本屋の新書コーナーに積み上げられた本の中で、帯広告に「Web3.0・・・」などと書いたものを発見し、ドッキリしたついでに買ってしまいました。
題して「次世代ウェブ」、副題が“グーグルの次のモデル”。佐々木俊尚著、光文社新書285 Web2.0でさえ未消化なのに世間はもう3.0なのか・・・などとため息交じりで読み始めてみるとこの本、Web3.0と言うよりはじっくり練りこまれたWeb2.0の分析書といった感じの味わい深い本でした。 以前読んで感動した梅田望夫さんの「ウェブ進化論」がグーグルやアマゾンを中心にアメリカで巻き起こっているあちらのWeb2.0の世界を描いたものだったのに対して、今回の「次世代ウェブ」は綿密なインタビューをベースに日本のIT事を分析したもの。 曰く・・・ 実はWeb2.0という言葉がまだ一般的でなかったころから日本でも数々のベンチャーの試行錯誤の結果、独自にWeb2.0の世界に到達していた・・・ アマゾン型の巨大な倉庫を持ったモデルだけがロングテールではない。地方の小さな商店をつなぐことで倉庫を超分散させた裏表二重のロングテールのモデルだってある・・・ 検索性能が向上し連動広告が発達すると中抜き現象が起き、やっと築き上げたポータルサイトビジネスが壊滅する可能性も・・・ アクセス数やリンク数を重視したグーグル型の検索の次に来るものはコミュニティのささやきや個人の瞬間的な事情を反映したものになりそうだが、それは今はやりのSNSを進化させる程度で到達できるものなのかどうか・・・等々。 ◆この本を読み進めていくと・・・Webの世界が単なる情報テクノロジーというよりは社会心理学や進化論の壮大な実験場と化している様がひしひしと伝わってきます。 ところで・・・全ての情報がGoogleに集中し、何もかもがGoogle世界政府に飲み込まれそうな中で、わが日本はどこまで勝負できるのか。 その勝負のひとつはデータベースの大きさ。データは実は今のようなWeb上のコンテンツだけとは限らない。ICタグ、ETC、携帯からもコンテンツは発生しつづけている。こうした所に介在する組み込み系の技術を始めとする広義のITテクノロジー自体では日本は遅れてはいない。 そうしたテクノロジーで吸い上げた膨大なデータベースから知を抽出していく社会レベルでのナレッジマネジメントを構想し、情報と人の渦巻く大海の中で粘り強く試行錯誤を重ねていく中からも新しい世界が生まれるかもしれない。問題は日本がそうしたベンチャーを輩出できるかどうかにかかっているといったことのようです。(2007.3.5)
by c_mann3
| 2008-10-14 00:00
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