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◆組織のかたち:サプリメント

マトリックスの話からは少しぶれるかもしれませんが、横糸で補強でもしないと消えてしまいそうなレア集団の話をついでに・・・

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前回の松下改革の続編です。もちろん松下さんの組織を他意があって論評したり、推量したりのコメントではありませんので悪しからず。

スパイスやサプリメント、なくてはならないが量的には微量。企業組織の中にもこれによく似た特殊な職能があります。
たいていはその組織の中では特殊な専門性が必要な職能であることが多く、前回のマーケティングもこの類だったのかもしれません。

もしスタッフの人員規模が事業部総人員の1パーセント程度は必要な職能があったとした場合・・・

規模一万人の事業部では百人。これなら部門を構成でき、体を張って発言してくれる部長もいます。

ところが、千人規模の事業部ならこれが十人。部を設けるのはちょっと無理、近い職能の部門の中で課を構成するのがやっと。課長はともかく、部長は専門性や、思い入れを同じくする人とは限らなくなります。

もう少し規模の小さい事業部になると担当者は数人。どこかの企画部か管理部の中に数人の担当者が配置される程度で、周りを事業部の本来業務に浸りきり信念に溢れる自信家ばかりに包囲され、何を話しても恐らく話がかみ合わない。

こうなるとこの事業部としてスパイスが利くかどうか、サプリメント欠乏症で徐々に体調を崩したりはしないか、これらはすべて担当者が孤軍奮闘にどの程度耐え得るか、周りの人がどの程度のお人柄で、どの程度の見識をお持ちで、どの程度協力してもらえるかに依存してしまうことになってしまいます。


★ところであなたは志を同じくして語り合える人もいない中、役割としての使命ばかりが重くのしかかる状況でどれだけアイデンティティやロイヤリティーを持続できますか・・・・

この状況を救済する心理学的アプローチは二つ。

【①まずは会社が取る「組織心理学」的措置】
そのひとつはあちらこちらの事業部にいるサプリメント担当者を本部機構に集め、専門スタッフ集団とする。
メンバーは水を得た魚のように生き生きとし始め、以前より動きやすく、元の事業部に対してさえも話がしやすくなった・・・という前回のレスで取り上げた松下のコースです。
あるいは本部機構には統括機能だけを作り、各事業部の担当者はそこに在籍するままでの本部兼務者とする、いわゆるマトリックス組織。

この場合は一人一人が複数のボスを持ち調整に行き詰ったときはとうするか等、うまくいかない要因をはらんでいますが、当人も上司も従来の縄張り意識や、権力意識、組織観を変えることで成果は期待できる、とひとつの方向には違いありません。

【②もうひとつは孤立する担当者サイドの心理学】
こんな浮かばれない立場は真っ平ごめんと転属、転社を考えるなら話は別ですが、その専門性に意気を感じそれをベースに人生を切り開いていこうと思うなら、逆境の中でアイデンティティーを確立していくための、そしてそのモチベーションを支えていくための何がしかの「自己実現系の心理学」はおそらく支えになる・・・

逆境を生きることによって、会社のスパイスやサプリメントであったはずのものが自分自身へのスパイスやサプリメントに発酵していく・・・これはこれですばらしいと思ったりもします。(2005.2.3)
by C_MANN3 | 2010-04-08 00:00 | Comments(0)
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