◆ゾロアスター教・・・

今年もいよいよ夏間近。暑さで意識が朦朧としかかっている中で、以前から気になっていたゾロアスター教の本を買って読み始めてしまいました。
青木健著、「ゾロアスター教」、講談社選書メチエ408。

光と闇、善と悪といった二元論、善を信じて悪と戦いつつも迎える終末、そして現れる救世主・・・いろんな宗教で必須のエキスやスパイスに溢れた宗教ゾロアスター教。ですがこれが紀元前10世紀の昔、古代アーリアの民族宗教の一神官に過ぎなかったザラスシュトラが数々の民族宗教をベースにしつつも骨格としては思うがままに書き下ろした教義の体系が事の発端というのがすごい。

そして一時はサーサーン朝ペルシャ帝国の国教にまでなっていながら、やがて帝国の崩壊とともに霧散。ところが霧散してなお、ザラスシュトラやゾロアスターのイメージは時も場所も隔てた近世ヨーロッパにまで鳴り響き・・・ニーチェの「ツァラトゥーストラはかく語りき」のツァラトゥーストラは神官ザラスシュトラのことだとか。

この古代アーリア人って、不思議な人たちですよね。中央アジアを基点に民族移動を始め、イラン高原ではゾロアスター教を創出し、インド北部に移動した人たちはヒンドゥー教を纏め上げる。どちらも地場の数々の民俗信仰を集大成。結果として従来の神々の役割や組織は再編成されてしまっている。宗教編成能力にたけるアーリア人ってことなんでしょうか。

そしてこのアーリア人が西に移動したのがゲルマン民族ということで二千年のときを経てアーリア人至上主義となり、アウシュビッツにつながっていく・・・
もっともこの話には生物学的な根拠はなく、ヨーロッパに移動したアーリア人は実はジプシー。本来の正統派アーリア人であるはずのジプシーがユダヤ人とともに、自分が正統派アーリア人だと勝手に信じたナチスに迫害されることになってしまったとも・・・

暑いさなかにこんな本を読んでいると益々意識が朦朧としてしまいそうです。(2008.7.16)
by c_mann3 | 2006-04-18 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)
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