◆「日本企業にいま大切なこと」・・・

[2011.9.20掲載] 野中郁次郎さんと遠藤功さんの共著「日本企業にいま大切なこと」、PHP新書752。この本は「見える化」の著者遠藤さんと「暗黙知やSECI理論」を提唱する野中さんの対談をベースにしたリレーエッセイ集です。

失われた20年、その間であたかもそのその原因のようにいわれて否定されていった日本的なもの。そしてそれに変わる脱出策として急激に導入が始まったアメリカ的なグローバルスタンダード。
利益重視、成果主義、コンプライアンスや統制の重視。だがこうしたグローバルスタンダードによる国際化は失われた20年への処方箋にはならず、かえって職場の関係性を破壊し暗黙知を育む温床を傷つけてしまった。

何かが壊れてしまったかにみえた日本。だが今回の震災、原発事故への対応過程でいろんなことが浮かび上がってきた。
極論に走りリアリズムも哲学もないままに思いつきの施策を繰り出す中央の政官。対してかつてのDNAがうごめき始めたかのように状況に立ち向かう地域や市民。そして企業にも利益よりもコモングッドを優先する企業が続出している。どうやら少なくとも地域や民、そして心ある企業の現場は壊れつくしてはいない。

企業の経営はサイエンスではない。過去のデータを分析しても未来は見えない。利益優先よりはコモングッドの追求、成長よりは持続。そうした中でこそ現場には結束力や暗黙知が生まれる。超短期の課題は暗黙知による現場力で、そしてそれを長期のビジョンで方向付ける。
失われた20年から脱却するためには地域や市民、そして企業の日本的なものへの回帰再生が鍵となりそうだが、その可能性が今回の危機をきっかけに見え始めていると・・・

読み進めるうちに今回の危機対応の機運をうまく育てて日本的なものへの回帰を果たすなら未来はあるのかもしれない・・・そんな気がし始める感動の一冊でした。(2011.9.20)
by C_MANN3 | 2016-06-20 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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