◆「エネルギー論争の盲点」・・・

[2011/8/20載] 石井彰著「エネルギー論争の盲点」、NHK出版新書356。副題の“天然ガスと分散化が日本を救う”に魅せられて思わず買ってしまいました。

国を挙げての“原発か、さもなくば再生可能エネルギーか”さあどうするといったまるで他に選択肢が無いかのような二項対立の論争が日本を本当の窮地に追い込んでいる。この本はそうした状況に危機感を持ったエネルギーのプロが示した最終解決策とのことで、圧巻が第三章の、“虚飾にまみれたエネルギー論争”

メガソーラー、全量買取とソーラーさえあれば原発は要らないといった議論が多いがソーラーの有効な稼働率は12%で東京23区の面積にぎっしり敷き詰めてやっと100万kWの原発1基分。夢のようなメガソーラーと順番にメンテ停止したまま再稼動しなくなる原発では量的にも今日明日といった時間軸からも釣り合わない。

脱原発を図るなら最適なエネルギー源のポートフォリオと省エネでマドリングスルー(何とかかんとか折り合いをつけながら進む)する地道な議論が必要だが、そうした観点に立つと解決策の主軸はLNG発電だと。

世界中がLNGに傾斜する中で日本は天然ガス後進国であり、他の先進国と比べても日本のガス発電比率は極端に低いまま。中国や韓国も急速にガス化を進めている中でなぜかサハリンからのパイプライン構想も葬り去った日本。
またCO2が問題だというが、最新鋭のLNGコンバインドサイクルでは旧来の石炭火力に比べて1.5倍の発電効率があり、置き換えるとCO2は75%削減される。

要はエネルギーの多様化、分散化が基本であり、まずは高効率の大規模発電の増設と、熱も利用できるガスコージェネの分散配置を促進し、取りあえず安く早く効果の大きい方法を取り今日明日の電力不足を緩和する。その後でなお不足する分を高コストで何かと難のある自然エネルギーに取り組めばよいのだと。

日ごろから思っていたことに近く、読むと胸のつかえがおりる感動の一冊でした。(2011.8.20)
by C_MANN3 | 2014-03-14 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)
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