◆会社は誰のために・・・

文芸春秋から出版された本、「会社は誰のために」が評判を呼んでいます。
新たに経団連会長となったキャノンの御手洗富士夫さんと伊藤忠の丹羽宇一郎さんの対談集・・・というよりは対談をベースにリレーエッセィ風にまとめられた読みやすい本です。

前掲の記事(ひとつ上にスクロール)では「会社は誰のものか」を話題にしましたが、「・・・誰のものか」を「・・・誰のために」に置き換えるだけで全く異なった風景が広がるのが不思議です。

キャノンはエクセレントカンパニー。従業員第一主義で研究開発と変革力を重視。事業のリストラはやっても人のリストラはしない。終身雇用は守るが実力主義は貫徹。

御手洗さんは世界中の創業100年を超える優良企業を研究し、ご自身も目指しているとか・・・GE、P&G、デュポン、こうした企業は何れも長期の研究開発でのみ得られる事業寿命数十年の基幹商品を次々に繰り出し、百年を超えてエクセレントでありつづける企業。それを支える研究開発と人を維持するための原資として利益を重視・・・

いわゆるカタカナ経営論とは一味違った話が次々と繰り広げられていて、これまた前掲の記事で話題にしていた本「日本の優秀企業研究」がそのまま裏付けられている感じです。


ところで、どこかの新聞のコラムで見たような気がするのですが・・・
CANONの語源は何と「観音」。御手洗さんはキャノンUSA社長のころ、社長室に大きな観音菩薩像を飾っていたとか・・・もしかすると毎日その表情を眺めながら戦略を練っておられたのでしょうか。

観音様はあらゆる人を救い、あらゆる願いをかなえることが役割・・・千手観音とか六面観音といったように多面多臂の超人間的な姿をしているのは四方八方に気を配り手を差し伸べるためだとか。

あまねく衆生を救う観音様・・・今回の本をじっくり味わっていると、先端企業キャノンの社風と観音菩薩像のイメージがつながってくるのが不思議です。(2006.11.18)

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◆でも、ちょっと気になることが・・・

(2007.2.20追記)キャノンの社名の由来は千手観音などと書いてしまったこともあり・・・最近、経団連が立て続けに提言しては揺れ動いている労働政策の行方が気になるところです。

そのひとつは「自己管理型労働制(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)」、これはいろいろな条件変更の議論を経たものの結局今回の法案提出は見送りに。
もうひとつは偽装請負問題に端を発する非正規労働者の正社員化。こちらのほうは御手洗さんのお膝元、キャノンの大分工場でも問題になり、一旦は正社員化の推進が言われていたものの、どうやらトーンダウンして新卒採用優先に方針変更との話も・・・・

キャノンが商品技術力においてエクセレントな企業であることには何の疑いもないのですが・・・キャノンも含めて御手洗さんが率いる新しい経団連が労働政策で本当に“四方八方に気を配り、あまねく衆生を救う観音様”となりうるのかどうかについては・・・ちょっと要経過観察といったところなのかもしれません。
by c_mann3 | 2010-09-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)
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