◆西垣通さんの「情報学的転回」

オートポイエーシスを軸に生物細胞から人の心、社会システムまでを一気に語りつくした前掲で紹介の本、「基礎情報学」をお書きになった西垣通さんに新著が出ました。

題して「情報学的転回 IT社会のゆくえ」、春秋社より2005年12月刊。

著者は“第五世代コンピュータの開発”にもかかわっておられたとのこと。このプロジェクト、1980年代に日本の国威をかけてスタートしたものだったのですが・・・あえなく挫折。
コンピュータで人工知能をと英知を結集し、当時言われていた知能言語prologの直接実行マシンの開発に挑戦したが結局実用化には至らなかった。

コンピュータはユダヤ・キリスト教の一神教が持つ普遍主義を具現化したもの・・・それとは似て非なる日本民族が取り組んでも挫折は見えていた。だが、そういった分析や反省はなされないままに・・・日本はアメリカ追従型のIT革命の時代に突入。気がつくと日本人がもっていた非一神教的なよりどころは失われ、心自体が情報システムに踊らされるロボットと化してしまった。

話はこのあたりをスタートに情報論、コミュニケーション論から宗教論と・・・どんどん広がり、西欧型の一神教的な普遍主義の蔓延に対する対抗軸として、仏教やインド哲学をベースにした、新たな普遍思想を構築しなければ世界にも地球にも未来は無い・・・そしてそれができるのが神道や仏教のバックボーンを持ち、それでいてユビキタスに分散したマイコンとWebネットの技術に長けた日本人なのではないのかと。


著者が始めての“語りおろし”風の著作と言うだけあって、語りだすと溢れる思いでもうとまらないといった感じ。ついつい引き込まれ、最後のほうではページをめくるたびに声を出して笑ってしまう始末。むろん、面白くて、うれしくなっての笑いなのですが・・・おっ、この話がそこへ飛ぶか!えっ、その話がここにつながるか、といった感動の連続・・・ぜひお勧めの一冊でした。

実はうれしくなってしまうには私のほうにも理由が・・・“クオリアの風景”とか称しているこのブログ、三つのカテゴリーを同時進行させ、《クオリア・・・》で脳科学や認知科学を、《ユング・・・》で宗教や深層心理を、そして《組織心理・・・》で集団や社会の世相を・・・このスーパートライアングルで何かがつかめないかと思う私にも似たような嗜好性が・・・

もちろん、プロとアマ、比較することなど笑止なのですが・・・似たものを感じてうれしくなるのは読み手の勝手ということでご容赦を。(2006.3.14)
by c_mann3 | 2012-02-08 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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