◆あっという間の浜岡原発停止

[2011.5.16掲載] 政府は今夏の電力削減を15%と決定しました。

当初は25%が必要とされていた削減量に対して、危機感を持ったいろいろな業界やセクターの総力を挙げての削減計画の練り上げや前倒し施行で目途が見えたればこその15%決定だったはずなのですが・・・

そんな矢先に唐突に出てきた浜岡原発の即刻停止の話。

停止理由は“東海地区では30年以内にM8クラスの地震の可能性が87%で極めて切迫”しているためだと・・・その可能性確率にも、原発をいったん停止して地震や津波の対策を強化することにも全く異論はないのですが、やっと目途が立ち始めたとはいえ不安のあるこの夏の直前の今、なぜリスクを増やす停止をするのか、合理的な政策判断としてはあまりにも不自然で唐突で、もしかしたら何か他の意図があるのではなどと思ってしまいますよね。

そもそも“30年以内にM8クラスの可能性は87%で極めて切迫”という言い回しが不自然。30年確率といったロングタームの数字の後に《切迫》と続ける言い回しはレトリックを越えてトリック。

30年確率はこんな場面で使うべき数値ではない。《87%の数字》と《切迫》の文字がリンクしてしまっているが、30年以内に87%との数値は4か月以内の確率に換算したらその可能性は?
もし“4か月以内にM8クラス発生の可能性は1%ですが(極めて切迫?していて)、秋まで待てないので即止める”と言ったら国民や業界はこれ程あっさりと諦めたでしょうか? 1%に“極めて切迫”の修飾は似合わないですよね。

このブログの一つ下の記事でも取り上げているのですが、中野剛志さんがその著「TPP亡国論」の中で日本ではある種のキーワードに出くわすとまるで電気回路のブレーカーが落ちるように一瞬にして合理的な思考回路が停止し、乱暴な意見がまかり通ってしまうと述べておられますが・・・この時点での浜岡原発停止にも似たものを感じてしまいます。  

今回の事態を目の当たりにして“原発は廃炉、補強、代替切り替えを含めて見直しが必要”であることは間違いない。だとしても今夏の電力不足のリスクを高め、しかもそれを全国に広げてしまってでも、この秋が待てないほどの話ではない・・・とは思うのですが。(2011.5.15)


◆案の定・・・(2011/06/23追記)

いよいよ緊迫の夏が間近になり、経済産業大臣が停止中の原発再開を要請し始めましたが権限を持つ各知事が反発。 こうなることが解っていてなぜ浜岡を止めたのかとあらためて思わざるを得ません。間際の要請が通らず右往左往する大臣や政府は自業自得。ですがそのしわ寄せは結局苦慮する知事や、節電我慢の国民、綱渡りの産業界にのしかかるんですよね・・・

そんな中でますます高まる脱原発の声・・・ですがその置き換えがソーラーを1000万所帯にといった自然エネルギーでは、どう考えても規模や猶予時間が釣り合わない。本気で、しかも猶予が5~6年での脱原発なら、まずは100万kW単位のLNG火力発電所を全国で10ヶ所を超える規模で即着工。その上でじっくりソーラーというなら現実的で理解も信用もできるのですが・・・なのにLNG火力の建設に政府が資金を投入するとかいった話はなぜか聞こえてこない。
by c_mann3 | 2005-05-06 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)
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