◆2030年の原発、パブコメを出しました。

[2012.8.12載] 内閣府が募集していた“2030年のエネルギー選択”に関するパブリックコメントを本日、Web提出しました。以下は、その全文です。
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■意見の概要欄(文字数が制限され100字以内。twitterより短い)

2030年時点での原発はゼロとする。但しその代替を不安定な再生エネルギーに過剰に頼ることは非現実的である。まずは投資効率が高く確実に原発代替電力が確保できるLNG火力を基軸にシナリオを描くべきである。

■意見および理由欄(文字数制限は2500字以内らしい)

◆脱ないし減原発は必須の国民合意

今回の原発事故の被害の甚大性、進まぬ後始末を見ていると脱原発は必須であり、かつそれは政府でも決定済みの基本方針のはずであり、また各種の世論調査から見ても大多数の民意である。

従って、今回の政府シナリオの内、③の原発20~25%案は許容できない。しかし①の原発ゼロ、②の原発15%シナリオも内容としては過剰に再生エネルギーに頼った案であり、確実で迅速な減原発のシナリオにはなりえない。

◆まずは火力による電力の安定確保

早急で確実な脱原発を達成するためには、まずLNG火力で必要限度の電力を確保し、しかる後ゆっくりと再生エネルギーへの転換に取り組むべきである。また火力は以下の区分で施策を実施すべきである。
   ・まずは既存火力の掘り起こしとその高効率化
   ・新規LNGコンバインドサイクル建設の加速
   ・常用コージェネ自家発電普及の促進

この内、既存火力の高効率化分は実質的にCO2発生ゼロ、燃料費ゼロの電力と考えることができる。従ってソーラー等の再生エネルギーに投入しているのと同等の政策的支援を講じて実施を加速すべきである。

常用コージェネ自家発電は短期間に設置が可能な点が有利である。余剰買い上げの制度を整備するとともに現在は主要都市部に限られるガス導管インフラの拡大を優先事項とすべきである。

◆原発の再稼働は安全が前提で、かつ必要最低限度に

電力危機と騒がれた今年の夏、ピーク電力は休眠火力の掘り起し、一定の節電、そして広域融通があるならば原発は2基でも乗り切れることが証明されつつある。この実績は厳然たる事実として認識すべきである。

それでも一部の電力管内では逼迫した場面もあったことを考慮して、安全確保を前提に新設火力が立ち上がるまでの間、もう少し再稼働台数を増やすとしても7~8基を超える再稼働は不自然である。

その結果必要となる廃炉については急がないが、廃炉の際はLNG火力発電への改造を選択肢として考慮すべきである。これにより蒸気タービン発電設備、送電設備、保安設備等が継続利用できて投資が節減できるとともに地元への経済効果も継続できる。

◆ソーラーは効力を区分して取り組むべき

ソーラーはピーク需要時の脱原発の設備置き換えに寄与する《優先確保ソーラー》と、それを上回る設備でCO2低減や化石燃料輸入量節減にしか貢献しない《選択確保ソーラー》に区分して取り組むべきである。

《優先確保ソーラー》
たとえソーラーが潤沢に確保されたとしても、日没後の19時台の負荷は(原発を含めた)火力で対応せざるを得ない。従って、ソーラーがピーク時の発電設備としての(原発を含めた)火力の置き換えとして機能するのは昼間の最大負荷と19時台負荷の差の部分である。この量を今夏の全国のデータで集計すると1000~1500万kW(これは政府シナリオの1/4の規模である)となるが、これが優先確保ソーラーであり、この部分については買取制度等のインセンティブを設けて優遇することも価値がある。

《選択確保ソーラー》
CO2低減や化石燃料輸入量節減にしか効果を持たない選択確保ソーラーについては既存火力の高効率化といった他の選択肢との費用対効果を見極めたうえで導入を図るべきものである。
例えば既存の100万kWのLNG火力をコンバインドサイクルに改造すると効率アップで実質的に50万kWの燃料代ゼロ、CO2発生ゼロの電力を確保するのと同じ効果がある。

もしこの50万kWに見合った年間kWhをソーラーで賄うなら(設備の有効利用率12%で)定格420万kWのソーラー設備が必要で設置費は1.4兆円となる。これはどう考えても得策ではない。少なくともこの部分にまで42円の買取価格を設定することは無用である。

◆風力買い取り枠の拡大

今回は買取制度の発足と同時に風力買取り枠が問題になったが、その限度枠を決めているのは(送電線の話だけではなくて)どうやら深夜の電力需要が少ないときに突然風力が目一杯発電をした際に火力発電の“下げ代不足”が発生することのようである。

ただその数値は原発がベースロードとして稼働していることを前提にしたものであり、減原発が始まった今、その理由による風力の買取枠は見直すべきである。

またこの種の議論では決まって発送電の分離が話題になるが、この話は電力会社のメンタルな問題というよりは下げ代とのバランスや潮流といった技術的な問題であり、どこのどの組織が担おうとも変わらない課題である。それを電力会社の体質や制度の問題にすり替えて不毛な議論にしてしまうことは事の本質をうやむやにするものである。

◆議論には原発の原価の適切な反映を

今回はたとえばソーラーに異常な買取価格を設定したこと等で、原発比率を下げて再生エネルギーの比率を上げるとコストアップで国民経済が云々、といった議論がまかり通っている。

しかし原発は各種の政策的交付金、今後の後始末といった途方もない外部不経済を隠し持っての安価な電力である。そうした費用を極力電力会社の直接負担や引当金として反映させることにより、その他のエネルギー手段とより経済合理的な比較判断がなされるようになることを望むものである。   ・・・以上。

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by C_MANN3 | 2005-09-10 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)
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