◆市場は制御できるものなのか・・・

[2008.9.30掲載]サブプライム問題に端を発して急激な展開を見せるアメリカ発の金融破たん劇はいったいどこに行き着くのでしょうか。
震源地の米国ではほんの1~2週間の間に兆単位の金が動く救済、破産、買収、吸収が毎日のように起こりあっという間に上位五社の証券会社の輪郭が一変してしまいました。

ですがそんなことでは事態は収まらず海外にも飛び火しヨーロッパでは金融機関の国有化が相次いでいます。そして今日、金融機関から不良資産を買い上げる大統領肝いりの金融法案が米下院で否決され、ついにNY株式は777ドル安と史上最大の下げを記録しました。

とにかくとんでもないニュースが毎日飛び込んできますが、そんな中でなんとも味わい深い本が出ています。
題して「ハイエク」、PHP新書543。池田信夫著で副題が“知識社会の自由主義”とあります。 


「ハイエク」はオーストリアの経済学者。
東西冷戦真っ盛りの時代に東の計画経済を非難する一方、返す刀で西側諸国の政府による財政出動や金利操作といったことをも批判。西も東もを敵に回してしまったばっかりにまっとうな経済学の世界からは抹殺されてしまったハイエクですが・・・

その心は社会や市場といったものを理論や計算で意図どおりに管理すること全般に共通して潜む思い上がりを問題にしたものであり一見「小さな政府論」にも通じるもの。
ですが大きな政府になりやすいケインズとの論争に敗れた後は数十年にわたって沈黙を余儀なくされ、サッチャー、レーガンの時代になってやっと日の目を見る。

ハイエクによると・・・工学的なシステムとは異なり、目的がはっきりせず判断に必要な情報も不完全な市場システムに対しては計算しつくしたつもりの施策も意図せざる結果を招くだけに終わることもあると。

ところが時代は今、金融工学を駆使しヘッジにヘッジを重ねて確実だったはずの金融市場がついに崩壊。これを押さえ込むべく「小さな政府」を目指していたはずの各国の政府が膨大な財政出動を余儀なくされている。

こうした各国の力任せの施策はハイエクの言うように意図せざる結果を招くだけに終わってしまうのか、あるいはそれなりの効果を発揮し、それと引き換えにハイエクの意にはそぐわない国家統制色の強い世界に回帰していくことになるのか・・・
いずれにせよこの混乱の中から多少なりとも新しい秩序が芽生えて欲しいですよね。

ところでこのハイエク、合理的経済人仮説に基づく均衡論には反対し、複雑な市場システムの中では人はもっと直感的に動くものなのだと・・・現在の行動経済学にも通じる学説を唱えていたこともあり1974年、ついにノーベル賞に輝くんですよね。
by c_mann3 | 2015-12-16 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)
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