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◆文化と制度:文化による制度の変節

文化と制度・・・本来この二つの間には整合性があるべきものなんですよね。前掲の氷山モデルでも言われているように、文化は水面下の暗黙のルール(暗黙知といってもいいのかも)、制度はそれと整合性を持ち、それを強化、維持するための明文化されたルール(対して形式知か)といった位置づけのはずなのですが・・・

困ったことに制度は明文化された形式知であるがゆえに・・・気軽に移入が可能。整合性や相性とはかかわり無く、とりあえずの導入が可能です。

さらに厄介なのは・・・暗黙知は色々な解釈ができてあいまいであるが、形式知は解釈に揺らぎか無い安定したものと思われていること・・・
実は、暗黙知は人の深層構造という岩盤の上に根ざしているがゆえに意外に頑強。対して形式知はそうした基盤から切り離されているから扱いやすく、見る立場、扱う立場で色々な色彩を帯びかねない。
企業の文化風土を変革する意図で制度や形式を導入しているのに、それを設けた意図とは真反対の方向に作用する道具となるなんてことも起こりえます。

たとえば企業で広く導入されている目標管理。当初の意図は会社の指示に従ってひたすらがんばるだけの社員では時代を乗り切れないし個人の成長も無い。一人一人が自身で考え目標を持ち、計画を立て・・・それを文書化して会社に預け、自主管理の指針としてください・・・といったことではなかったかと思うのですが・・・
それが成果主義の評価制度と連動すると妙にノルマ、ノルマの誓約書の様な色彩を帯び、上司は事ある度にその達成を追及し、ならばとメンバーも突発的なプロジェクトが発生すると目標管理表に無いからと拒否反応、どうしてもというなら管理表を書き直してほしいなどという風景も見られなくも無い。

制度が風土に対して安定した作用効果を持つはずが・・・制度を取り囲む風土が制度の性格を変形させてしまうことがありえる。

こんなことを言うと、大体は、「それは運用の問題だ」といって片付けられる・・・ですが、その運用を暗黙知に頼るとすると・・なんか袋小路に入ってしまうんですよね。文化や風土を変えるのは一筋縄ではいかないってことなんでしょうが・・・(2005.2.21)
by c_mann3 | 2010-08-10 00:00 | Comments(0)
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