◆行動経済学・・・

ふらりと入った書店で目にとまった本、「行動経済学」。友野典男(明治大)著、光文社新書254、副題は“経済は「感情」で動いている”です。

1950年代以降の社会系科学は《行動科学》⇒《認知科学》⇒《進化論や脳科学の影響を受けたもの》へと大きく変遷などといったイメージを持っていることもありタイトルを見た瞬間、何で今頃になって《行動》を冠した経済学?と思ったのですが・・・パラパラと目を通してみると面白そうなので買ってみることに・・・

従来の経済学は「合理的経済人仮説」を前提にし、人は効用最大化を目指して数式の上を一歩も踏み外さず歩むものとして構築されてきた。「勘定」は重視しても「感情」は持たない、「市場」は重視しても「私情」や「詩情」とは無縁・・・そんな前提から出発した経済学ではマクロは説明できても個人や企業の意思決定の役には立たない!

・・・ということで誕生したのが「行動経済学」。経済学の本流からは冷ややかな視線を浴びながらも心理学、認知科学、進化論、脳生理学の分野と交流を重ねて磨き上げること30年。ついに創世期のメンバーがノーベル経済学賞に輝く(2002年、カーネマン教授)ところまできたのだと。

完全合理性よりは限定合理性、精緻な数学解よりはヒューリスティクス、そして人の判断には数々の認知バイアスが掛かっているいることを前提にした「行動経済学」。この本はその歴史とエッセンスがまとめられた読みやすい解説書、お勧めの一冊です。特に最後の第9章では最新の進化論や脳科学が新しい経済学の強力な援軍や裏付けになっている様子がくっきりと描かれています。

◆そんな中で、身につまされるトピックスをひとつ・・・

この本の副題の“経済は「感情」で動いている”は、感情的に動くという意味ではない。事故で脳を損傷した人達を調べていくと・・・前頭葉の一部を損傷しただけで知性も人格も全く損なわれていなくて“感情”だけを失った人は、状況を判断し色々な選択肢の合理的な利害得失の計算が完璧にできるにもかかわらず、最後の意思決定ができないことが解ってきたとか・・・
要するに意思決定には合理的な計算だけではなく生き生きとした感情が必要だということであり、
“解っているのに決心や行動ができなくなってきた”時は・・・感情の枯渇を疑ってみることも必要なのかもしれません。(2006.9.30)
by c_mann3 | 2012-10-14 00:00 | クオリアとか進化論など | Comments(0)
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