれわれの周りにも(なぜか蔑まれながら)潜んでいそうですよね。

たとえば科学と技術といった対比をすると技術の領域では“野生の思考”の成分が強い。技術開発の現場でも量産品開発とエンジニアリングといった対比をするとエンジニアリングは“野生の思考”の成分が強い。

科学者と違って技術者はきっと“野生の思考”に長けていないと仕事にならない・・・ですがそれをしっかり自覚していないと、変な科学主義、効率主義に侵されてしまって“野生の思考”が退化してしまうんじゃないか・・・等と思ったりもさせてくれる不思議な本でした。

それにしても、「辺境日本論」で日本人の思考を説明するのにブリコルールを持ち出すというのが面白い。なんたって、それはレヴィ=ストロースがいわゆる未開人の思考を分析する中で出てきた“野生の思考”なんですから。(2010.7.31)
by c_mann3 | 2010-06-14 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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