◆「TPP亡国論」・・・もうひとつの思考停止

一冊の新書が出ています。題して「TPP亡国論」、中野剛志著、集英社新書0584。

2010年11月のAPEC横浜首脳会議の直前に突然出てきたTPP(環太平洋経済連携協定)加入論。一部の農政関係者の強烈な反発で首脳会議での参加宣言には至りませんでしたが、この本はそのTPPが如何に日本にとって百害あって一利のないものかを語ったもの。

韓国が米国とのFPTを締結したこともありこれを持ち出した政府の意図は、加入しなければ国際競争力を失い貿易立国日本の将来はなくなる、アジアの活力を取り込み経済の活性化を行う、GDP比1.5%の農業にこだわっていては日本の未来はない、かつて鎖国を解いた横浜の地で開催される横浜会議でTPP参加表明ができるならそれは歴史的意義のある第三の開国なのだと・・・

しかしTPPは米国が仕掛けたワナ。米国を含めて一次産品の輸出国ばかりが集まったTPPに参加しても日本に有利な条件とはならず、米国の農産物を押し付けら、更にデフレを加速して終わる、それはまさに亡国の施策。


ですがこの本で著者がTPP以上に問題視しているのが、その議論の過程で農業関係者以外の全ての政、財、有識者、マスメディアがそろって賛成し異様な雰囲気に包まれていたこと。

この話にかかわらず政治や経済の重要な政策論議の中でいくつかのキーワードが出ると、日本中がまるで思考回路のブレーカーが落ちてしまったように思考停止に陥ちいり、一挙に極論に偏ってしまうこと。

そのキーワードは・・・日本は自由貿易で輸出をしないと成長しない、開国か鎖国か、乗り遅れるな、成長の拠点はアジア・・・だが実はとれもがグローバル化された世界の政治経済動向に照らすと実態にそぐわず根拠も薄弱な論拠なのだと。

思考停止の癖を排し、グローバル化した世界の中での戦略的な思考ができないと日本を滅ぼしてしまう、開国すべきは関税ではなく世界を見る目なのだとのことですが、説得力のある読みやすい一冊でした。

ところでこの本、読んでいて郷原信郎さんの「思考停止社会」を思い出してしまいました。こちらの本では“けしからん”、“倫理”、そして“コンプライアンス”といったキーワードが思考停止のトリガーに・・・(2011.4.18)
by c_mann3 | 2016-06-18 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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