◆今夏の計画強制停電阻止・・・

[2011.4.3掲載] 東京電力の計画停電は気温の上昇や節減効果でこの一週間は無停電と小康状態を迎えています。ですがそんな中で政府やマスコミから危機をあおる悲観論ばかりが流れているせいなのでしょうか、今年の夏は再び計画停電が避けられないとまるで自然災害のように諦めている風潮が気掛かりです。

危機感を持った自動車工業会や経団連は自主低減計画の調整を本格化させつつありますが、対して政府は電気事業法27条による強制割り当てを検討と。
ですが今回はエネルギー危機ではなく発電所の最大出力が不足することでの危機。ピーク電力(kW)の低減と電力量(kWh)の削減では意味合いも方策も異なりますよね。

石油ショックの際以来使われたことのない古びた法の執行が業界が自主的なピーク電力低減の知恵を出す邪魔にならないように祈りますが、企業や家庭の叡智を信頼し正確な情報に基づく協力依頼をするならば必ずこの夏は乗り切れる。そんな勝手な思いを整理してみました。


▼操業を低下させない輪番操業・・・
例えば土日を定休日としていて平日と休日のピーク電力が3~4倍違う業界の場合、業界で自主的に輪番休日をとると操業度は全く落とさずに、単純計算でもピーク電力は20%下がる。対して個々の企業に毎日一律に低減させる命令を出すなら操業度を下げざるを得ない。

そしてこの輪番運用は業種によって一律ではない。
例えば連続操業が必要なプロセス工場は大形夏季休業を7~8月の間で輪番実施すればよいし、ショッピングセンターは必ずしも輪番休業しなくとも午後1~4時を休業にし、それを輪番にするのも手。開店、閉店をずらしても意味が無い。

とにかくポイントは極力操業度を落とさずに、個々の企業ではなく業界トータルでのピーク電力を下げる方法をひたすら生み出すこと。そのためにも電気事業法執行の際は業界の輪番操業効果を認めて頂けることが必須です。


▼もし料金制度を変えるなら・・・
与謝野経済財政担当相が家庭用電気料金の値上げに言及していますが、それを言うなら業務用、産業用は一瞬のピーク電力(契約電力kW)に比例させて通年取り込んでいる基本料金を、今夏の業界平均の削減量に応じて割り戻す“値下げ”を検討しては如何?


▼常用発電機の活用・・・
工場や病院では大出力の常用発電機を持っているところが少なくない。これを輪番休業の日も稼動してもらって買電するのも手。また燃料が重油で燃料高騰により休眠させている発電機は燃料費を補助してフル稼働させるのも一法。

合わせて出力は小さくても今夏に間に合う短納期で設置可能なガスエンジン発電、ガスエンジン空調の新規導入促進も必要。逆にオール電化住宅は当面販売自粛すべきなのかも。


▼家庭用電力でも期待は持てる・・・
また家庭用については産業用とは異なり統制が効かないにもかかわらず消費が3割を超えているのがネックといわれるが・・・だったら家庭にスマートメータとまではいわなくても簡易な電力モニターを配って“見える化”するのも手。そこに天気予報ならぬ電気予報で、現在東京電力がホームページで公開している電力消費グラフと“今夜は2割節減を”といったお願いを流せば主婦や子供はきっと協力してくれそう。


▼そして発電所はとにかく再稼動を・・・
一方でメンテ停止しているが再稼動に足踏みをしていそうな原子力発電所は安全点検を加速させ、政府が率先して再稼動のコンセンサスを得ることも必須。


今夏の電力不足はたぶん10数%から多くても20%未満。あれやこれやの知恵を持ち寄り国や業界を挙げて取組めば届かない数字ではない。そうしてこの夏、乱暴な無差別輪番停電を阻止できるなら、それは日本の歴史の輝かしい1ページとなる。そしてこの新たな仕組みが定着し、新しい国家のライフスタイルとなるならさらに良い。(2011.4.3)

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◆(2011/4/9追記)そして今夏の計画強制停電、原則不実施に・・・

春に入り気温も上昇し発電所も復旧し始め無停電の日が続いている。なのに相変わらず「今夏の計画停電は不可避、明日は実施を見送るがあさっては解らない」といったにべもない発表が繰り返えされる状況を目の当たりにし、募る思いを書き連ねていたのですが・・・

やっと昨日、東京電力と経済産業省が今夏の計画強制停電を「原則不実施」と表明しました。合わせて政府はそのための施策も発表。そしてその文面を見ると勝手に書き連ねていた上述の思いにほぼ近い。生活や経済への影響を最小に抑える意味でも、やっぱりこれしかないですよね。

その政府の対策骨格(案)はこちらに・・・http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0408_electricity_supply_01_00.pdf

肝心の業界輪番操業についても「同業・異業の複数事業者が共同して需要抑制を行うことも可能とするスキームの導入を検討」といった表現で取り上げられている。これでやっと国家のベクトルがそろい、強制停電回避を前提とした叡智結集の思考回路にスイッチが入りますよね。朗報です。
by c_mann3 | 2014-03-04 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)
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