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◆退行は変容へのインキュベーション・・・

【2006.2.6記】 リビドー(精気)が出口を見失い、鬱々とした状態となり、意識のベクトルが内面に向かうことで、日ごろは霧の彼方にかすんでいたはずの無意識と少しずつブリッジが架かり始める・・・退行のイメージがこんな風だとすると気持ちのいい状態ではないのですが・・・そのおかげで無意識の領域からにじみ出てくる何がしかと、じっくり時間をかけて折り合いをつけ、新たな状態へと変容していくことができる・・・

「退行」の状態は変容へのインキュベーションの期間・・・人が成長するためには貴重な時期、時間帯なのかもしれない・・・なんてことを思ったりもします。


◆ 退行、変容・・・たとえて言うと

退行というのは、外に向かっていたエネルギーがなんらかの事情で行き場を失い、自分自身の内面にこもってどんどん萎縮、収縮し、冷え切っていくこと。
これをまたしても物理現象に例えると・・・

たとえば身の回りにある空気とかいった気体。常温常圧下では、はつらつとして弾力性に富んだ気体なのですが・・・何らかの事情で環境との関係が冷え切ってくると、はつらつさが失われ温度が下がり、体積が縮まって収縮していく、これが《退行》・・・さらに温度が下がっていくとマイナス百何十度かでもう気体ではいられなくなり液体になる。この変化を物理学では変態と言うがこれがユングでいう《変容》・・・気体が液体になり、さらに冷えると固体となり・・・さらに冷やされると物質によっては突然、超伝導とかいったとてつもない《変容》を遂げることさえある・・・

やはり物理学の世界でも心の世界でも・・・変容は退行の果てでのみ起こる現象のようです。そして心の世界では、こうして得られた変容の成果をひっさげて現実の世界に戻ることが必要なのですが・・・
残念ながら物理学の世界では、せっかく起こった変容も常温常圧の元の世界に戻ると跡形も無く消滅し元の木阿弥ということになります。

心の世界では危険な退行の世界を経て変容を起こすことだけでも大変なのですが、それを保持して現実の世界に戻ることは更に大変といわれているのが・・・うなづけなくも無いってことでしょうか。(2006.2.6)
by c_mann3 | 2007-08-16 00:00 | Comments(0)
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