◆ロシアの論理・・・

三年の間をおいて一つ上(にスクロールしたところ)の記事の続編です。

混迷が続く世界経済の中で中国と並んでますます存在感を高めてはいるが、何かと強引な動きが多く理解しがたい国といった印象のあるロシア・・・そんなロシアを理解するための好著が出ています。

題して「ロシアの論理」。武田 善憲著、中公新書2068。
副題が“復活した大国は何を目指すか”とあるのですが、現役の外交官である著者が“旧来のクレムノロジー的なアプローチでは現在のロシアの行動は読めない”と、独自の分析でロシアの行動の背後にあるものを紐解いてくれていて、読みやすい一冊となっています。

ウクライナやベラルーシへのガス供給制限、サハリンⅡへの横槍、グルジア進攻、北方領土への突然の訪問・・・どうしても強引で何をしでかすか読めない国といった感情的な理解に走ってしまうが、感情を捨て、善意も悪意も持たずに表に出た情報を淡々とつなぎ合わせていくとロシアの目指すものと達成への行動原理が浮かび上がってくると。


それは・・・
・1990年代の急激な市場経済化の中で二束三文で西欧に売り渡されていた資源権益をひとつずつ国営企業の手に取り戻し、徹底した国家管理で最大限の利益を確保し、
・それにより医療、教育、潤沢な消費財の確保といった形で国民の生活基盤を向上させ、
・西欧流の資本主義的繁栄と、ロシヤ正教を軸にしたスラブ主義的なロシアの誇りの双方を達成するというもの。

b0050634_215329.jpgしかもこれを達成するための行動には独自のルールが貫徹されている。それは最初は明文化されていないところからの手探りで始まったが、アクションと成果をもとにひとつずつ明文化されたルールとなりつつある。

ロシアのあるべき姿を二十年スパンで推進するプーチン、メドベージェフのぶれない政策実行の姿が窺えるが、これはいつも次の総選挙と支援団体の意向を気にしてふらつき長期的な施策が取れない身近な国家とは対極にある姿であり、西欧的な民主主義や市場主義のルールで良いとか悪いとか論評しても致し方のない世界でもあると。

で、そんな国との付き合いは感情を廃し互いにメリットのある実利を積み上げていくしかないとのことなのですが・・・(2010.11.27)
by c_mann3 | 2006-12-10 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)
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