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◆組織の不祥事:内部告発

(2004/10/28 記)企業の不祥事が続く中、朝日新聞の調査によると主要企業の60%がすでに社内に内部告発の窓口を設けており、予定中を含めると80%に達するとか。但しそれは本社に設置した「倫理委員会」等への告発奨励の制度化であり,外部への直接的な告発は問題外ということでしょう。

企業が導入する「企業内民主主義」は別段民主主義化自体が目的ではなく、デシジョンの安定化や社員のモチベーション向上を狙う目的合理性を持った手段としての制度化といったニュアンスを感じますが、同様に内部告発奨励も不祥事発覚による企業ダメージ損傷の防止といった目的合理性を持ったものであり,社員一人一人や擬人格としての法人の倫理観が突然向上したというわけではないのかもしれません。

これは日本の企業組織が、古めかしい表現ですが「ゲマインシャフト」、「ゲゼルシャフト」の何れかということとも関連している感じです。
「ゲマインシャフト」なら告発は論外で村八分もの。「ゲゼルシャフト」なら、契約違反で組織を危機にさらす不届き者と言うことで、告発者に胸の痛みはありません。

しかしながら現状の企業組織は小規模で非公式な「ゲマインシャフト」の島々を公式な「ゲゼルシャフト」の関係でリンクしたようなハイブリッド状態。しかもこの「ゲゼルシャフト」は未だ未成熟。契約社会というよりは契約を盾ににらみあったままで、自発的に何かをアブり出したり折り合いをつけたりといったノウハウには一人一人が長けていない。
結局小田原評定が続き、大岡裁定を待つといった感じで、不祥事の内部告発も上から至れり尽くせりのお膳立てをして待っては見るが、あがっては来ないといったことになるのかも・・・

翻って米国なんかを見ると・・・・・・
企業だけでなく国家そのものが「ゲゼルシャフト」といった感じで、大統領は就任演説で聖書を片手に国民ではなく神に忠誠を誓う。国民ももとより神には忠誠。ということで両者は神の基に対等、神を裏切ったものは大統領といえども一市民からでさえ告発弾劾される。告発は命を賭しても行う神への義務といった感じなんでしょうか。(ちょっとこれはハリウッド映画の見すぎなのかも?)

他方どこかの国では就任演説は「神」ではなく、原稿用紙の「紙」との対話。テレビカメラを気にして時折顔を上げはするが目は宙を舞いうつろ、いったい誰に忠誠を誓っているのか、どうやら村のようでもあり、だったら村のおきてを破らない限り告発されることはない・・・

などと、変な横道にそれましたが、企業が倫理に気を使い、構成員が告発の是非に思いをめぐらすのは結構なこと。

そして企業が今後少しずつ村社会から脱していくとはしても、それがバラバラでギスギスした構成員の単なる集合体とはならないよう、安定した組織の構成原理を見つけうることを願うばかりです。 (2005.3.5)
by c_mann3 | 2008-06-16 00:00 | Comments(0)
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