◆歴史の終わり・・・ 

◆歴史の終わり 上・下 H27/11再読

フランシス・フクヤマ著、三笠書房、1992年刊。この本のサブタイトルは"歴史の終点に立つ最後の人間"、この方が英語版の原題には近いのですが、“自由主義や市場経済が人類がつかんだ最終の形態”といったことが書かれていて、それがソ連邦崩壊と時を同じくして出されたために自由主義陣営の勝利宣言といった受け止められ方で評判となった本。
ですがよく読むと、自由主義や市場経済は人類がやっと手にした“よりましな形態”には違いないが、その歴史の執着点ともいえる世界で、そこに生きる我々は本当にそれを安定した世界として維持できるのか?といった懸念が主題のよう。

有史以来歴史を動かしてきたものは人の「優越願望」、そしてそれとは矛盾する「平等願望」とその実現に向かて突き進むエネルギーとしての「気概」。まずは「優越願望」がぶつかり合い、幾多の戦いを繰り広げて“君主と奴隷から成る専制国家”を再生産してきた。そうした中でしいたげられた人たちの間から「平等願望」の動きが芽生え、いくつかの革命を経て人類は自由民主主義の社会システムを手に入れたはずであった。だが同じ「平等願望」を起点としていながら世界は共産主義社会と自由主義社会という2つの形態に分かれてさらに「優越願望」を競う羽目に。ところがその片側の共産主義世界が突然内部崩壊してしまったために、自由主義、市場経済のシステムがファイナルアンサーとして残ることに・・・

だがこうしてついに「平等願望」が達成された社会でも、人の心には「優越願望」やそれを求める「気概」は残っている。それをうまく昇華させないと歴史の終わりはたちまち新たな抗争の歴史の始まりとなり、繰り返されかねない・・・で著者は“最後の人間”のモデルとして戦国の時代を経た後、一転して数百年の平和な時代を維持した江戸時代の日本人の生き方に期待を寄せるといった記載も。
ともあれこの本は20年を経た今日でも何かあると蒸し返して議論されるようで、その都度著者のハヤカワさんからは新たなメッセージが・・・そのうちのいくつかを下記のリンクに。
   http://www.nikkei.com/article/DGXZZO81529260T00C15A1000000/
   http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304826804579617641333732478
by C_MANN3 | 2015-12-29 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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