◆なるほど。進化心理学って・・・

新聞でちらりと見た“進化認知科学”という聞きなれない言葉が気になっていたこともあり・・・ふらりと入った本屋で“進化論”の本を買ってしまったのですが、これが面白くて、あっという間に読んでしまいました。

題して「進化論という考えかた」佐倉統(さくらおさむ)著、講談社現代新書、2002刊。

ダーウィンとウォレスが自然選択理論を発表したのが1858年。翌年ダーウィンが「種の起源」を出して以来、いろんな人によりとんでもない発展を遂げた150年間をドラマチックに解説してくれています。
進化論のエキスは“変異の生成(突然変異)、適応度による淘汰、変異の遺伝(自己複製)”の三点。この生命情報の伝達単位「遺伝子」を文化情報の伝達単位「ミーム、meme」に置き換えることで話は一挙に社会科学全般に拡がる。

生物学的な遺伝は遺伝子を介して子孫に対してのみ伝達していくのですが、ミームは寄生遺伝といった形で、同世代の社会間でも伝達され、集団選択過程といったプロセスを経て対象を進化させていくとか・・・
集団を対象とした進化では極端に大きな突然変異に頼らずとも、むしろより少ない遺伝率で適応度を上げていく“適応度地形”概念が成り立つとか・・・
面白い話が満載で、なんとなくではありますが進化心理学とかのイメージがつかめそうな感じがしてきました。

仕事が技術系ということもありホランドの「遺伝的アルゴリズム」については話を聞いていても、単に最適解を求める一風変わった数理的手法といった程度の認識しかなかったのですが・・・背景にこんなに広大な世界が広がっていたとは驚きでした。

もっとも著者は単に進化論についてだけでなく・・・
こうした生命科学をはじめとする科学が旧来の人間が信じてきた倫理や価値の観念を侵食し空ろになっている。この空白をうずめるためには科学に物語が必要。

価値の問題と事実の問題は区別することが科学的な態度とされてきたが、空っぽになった価値規範や社会理念を自然科学の成果で再構築するためには、科学を単に実証的な事実として学者うちで語るだけではなく、物語として語り、伝達し、社会全体が共有していくことが必須と力説されていて・・・
なるほど、それが今一番重要な「ミーム」の具体例であり、人類が社会として進化していくためには必要なのかも、と思った次第です。(2005.2.12)
by c_mann3 | 2012-10-20 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
<<    ・・・次は・・・ ◆《続》進化心理学・・・ >>