◆純粋善の危うさ

前掲の錬金術では、まじりっけのない「白い状態」は純粋善、その上の「赤の状態」は悪をも包含した最高善などと書き、ついでに調子に乗って、純粋善は不安定な通過点、少なくとも最高の位置づけではないなどと書きましたが・・・やっぱりこの純粋善、不安定で、しかも何かと危ういものを内包している・・・そんな感じがし始めました。

純白、まじりっけなしの純粋善は目指すことも到達することも大変ではありますが、維持するのはさらに大変、強い意志が必要です。ピュアであるがゆえに人々をひきつけはしますが、ピュアであることが補償としての反撃を強大化させ、それを一途な信念で押さえ込まなければ維持できない・・・
次々に現れる内なる崩壊、他者からの切り崩し、それを抑えて維持するためはいろんなことが必要となるようです。

内なる崩壊を防ぐために戒律を儲け、結束を固めるために組織と儀式を発達させ、力ずくの他者からの切崩しには炎の十字架をも受け入れる無抵抗主義をとるか、さもなくば手段を選ばない聖戦で対抗するしかないが・・・その過程で確実に体質は変化していく。
ニュースで連日報道されるブッシュとビン・ラディンの戦いも、ともすれば鉄壁の一神教となりやすい体質を持ったピュアな集団が今、どちらもが聖戦と称して果てしのない戦いを始めいてる・・・ということなのかも。

こんな話をしていますと、ずいぶん昔のことですが河合隼雄さんがテレビ講座のテキストに、“善の神、悪の神、実はその上にさらに神がいて、それは生命を司どり名をアプラクサスという・・・”といった意味のことを書いておられたような記憶がよみがえります。

今はどこににいるのかもわからないビン・ラディンも、その掃討をきっかけに日々エスカレートし、もしかすると地球の半分近くをも敵にまわしかねない勢いのブッシュも・・・無論、最初は純粋善の代理人として聖戦にかけたのでしょうが、気がつけば少しずつ、一方で純粋善の仮面をかぶりつつ、もう一方で魔神をも指揮する、まるでアプラクサスの神が乗り移ったのではと思わせる形相を呈してきている・・・なんてことを感じるのはカブレすぎということなんでしょうか・・・ ( 2002/11/11記)(2005.2.12載)
by c_mann3 | 2007-10-10 12:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)
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