◆感動本!「他人を□□す若者たち」

最近お目にかかった感動の本一冊。ちょっと勘違いを誘発しそうなタイトルだったので、あえて伏字を使いましたがこの本の原題は「他人を見下す若者たち」、講談社現代新書1827です。ですが近頃の若い者は・・・といった論調とはかけ離れた真摯な本です。
著者は名古屋大院教育発達科学の教授の速水敏彦さん。綿密な調査と論考を積み重ね、今に生きる日本人の心象を浮き彫りにしてくれています。

若者のうちから始まるある種の心の傾向が随分以前から見られ、結果として元若者である中高年に至るまで蔓延している。
それは他者蔑視をバネにした自己優越感。周りの人と比べてみるそうでもないことは一目瞭然なのですが・・・こうした人たちは身近な人と交流しない。比較しようにも情報が無く、馬鹿にしたとしてもハネッ返りの無い遠くの人を蔑視する。またそうすることで自分自身には自信が持てないことを覆い隠していく。著者はこうした客観的根拠に乏しい自己有能感を「仮想的有能感」と称していますが、これと自分自身への自信の程を表す「自尊感情」の二つの要素の強弱で四つの組み合わせがあるのだと・・・

全能型・・・仮想的有能感も自尊感情も高い
自尊型・・・仮想的有能感は高くないが自尊感情が高い
萎縮型・・・仮想的有能感も自尊感情も低い
仮想型・・・仮想的有能感が高いのに自尊感情が低い

この類型の世代間分布を色々な調査の結果で分析すると萎縮型、仮想型は若い人に多く、全能型は中高年に多いとのこと。
この本にはそれぞれが巻き起こす世相が余すことなく、くっきりと描かれています。

ところで・・・この本には仮想的有能感尺度を計るテスト問題が掲載されていて、ならば私もとやってみると、なんとかなり強度の全能型。よせばいいのにそれをつい口に出したばかりに、家族中から顰蹙を買ったりあきれられたりすることしきり。もちろん自身のことを全知全能などと思っているつもりはないのですが・・・若者の有能感と同じくその認識にどれだけ客観的な根拠があるものなのか、じっくり自省しなければ・・・私のような年代にはありがちなことといって済ますわけにも行かないですよね。

もっとも一見全能型に見える私にも積年のコンプレックスが潜んでいたりすると・・・実は若者と同じ仮想型だったりするのかも・・・

ですが、仮想的有能感とか全能感がいろいろな世代で蔓延しているとなると・・・これも会社の中の会話がからみにくく成果の乏しいものになっている一因なのではないかと思ったりもします。(2006.6.1)
by c_mann3 | 2009-12-10 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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