人気ブログランキング | 話題のタグを見る

◆ペルソナ・・・チャン・ツィイーの仮面

中国映画、「女帝・エンペラー」が封切られ上映されています。
チャン・ツィイーが主演ということで覗いてみると・・・(二つほど上にスクロールしたところから)ユングのペルソナで三位一体とか四位一体などと書いていた矢先に・・・なんと偶然にも、仮面がモチーフのドラマでした。

唐王朝滅亡後の古代中国のさる国で、ともに剣舞に励んだチャン・ツィイーと皇太子は慕いあう仲でした。ですが、チャン・ツィイーは美貌のゆえに皇后に、そして皇太子は隠遁し仮面舞踊に没頭。・・・だがやがて皇帝はなぞの死を遂げその弟が皇帝に、そしてチャン・ツィイーは否応も無く新皇帝の后に。・・・新皇帝を亡き者にし密かに慕う皇太子を王位につけようとするチャン・ツィイー、一方の皇太子は父の仇をと敵意をあらわにするが人前では常に仮面を・・・

そうした中での会話・・・
「仮面ばかりでどうして顔を見せないの」
「仮面劇の極意は仮面で喜怒哀楽を表現することなんだ」
とうそぶく皇太子にチャン・ツィイーは
「あなたには失望したわ。極意は(私のように)生身の顔を仮面にすることよ」と・・・

たった数十秒のせりふで記憶も心もとないですが・・・この会話、ユングのペルソナの本質を鋭くついてるんじゃないかと・・・
ペルソナは心の中身とは無関係に脱着できる仮面などではない。意識や無意識と三位一体で不可分の表情や立ち振る舞いを仮面にするには強い思いと心の再編成が必要。

まるでギリシャ劇を思わせるストーリーと思っていたらなんと原案が「ハムレット」だとか・・・そういえばギリシャ劇はユングの元型モチーフの宝庫なんですよね。

それにしても一連のチャン・ツィイーの中国映画は、とにかく様式美、色彩美、そして風のように自在に舞う流動美が特徴、しかも中国の歴史を舞台にはしていてもギリシャ劇を思わせる仕立てのものが多い。多用されるワイヤーアクションや高速度撮影も、竹林や宮中を背景にしなやかにうねる肢体や空を舞う衣装の流動感のせいか、ハリウッドのCGに比べると違和感がない。

ハリウッドは行き詰まりつつあるといわれるなかで、独自の文化を背景に台頭する中国や韓国の映画には新鮮な訴求力がありますよね。伝統に根ざしたローカルな独自性は極めれば普遍性を持つ・・・ハリウッドだけがグローバルスタンダードじゃないってことにつながっていけばいいのですが・・・(2007.6.12)

「女帝・エンペラー」の公式サイト・・・http://jotei.gyao.jp/・・・はリンク切れです。
代わりにこちらを・・・http://eplus.jp/sys/web/cinema/cinemas/10.html
by c_mann3 | 2006-11-16 00:00 | Comments(0)
<< ◆ユングは四位一体・・・ ◆ダ・ビンチコード・・・ >>