◆甦れ、わがロシアよ

【2015.12.20載】 ゴルバチョフの時代となりソ連邦の崩壊を予感したソルジェニーツィンが亡命先の米国で、新たなロシアへの提言書「ロシアをどう構築するか」を発表したとの話は、この数個下の記事でも話題にしていたのですが・・・実はそれが発表と同じ年に邦訳されていたことを知り、今頃になって読むことに。

題して「甦れ、わがロシアよ-私なりの改革への提言-」、日本放送協会出版、1990刊。2011年のテレビ放映ではタイトルが「ロシアをどう構築するか」と紹介されていたのですが(これがロシア語の原題に近い)、訳者の木村浩さんがソルジェニーツィンの篤い思いをより鮮明にすべく意訳したとのこと。

この本では“緊急を要すること”と“その先のこと”に大別して、新たなロシアの地勢的な輪郭、拠り所とすべき魂(つまりは宗教的基盤への回帰)、国家の形態、選挙や権力の在り方、民主主義や資本主義経済導入への注意事項等々と、驚くほど広範囲で網羅的な提言がなされています。
そうした中で興味を引いたのが・・・連邦は覇権主義の勢力維持からは決別し、バルト三国、外コーカサスの三共和国、中央アジアの四共和国等を切り離し、同じ魂の響き会うかつてのルーシー国(旧ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)の輪郭に戻って再出発すべきだとの提言。
ルーシー国についてはこのコーナーに別掲の “物語ウクライナの歴史” を合わせてご参照ください。
結果はまさしくここに上げられた各共和国がこぞって分離独立したのですが、勢い余ってベラルーシ、ウクライナまでもが分離独立することに。ただこの本ではこの両国についても“切り離すこともできないが、混ぜ合わせることもできない”地域であり、“もしウクライナが独立したいというならそれを押さえることは誰にもできない”といった記載もあり、ソルジェニーツィンはそうした事態をも予感していたのかもしれません。

ともあれ、この提言は1990年、有力全国紙二紙の付録文書として発行され、なんと2650万部が配布されたとのこと。提言の全てが実現したわけではないとしても、まさしく歴史に残る貴重な文書であることには違いありません。

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by C_MANN3 | 2016-04-24 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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