>無意識の話って段々自明のことを話しているように錯覚するのですが、早い話例えばエディプス・コンプレックスの話をしていて「それ、わたし思い当たる」と言われたらもうコンプレックスの話じゃなくなっちゃいますよねえ・・・
これはYAHOO掲示板のユングコーナーでs1208さんがお書きになっていたフレーズなんですが、こういうパラドックスめいた文章を見ると嬉しくなってしまいます。ですが、よくよく考えてみるとこうした会話は普通に行われていますよね。 私なんかも最近はややこしい夢を見ることもなく、セラピストにすがるほどの心のもやもやを抱えているわけでもなく、じゃー私の内なる無意識は出番が無く、ユングは無意味かと言うことになるわけですが・・・ ところがどっこい、知識化された「ユングの無意識」が意識のど真ん中に居座っていて、これが事あるたびに何だかんだと作用しているのです。 頑として立ちはだかる女房に“これがうわさの避けて通れぬアニマの刃か・・・”と思い、会社で無理難題を突きつけ傍若無人に振舞う上司を見て“これがトリックスターの嵐か、もしかしてこの破壊のむこうには新しい世界が・・・”などと思えば、感情的になることもなくなるといった自問自答を繰り返す「核」となるのが、知識化された無意識の効能ではないかとふと思うことがあります。 もちろん本当の無意識ではなく、インパクトも弱いかもしれませんが、何年かに一回、セラピストの助けを借りてやっとお目にかかれる無意識に比べると、手軽で常時作動するメリットがあり、よく似た効果が得られることも確かです。 また意識の中にこれが居座り常時作動していることで、無意識の中の類似の感情がガス抜きされ、外部から進入し、本来なら無意識の世界に沈み込んでいきかねない新たな課題を意識レベルで食い止める効果もあるような気がしています。 ユングは無意識の世界を言葉で語りつくしたことで、たとえそれが実証困難な虚構であったとしても、それ以降の人たちの心を安定させ、葛藤を人生の前向きな推進力に変えることに大きく貢献している・・・なんていうと、楽観的過ぎるんでしょうか。(2005.2.18)
by C_MANN3
| 2007-06-16 00:00
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