◆区分別読書の履歴・・・《進化・生命科学系》

 ◆区分別読書の履歴◆   進化・生命科学系 

区分けの境界はあいまいですが、スクロール上下で各区分も見て頂けるということでご容赦を!

◆生命 最初の30億年 H28/4読

友人に勧められて手にした本なのですが、アンドルー・H・ノース著、紀伊国屋書店、2005年刊。副題が“地球に刻まれた進化の足跡”とあり、この本は35億年前のこの地球に生命の痕跡らしきものが見え始めたころから、5億年前のカンブリア爆発までの、最初の30億年の間の生命の進化を解き明かしていくドラマチックな構成の大作です。

カンブリア紀以降に比べると格段に物的資料の乏しい空白の期間なのですが、世界の極限の地を踏査し太古の環境の名残や微化石を追い求め、層序学、放射性同位元素による年代測定、DNAやRNAのかけらに分子時計を当てはめた生命系統樹の分岐点推定、さらには太古に類似の環境で生息する太古と類似の現生微生物の分析と、あらゆる手段を組み合わせて生命進化の謎解きをしていくプロセスが克明に描かれています。
その中で地球環境が生命を生み、生命が環境を変える(例えばCO2やO2の濃度なども一例かも)、地球と生命は正に共進化してきた関係なのだといった味わい深い話も随所に出てきます。
ただこの本自体は原著が2003年に発行されたものであり、今となってはこうして解き明かされた答えは既に教科書にもまるで自明のことのように淡々と箇条書きされている事項も少なくないのですが、この本ではそれに至る大変なプロセスが今なお残されている課題や異論と共に描かれていて、机上で教科書の箇条書きを丸呑みしてしまっている自分がちょっと恥ずかしくなったりも・・・

ともあれ最も古い祖先と思っていた古細菌は実は新しくてもっとその手前がある、DNAが生まれる前にはRNAワールドがある・・・わかればわかるほど、その先が解らなくなるこの世界に分け入っていくにはこの本に描かれているようなドラマチックなプロセスが更に果てしなく必要のようです。


◆エピジェネティクス H27/12読

仲野徹著、岩波新書1484、2014年刊。ひとつ山を越えると次の山が見えてくるということでしょうか。
DNAが分かればすべてが分かる、そう願って全ゲノム解読の山を越えてみると、そのDNAは自由気ままに発現できているわけではなく、そこには発現制御機構というもう一つの山が立ちはだかっていた。その機構がエピジェネティクス、そのひとつはDNA個々の要所要所に取りつくDNAメチル化、そして長いDNAを保持しているリールのようなヒストンに加えられた数々の修飾。DNAは解読されタンパク質に翻訳されてはじめて人体を構成していくが、そのDNAにまとわりつくエピジェネティクスはまるで膨大な文字列の本に挟まった"しおり"やアンダーライン、伏字、塗りつぶしとなって解読(発現)を制御していく。
しかも細胞分裂に際してはDNAと同じくエピジェネティクスの情報も引き継がれていく。しかし突然変異以外では変わらない安定したDNAに対してエピジェネティクスは体内外の環境の影響を受けダイナミックに変化する存在でもある。

この本ではDNAメチル化、ヒストン修飾といったエピジェネティクスの機構が分かりやすく解説された上で、同じDNAを持った一卵性双生児が環境が異なるとやがて異なる発育を見せる、よく似たDNAを持った兄弟や親子でも同じ部位で発癌するかどうかは異なる・・・そういったエピジェネティクスが支配している現象が次々と紹介されていきます。
エピジェネティクスは今、時代の最先端のホットな領域であり、その分センセーショナルに扱われやすい領域でもあるとのことですが、その詳しい解説だけでなく、著者のこの領域への篤い思いと科学者としての冷静な目線が伝わってくる感動的な一冊でした。


◆破壊する創造者 H27/10読

フランク・ライアン著、早川書房2011刊。“生物の進化は突然変異と自然淘汰の積み重ねによるもの”と言われても、何か都合がよすぎる感じがしてもやもや感が払しょくしきれない中で出会ったのがこの本。

この本によるとその副題、“ウイルスが人を進化させた”が示す通り、進化の源泉はウイルスの進入と共生の積み重ねによるものだと。確かに私たちを含む動物や植物の細胞はミトコンドリアや葉緑体の進入を受け共生するようになったことで飛躍的な機能を手に入れたが、それは突然変異じゃないですよね。もちろんミトコンドリアや葉緑体はウイルスではないが、それよりもはるかに進入(感染)力の強いウイルスはもっと頻繁に進入し続けその痕跡がDNAのイントロンやLINE、SINEといった領域にはぎっしり蓄積されている。

ウイルスが侵入し宿主と共生しようとすることを攻撃的共生というらしいですが、その第一段階の攻撃を受けると宿主側は免疫力等で防御はしてみても結果的には99%以上が死滅する。そして絶滅の一歩手前で相利的関係を築いて共生関係に入る。その結果生き延びた宿主の側は新たな機能を手に入れて再度繁殖する。そういったことを繰り返して今に至っているということのようです。種の一部の個体に突然変異が発生しそれが交配によって子孫に拡がって行くとの話に比べると、ウイルスは特定の種にくまなく一斉に襲い掛かり、しかも種のDNAに直接影響を及ぼす分、特定の種の進化の説明としては納得しやすいものがあることは確かです。

とはいうもののこの本、不慣れな私などには難解なところも多く、ちょっと今の時点では消化不良の感じはぬぐえませんが・・・哺乳類が胎盤を手に入れた経緯等、ウイルス由来と思われる進化の事例等も豊富に解説されていて、読んでいて説得力があり、繰り返して読んででも理解を深める価値はありそうな一冊です。

      
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by C_MANN3 | 2015-02-18 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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