◆ロシア、クリミアを編入・・・そしてユーラシア主義

【2014.3.19記】 米国やEUの非難、制裁決議の中、ロシアがまさかのクリミア編入に突入しました。

強い軍事的威圧の中とはいえ、クリミア自治共和国内限定の国民投票、クリミアの共和国としての独立宣言、それを受けてのロシアの国家承認と編入への手続き開始・・・ことは一挙に、白昼堂々と、しかもほとんど流血も伴わず進んでしまいました。

米国やEUは制裁強化を進めようとはしていますが足並みはそろわず、ロシアがウクライナ本体への侵攻でもしない限り、ことはこのまま既成事実となってしまいそうです。

時代はもう21世紀だというのに、今もなお、こんなことが起こり得るんですね。“圧倒的な強い力と強い意志”が機を見て動けばこれからもこんなことは起こり得る・・・

クリミアでもモスクワでも国民が沸きかえる中、プーチンは“クリミア住民とロシア国民の強い支持に応えた”と高らかに宣言。

ただ、“民族の民意に応える”という言葉は気高いですが…それはロシアに回帰する場合にのみであり、チェチェンのように離反しようとする民意には容赦なく厳しい。そうした矛盾を平然と抱えて突き進む限り、まだまだいろんなことが起こりそうですよね。

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【2014.4.9追記】・・・「ユーラシア主義とは何か」・・・

 
クリミアのニュースが下火になったのでこれで小康状態かと思ったら、ウクライナ東部が騒然としてきました。
そんな中、「読むなら今でしょ」と、以前から気になっていながら手つかずだった一冊の本を読み始めています。

題して「ユーラシア主義とは何か」、浜由樹子著、成文社で2010年の刊。
ユーラシア主義とは1920年代、ヨーロッパ由来の共産主義により樹立したソビエト政権を逃れてロシアからヨーロッパに亡命した知識人たちの間で沸き起こったムーブメントなのですが、その主題は“ロシアはヨーロッパなのかアジアなのか”、広大な版図と多民族で構成されるがゆえに“多様性と一体性”が望まれる本来のロシアは、何をよりどころに、何を目指して、どうふるまうべきなのかが篤い争点に。

だがその運動は祖国の大勢に影響を及ぼすことも無く、やがて第二次大戦への突入でいったんは消滅していたのですが、ソ連邦の崩壊で再び自問自答せざるを得ない時代になったのだと・・・


以下はそんな本を眺めながら思うたわごとですが・・・

ゴルバチョフの意向を越えて一挙に崩壊したソ連邦、歯止めになるはずだったCISも機能しないまま雪崩を打つようにヨーロッパになびいて行く連邦構成諸国を、只々見送るしかなかったロシア。以来20年余を経て国力を取り戻したロシアが今うごめき始めている。

b0050634_14313831.jpg大国の強引な覇権主義のようにも見えるが、プーチンの胸中にうごめくものはそれだけでもない、ユーラシア主義の自問自答から生まれる新たな精神的支柱を持ったロシアの再構築なのかもしれません。
ですがユーラシア主義の命題の一つ“民族の多様性(の尊重)と一体性(の確保)”は本来矛盾も抱え込んでいる概念。ひとつには多民族の精神的支柱であったいろんな宗教を一旦カッコでくくり、“新たな新興宗教であった共産主義”を押し付けることでソ連邦は成り立っていた面があるが、それが崩壊した今、その新たな精神的な支柱としてロシア正教色を強めるならイスラム色の強い地域との軋轢が強まるのは自然なこと。そして何より多様性は尊重はするが離反は許せないとなると軋轢はさらに強まる。

そして一方のヨーロッパも次々と増えるEU加盟申請国を前に抱え込む経済格差だけでなく、さらにはトルコのようなイスラム圏の国迄もが加入するとなると・・・“ヨーロッパとは何か”を考えざるを得ない状況にあり、ここでも命題は域内の“民族の多様性(の尊重)と一体性(の確保)”、そしてそれをなしうる限界はということになりそうです。

“民族の多様性(の尊重)と一体性(の確保)”・・・そういえばそれは中国にも当てはまる悩みのはず。21世紀は同じ悩みを背後に抱えながら同病相哀れむはずの勢力圏同士が角を突き合わせる、奇妙な世紀なのかもしれません。

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by c_mann3 | 2016-04-18 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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