◆再度、「アフォーダンス理論」・・・

一つ上(にスクロールしたところ)の記事でエドワード・S・リードの「アフォーダンスの心理学」に接し、いたく感動と書いていたのですが・・・
この度たまたま図書館で見つけた本、佐々木正人著「アフォーダンス-新しい認知の理論」(岩波科学ライブラリー12)を読み、あらためて目からうろこの感動!

今回の本はアフォーダンス心理学のベースとなった「アフォーダンス理論」そのものの解説本。アフォーダンス理論が生まれてきた経緯やトピックスがわかりやすく、しかもコンパクトにまとめられています。

従来、人は外界の刺激を視覚や聴覚の刺激として取り込みそれを脳内で処理することで情報として認知しているとされてきましたが、副題に“新しい認知の理論”とあるようにこの本によるとそうじゃないのだと。

アフォードダンス理論は当初はゲシュタルト心理学への疑問から生まれたが、やがてそれを乗り越えて新しい地平に到達した。
人は単に点滅するだけのネオンサインに流れや図形としての動きを認知したり、単なる音符の羅列からメロディーを認知する際もどんなに変調されていても一定のメロディーを感じ取る。人が認知する情報は刺激の総和を超えている。そしてしばしば刺激からは生成できないはずの情報さえ認知する。

このあたりまではいわゆるゲシュタルトの世界なのですがそのゲシュタルト質がいかなるプロセスで取り込まれているかを追求する中で、たとえば戦闘機のパイロットやスポーツマンを分析すると、どう見ても情報処理の時間が足りないような速さで情報を認知し、かつ環境に働きかけている。

ては認知プロセスの本当の姿は何なんだということになるのですが・・・結論から言うと情報は脳内処理の結果ではない。環境の対象自身がすでに情報を有しており、人はその環境の中に分け入って“利用可能な情報(これがアフォーダンスの意味)”そのものを直接取り込んでいるのだと。イメージとしては高度に脳を働かせる中枢神経系というよりは、おびただしい反射神経の集合体といった感じなのかもしれません。

そして例えばこの理論をロボットに応用すると、従来の“すべての動きは脳内の中枢情報処理でありそれに見合った情報の記憶と手順のプログラムが必要”との前提で設計したロボットはちょっとした状況の違いで立ち往生してしまって動けなくなるが(いわゆるフレーム問題)、アフォーダンス的な発想で作られたロボットは旧来の意味での知識や行動手順は持たないため、フレーム問題などには悩まず初めての環境や突発的な事態でもキビキビと動き回るといったエピソードも・・・ 

アフォーダンス理論は心理学だけでなく、IT、人工知能、工業デザイン・・・いろんなジャンルの人が必見の理論なのかもしれません。そして読んでいるといわゆる心の哲学の「外在主義」に通じる雰囲気もあるんですよね・・・(2011.2.26)
by c_mann3 | 2012-06-10 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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