◆知的生産、その生産性と品質

それなりに情報を集め、管理職が自己の責任においてもんもんと孤独な意思決定をし、決まったことを職務権限に基づき指令するとそれは必ず実行される・・・後は良くても悪くても結果責任を取ればよい。なんてことで仕事が進むのであればそれはそれですっきりするのですが・・・今のご時世、そうは行かない。
有効な展開をするためには関係者の合意形成が欠かせない。それ以前に決定の内容自体を安定した有意義なものとするためにも意思決定は孤独に勝手にというわけにはいかず、意思決定と合意形成が一体となったプロセスにそれなりの工夫がいる。

もちろんこの分野でも研究はいろいろと進んでいるわけですが、現実の企業組織での意思決定現場ではこうしたが成果がどの程度意識され反映されいるのだろうか・・・なんてことを思いながら、たまたま手元にあったハーバードビジネスレビュー(2002/1月号)の意思決定特集をながめていると、いろんな理論がわかりやすく紹介されているなかで、意思決定をする上でキーとなるいくつかの“対概念”がうかびあがってきます。

例えば・・・

●「演繹合理主義的アプローチ」と「経験合理主義的アプローチ」

意思決定に際しては、目的を明確に定義し、あらゆる選択肢を網羅し、評価の基準、尺度をはっきりさえすれば安定した合理的な意思決定ができるとする「演繹合理主義的アプローチ」。いわゆる数理科学的な意思決定論はこの代表格でしょう。
対して、人が取り扱う以上、すべての選択肢を網羅するなんてことは期待できないし、目的でさえそれほど明確には定義できない・・・合理性といってもいわゆる限定合理性が限度。その中で人は経験合理主義的なアプローチをしているのが実態であり、そこではヒューリスティックス的な手法が活躍している。
ところがヒューリスティックなアプローチではそのプロセスでいろんな形での「認知バイアス」がかかり決定をゆがめていく。しかし認知心理学などで明らかになっているバイアスの種類やかかり方を自覚し、意識的に逆バイアスをかけることで妥当性は高めうるとの期待がある。

●「イベント重視」と「プロセス重視」

イベント重視というのは、意思決定では“決定機関による決定会議”自体が大事ということ。その瞬間まではできるだけ秘密裏に準備し、一挙に決定機関を通し後は決まったことだからと押し切る日本型、本会議で決闘さながらの激論をし採決をとる英国型、形はいろいろでも決定の重要局面をイベントに求めるタイプ。
対してプロセス重視型は、決定のプロセスを公開し、議論を少しずつ修練させていき、本会議が始まるときはすでに合意形成も終わり形式的な手続きだけが残っている。

他にも「探求型」と「主張型」アプローチの対比等、いろいろ紹介されていますが・・・
実際の意思決定現場ではこうした対概念のウエイトが、場としての組織風土や登場人物のキャラクターとの兼ね合いで右に揺れたり左にねじれたり・・・結果としていろんな悲喜こもごものドラマや“もつれ”を生んでいるといった感じがしています。


・・・ということで次ページからは、会話や議論のもつれ、結果としての意思決定のヒズミと言ったことについての記事をいくつか・・・(2005.5.24)
by c_mann3 | 2010-02-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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