【2010.6.18】 アメリカの一極支配の終わりが始まり、ユーロセントリズムの歴史観が揺らいでいる・・・などといった切り口で始まる壮大なスケールの本が出ています。題して「ユーラシア胎動」、堀江則雄著、岩波新書1247。
この本が語るユーラシアには西端の“ヨーロッパ半島”は含まず、それ以東のロシア、中東、中央アジア、インド、中国を含む広大な領域を指していて、それはかつてのモンゴール帝国の版図に近い。 ソ連邦崩壊の中からロシアが復活し中国が台頭するなかで中央アジアを含めた国々では紛争の元だった国境も次々と折り合いがつき友好関係が樹立されてきたが、その枠組みとなるのが上海協力機構。そしてその絆の証は国境を突き抜けて数千キロにわたって突き進む鉄道、高速道路、そして石油やガスのパイプライン・・・それはまさにシルクロードに重なるルートであり、その沿線に並ぶ国名の末尾がスタンで終わる国々が新たな要として浮上。 新たなる道を行き交う戦略物資はかつてのシルクに変わってエネルギー資源。そうした中でロシアは石油の埋蔵量が世界の14%で第二位、天然ガスは27%で第一位。 ソ連邦の時代、石油やガスはシベリア西端で生産されパイプラインも西にのみ向かっていた。だが今新たな油田やガス田がシベリアの中央やサハリンを含む東部で発見され、生産地もパイプラインの仕向け先もがどんどん東に向かって重心を移しつつある。 計画ではいくつもの方向から伸びるパイプラインが中国の沿岸部を目指しており当面は中国の激増する需要を満たすことになるが、併せて十年を待たずに日本の石油、LNGについてもその数割がサハリンや東シベリアからのものになるとのこと。 それにしても・・・行き詰まる西欧先進国を尻目にこうしたユーラシアの国々が千年の時を経て再び世界の主役になりそうな気配の中で、米国と対等になることばかりに気を取られている日本って、大丈夫なんでしょうか?(2010.6.18)
by C_MANN3
| 2015-12-22 00:00
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