◇シルクロードの古代都市

◆シルクロードの古代都市 H28/6読

加藤九祚(きゅうぞう)著、岩波新書1444、2013年の刊。副題に“アムダリヤ遺跡の旅”とあり、この本ではネパール高原やヒマラヤ山脈に連なるアフガニスタンのヒンドゥークシュ山脈を源とし、中央アジアを西に2574kmにわたって流れてアラル海にそそぐアムダリヤ(アム川)と、その上流のバクトリアの遺跡について紹介してくれています。

まず序章としてアムダリヤとアラル海の地形や風土が紹介されるのですが、かつては世界第4位の広さを誇っていたアラル海が一大灌漑事業により1960年を境に一挙に干上がり、湖水面積が1/5まで激減してしまった経緯が紹介されています。川の上流で水量の1/4を分岐させ1100kmに及ぶ運河を作り広大なエリアを綿花畑に変える、100mも揚水して高地に運河を作り都市を潤す、だがその結果一方では湖水を干上がらせ広大な塩害の地も生み出してしまう・・・強大な計画経済国家だからこそできた、そしてしてしまった20世紀最大の大地改造、自然破壊の結果です。

で、本題のこの川の上流バクトリアの地は、ユーラシアの西とインドや中国をつなぐ要衝の地であり、それだけにアケメネス朝、アレキサンダー大王東征、クシャン朝といろいろな勢力の侵攻を受け、何重にも文化の融合を重ねてきた土地であり、その様子がうかがえる遺跡が次々と発見され調査が進んでいると。
いずれの遺跡もヘレニズムの影響は強いのですが、そのひとつ、アイハヌムはアレキサンダー大王東征の後、グレコ・バクトリア王国に入植したギリシャ人中心の都市であったらしく、街の姿は円形劇場、神殿とギリシャの街にそっくりの造りとなっているとのこと。
対してタフティ・サンギンはギリシャ人とバクトリア人が共存していた街であり、そこでの神殿の造りや推定される儀式からギリシャ神とゾロアスター教の風習が見事に融合している様子が明らかになってきたと。
そこでゾロアスター教についても1章を割いてくれていて、原ゾロアスター教、その一大改革者であるツァラトゥストラの生涯、そしてその後のゾロアスター教に続く変遷が詳しく解説してくれていて、これも読みごたえのある1章となっています。

それにしてもなじみのない地名のオンパレード。ならばと付図の地図を拡大コピーして横に置き、さらには地名の迷子になりながらもグーグル地図の衛星画像を拡大したり縮小したりしながら読み進めるうちに(一旦場所が特定できて超拡大すると遺跡の輪郭がくっきりと見えて感動です!)、あこがれの中央アジアに少しは足を踏み入れた気分がし始める、ありがたい一冊でした。
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ところでアラル海やゾロアスター教についてはこのブログでも以前に駄文を・・・
     アラル海、 ゾロアスター教
そしてこの本の著者、何と御年94才とのことなのですがその波乱万丈の経歴やご活躍のご様子を・・・
     岩波のサイト(この本の写真や地図も)、 そして新聞のインタビュー記事


▼2016.9.12追記 この本の著者、加藤九祚さんが調査の旅先のウズベキスタンでお亡くなりになったとのニュースが流れています。94歳とのこと、ご冥福をお祈り申し上げます。
    http://www.asahi.com/articles/ASJ9D6GZKJ9DPTFC01K.html


---------------このコーナーはここまでです-----------------
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by C_MANN3 | 2017-03-18 00:00 | Comments(0)
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