[2012/1/16記]全量買い取り制度の追い風もありソーラー発電が普及しつつあり、メガソーラーについても建設のニュースが相次いでいます。
こうして自然エネルギーの比率が少しずつ増えるのは素晴らしいことですが、それが電力会社によるものとなると素直に拍手をできない違和感を覚えてしまいます。 メガソーラー・・・それはつまり1000kWの発電所ということ。そしてそれは街中の工場の片隅で回っている常用発電機のほんの1機分でしかない。 メガソーラーは1万平米の土地と7億円の投資をかけ天気の良い昼間しかメガを確保できない。対して常用発電機なら数十平米の面積と1~2億円の投資で必要なら24時間365日メガ発電できる。 毎週のように百万kW単位の原発が停止していく状況の中で、電力会社には目の前の巨大な穴を埋める供給責任があるはずですよね。 メガソーラーにかける資金と土地があるならば、それをストレートに最大限の電力を安定確保できるシステムに投じてほしい。 ソーラーは孫さんや各家庭がなげなしの資金と志をつぎ込み長期のスパンで挑戦している。小規模な分散電源や四苦八苦の節電は電力のユーザー企業や家庭が自衛を兼て頑張っている。 それぞれがそれぞれの立場で頑張っているのだから、電力会社は電力会社でなれれば背負えない、そして電力会社だから背負うべき規模の電力確保に特化してほしい。ここ当面は電力会社は資金効率が悪く、規模確保の即効性に乏しい自然エネルギーに手を出すことはあえて自粛し、持てる資源の全てをかけて原発停止に見合った規模の供給力確保に邁進してほしい・・・そしてそれは百万kWクラスのLNGコンバインドサイクル火力発電所建設なんじゃないか。 業を煮やした東京都が100万kWのLNG火力発電に名乗りを上げている。拍手喝采すべき朗報ですが、肝心の電力会社からはそうしたニュースが流れてこない。 ちょっと矛盾する言い回しですが、電力会社が大規模LNG火力の建設に一斉に着手するならば、それを担保に“まずはここ当面に限った(今年の夏に間に合う)原発再稼働”への賛意も得られやすいのかもしれないなどと思ったりも・・・ ◆それにしてもソーラーは今・・・ ソーラー自体には何の異論もないのですが、どう考えてもソーラーは原発の代替エネルギーにはなりえない。なのにどうしてこうまでソーラーがもてはやされるのでしょうか。 思うにこれは菅総理が“脱原発、その穴埋めは一千万の家庭にソーラーを設置することで可能”と叫んでしまったためにソーラーが原発の代わりになるかの幻想を持ってしまったことに原因があるのかもしれません。 一千万の家庭にソーラーを設置すれば確かに原発30基分の出力になる。だがそれは晴れた日の昼間に限ったことなんですよね。日が沈むとエアコン、電車、工場の操業・・・すべてを止めるのなら別ですが、ソーラーは止まった原発の置き換えにはならない。 だったら蓄電との組み合わせといった話が出てくるのでしょうが晴れた日に蓄電の分まで発電しておこうとするとさらに数倍(1÷稼働率12%⇒8.3倍)のソーラーと、とんでもない容量の蓄電設備がいる。 結局脱原発を言うならそれに見合った容量の火力発電を用意するしかなく、ソーラーは晴れた日にその発電設備を稼働させずに済むぶん、燃料とCO2の削減に貢献するという位置づけなんですよね。ですからソーラーをいくら積み上げても置き換え火力の設備容量を減らすことはできない。 そんなソーラーが今手厚く優遇されています。 設備導入に補助、運用が始まると全量買い取りでさらに補助。これでは儲からないはずのものもペイするものになってしまいますよね。で、期待通りどんどん普及する。設置者がペイしている一方で税金(補助金)はどんどん消耗していく。 でもそれが意図した目的の達成につながっていればいいのですが、ソーラーの場合はCO2削減にはなってももっと緊急の課題であるエネルギーの確保には役に立っていない。むしろエネルギーの確保にも役立っているような雰囲気が漂っているため、目の前の危機への対応がかすんでしまっている・・・それが問題なんですよね。 もし今ソーラーに出しいてる補助金をそのまま(比較的CO2の少ない)ガス発電に振り向けで今のソーラーのように普及に弾みをつけることができるなら、それは今夏、来夏の電力危機の緩和に確実に繋がる。そしてソーラーへの補助はその後なんですよね。 電力会社には“100万kW単位のLNG発電を”と書きましたが、補助金を出すなら小口の自家発電でも小規模IPPでも何でもいい。設備補助をし、全量買い上げなどしなくても燃料費補助をする。それで導入する人はペイするようになり、その補助金(税金)はダイレクトに夏の電力危機緩和につながっていく・・・と思うのですが。
by C_MANN3
| 2023-07-12 01:06
|
Comments(0)
|
|
ファン申請 |
||