◆イランはこれから・・・

まるで国家の深層心理学といった感動的な本が出ています。

春日孝之さん著「イランはこれからどうなるのか」、新潮新書384・・・

長い歴史の中でアラブやトルコ、近年ではイギリスやロシアといった国々に何度となく蹂躙されながらも自身が古代ペルシャ帝国の末裔であるとの自負が根強いイラン。
イスラム教の中でも最も神秘性の強いシーア派12イマムを国教としていながらも、その奥にはすべての宗教の源流ともいわれるゾロアスター教の血を脈々と受け継いでいることが誇り。
自身をペルシャ語を話すアーリア人(白人)と位置づけ、一時は同じくアーリア人を自負するナチスドイツと手を組んだことさえあるイラン、そしてイラン人。

日ごろの言動からきわめて原理主義的な国民との印象を与えていながら、実は状況に応じて臨機応変に本音と建前を使い分ける現実主義…でも冷静な現実主義のようでいて面子にこだわり、犠牲を顧みず突っ張ることも。

今、核開発疑惑で攻め立てられているがむしろ疑惑をかけられること自体が存在感の表れと、弁明にはあまり熱心ではない。

長い歴史の中に何重にも重なった文化、自負、怨念、強がり・・・

暴言は吐くが繊細で自負心が強いイランの特質を著者は「つっぱり少年」に見立て、本当にぐれてしまわないようにするには周りの理解や付き合い方への配慮も必要だとも・・・

なんか、いく重もの思いが織り重なった国家の深層心理といったことを思わせる味わい深い一冊でした。(2010.10.15)
by c_mann3 | 2006-10-08 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)
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