◆原発事故から丸四年の節目を迎えて

【2015.3.11記】 今日で原発事故から丸四年が経過しました。おりしも政府では将来の電源構成(エネルギーミックス)の議論がぶり返しており、福島第一では相も変らぬ汚染水漏れやその公表遅れがニュースになっています。
タイミングを合わせたかのようにせっかくご来訪のメルケル首相と安倍首相の会話では、「福島の事故をきっかけに脱原発を政治決断した」と「安全が確認されれば速やかに再稼働」でかみ合わないままでした。

ところがおもしろいことに、脱原発を政治決断し自然エネルギーによる発電が50%を超える日も出始めているドイツでは、実は今も原発がしたたかに稼働している。対して再稼働を声高に叫んでいるはずの日本ではこの一年半原発はゼロのまま。安全が確認されればというが確認されたかに見えるサイトの原発も再稼働は結局この冬には間に合わず、この夏さえも不透明というのは皮肉な話ではあります。
ともあれ、そんな中で目についた最近のエネルギー関連の動きへの感想を以下に幾つか・・・

▼突然降って湧いたソーラー接続中断の話・・・
九州電力から突然出てきた接続停止の話には経産省が間髪おかず反応し、あっという間に無補償無制限の抑制ルールと受け入れ限度枠が決まってしまいました。
なにやら固定価格買取制度が始まった途端に飛びだした風力発電抑制の話を思い起こさせますが、今回も算出された限度枠は原発再稼働をまるごと前提とした値のようであり、なぜ出力抑制なのかといった説明や今後の緩和策も、取りあえず見繕ったようなあいまいなもののままでした。従って今後の接続量拡大策も蓄電池の話にすり替わったりして、事の本質とは異質なものになりそうです。

なおこれについてはドイツの識者のお見立てをこちらに・・・http://www.energy-democracy.jp/650
また以前の風力買取枠の制限の話はこちらに・・・http://cmann3.exblog.jp/19328546/

ですが今回のこのハプニングは必ずしも悪い話ではない。原発事故の直後に始まった自然エネルギーの固定買取価格制度は、電源確保が困難な中で昼間のピークを押さえられるならとして始まったもの。国民上げての節電と一挙に群がったソーラーの建設で、例えば九州などは既に真夏でさえも昼間のピークは無くなりフラットになっている。このブログでも以前に書いている『有効ソーラー』の量は既に超えてしまっていて、これ以上のソーラーについては固定買取価格が十分に下がるまで一旦ブレーキがかかるのもいいのかもしれません。

▼種々の自由化が近づくなかで・・・
東京電力は電力料金の再値上げを見送りましたが、関西電力は再値上げの申請に。ですがこれで管内の顧客の関電離れはさらに加速し、悪循環に入りそうな気配です。あくまでも原発再稼働を前提にし、それまでは総原価方式による値上げで乗り切る算段なのかもしれませんが、自由化に備えて新規参入する企業が急増している中では通用しにくい経営戦略という外ありません。

▼原発の稼働台数・・・
この1年半、もはや原発はなくとも電力も経済も何とか回っていくとの実績が更に積みあがる中、この夏に間に合うかどうかは別にしてやがて再稼働は始まりそうです。
ですが一方で40年廃炉ルールも動き始め、既に5基は40年での廃止を決めたとのこと。このルールには一回限りの延長条項もあるのですが、延長の条件として規制委員会が繰り出す高いハードルがあり、一方で廃炉に伴う減損会計処理の緩和や政府の支援策が固まっていくなら、一部には延長申請をするところがあったとしても、大勢は40年で打ち切りの廃炉路線が定着しそうです。しかしそれは企業の安全理念などというものではなく損得勘定によるものであり、それはすでに米国でも始まっている趨勢でもあります。

その上で、再稼働する原発と廃炉が競合しつつ、いったい今後の原発の稼働台数はどこに落ち着くのでしょうか。
それを決めるエネルギーミックスの議論が今まさに進行していて、そこからは構成比で15%とか20%といった数字が聞こえてきます。40年廃炉を厳格に守るなら自然に15%に落ち着きますが、延長、設備の更新、さらには新設をも視野に入れて20%以上を狙う主張もあるとのこと。

▼そうした先でこれから起こりそうなこと・・・
2030年で原発比率は15%か20%超か・・・えっ、ゼロの話はもう出ないの?といった感じですが・・・悲観するには及ばない。ちょうど二年前このブログ(この下の記事)にも書いているように・・・政府の諮問機関の論議や要人の発言とは別にこの話は人智を超えて動く、そして日本のエネルギーポートフォリオは落ち着くところに落ち着く。そのカギはいよいよ始まる電力の自由化、発送配電の分離ということでしょうか。
実は反原発や脱原発の人たちにとっては自由化が本格化すると、街頭デモを越えて、もっと直接的な効果のある『不買運動』といった手段が手に入る。

安全基準の達成等で実は原発は安価な電力ではないことが露わになってきましたが、それを総原価方式で転化するならば自由化で生まれる身軽な新電力会社とのコスト差は明らか。そこで早くも割高な原発は原発専用の固定価格買取制度を作って守るといった話が出始めていますが・・・『原発由来の電力は不買』の運動が起こればどうなるか・・・原発ありきの電力会社は、総原価方式に変わって固定価格買取で利益確保と思っても需要が無くて稼働できない原発では固定価格での買い取りも成り立たない。発送配電分離が始まって気が付くと回らない原発を抱え何処からの給付金で再びわが世が来ることを待ちわびる、まるで今の日本原電のような会社があちらこちらに生まれる・・・そんな気がしないでもないのですが、まずは要経過観察ということでしょうか。

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by C_MANN3 | 2014-09-02 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)
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