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◆五月の連休のソーラー

【2017.5.24】 例年、電力消費が最少となる連休の期間中の晴れた日には、電力需要に占めるソーラーの比率が大きくなることで注目されています。そうした中で九州電力が今年の最大は4/30日でソーラー比率が73%に上ったと伝えています。昨年の最大日が5/4の66%から更にソーラー比率が高まっていることが窺えます。

九州電力は毎日のエリアでんき予報で電力需要のカーブに合わせてソーラーの量もグラフ化して公開しており(図左)、四半期ごとにはその詳細値も公開されています(図右)。
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そうした情報によるとこの時期のソーラーはまず揚水発電の揚水で吸収、そしてその残りを火力を絞ることで対応していることが窺えます。九州電力が特異なのは原発2基を稼働させながらソーラーを吸収していること。原発を稼働させると火力が少なくなる分、ソーラーに見合って火力を絞る余裕が少なくなるのですが、よく見るとほぼ原発1基分の電力を他のエリアに放出している。ということは九州電力の原発は自分のエリアの電力確保のためにではなく、他の電力会社のための代理発電なのか・・・などと余計な突込みをしてみたくもなりますが、他エリアへの送出はソーラー受け入れの余裕確保に好都合なことは確か。

ただ昨年よりもさらに多くのソーラーを無抑制で受け入れている九州電力ですが、同じ状況にある四国電力と歩調を合わせるかのように、今後はソーラーの抑制制御が必要とのアナウンスが流れています。
グラフを見る限りもうしばらくは余裕がありそうな感じもするのですが、懸念材料があるとすればやはり原発?
九州電力や四国電力は原発を稼働させながら他のエリアに電力を送出しているのですが、どうやらその行先は関西電力。その関西電力がいよいよ3~5基の原発を再稼働しそうであり、そうなると九州電力は原発電力を全量自身のエリアで消費せざるを得ず、それが結果としてソーラーの受け入れの制限につながっていくということなのでしょうか。

以下はそうした事態を避けるための提案なのですが・・・原発を再稼働はしてもソーラーの受け入れの邪魔にならないように原発の稼働パターンを変更はできないものなのでしょうか。現在の原発は13ヵ月回して2ヵ月の点検停止(稼働率86%)のサイクルで稼働させていますが、それを10ヵ月回して2カ月の定期点検(稼働率83%)とするか、16ヵ月回して2ヵ月の点検停止(稼働率89%)とする。つまり1年サイクルか1年半のサイクルとして、点検停止が常に毎年ソーラーの受け入れが最も厳しくなる4~5月や10~11月に来るようにするのも策ではないかなどと思ったりもするのですが・・・

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by C_MANN3 | 2005-09-29 00:00 | Comments(0)

◆電力小売り完全自由化で変化は・・・

【2017.4.16】 電力小売りが完全に自由化されて一年、その変化の兆しを求めてエネ庁の統計データを眺めている内に以下のような図表ができました。

まずはグラフに示した新電力の小売りシアですが、新たに始まった低圧・電灯の領域では確実にシェアを確保しつつあります。グラフは12月までのkWhシェアですが、別途集計されているスイッチング率(新電力への切り替え件数ベース)が期末の3月に5.5%に達していることから、kWhでも期末には5%を越える。。一方の特高・高圧の領域でもシェアは積みあがっており、トータルとしての期末のシェアは10%近くまで伸びそうです。
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他方、発電については表に示した通り今回より発電業者の区分ががらりと変わり、エネ庁の統計では表中で⑤と付記した大手10社、⑥の1万kWを超える発電事業者、そして⑦の千kW以上の自家発電の3区分で集計されています。実はさらにその下に⑧として"それ以下の発電所群"がありこの⑤~⑧を合計すると日本の全発電量となるはずなのですが、この⑧については統計がない。
この⑧の領域には小規模な産業用や民生のコージェネ・自家発電、家庭用燃料電池エネファーム、そして家庭用のソーラー等と役者がそろっているのに統計がないとは残念なことです。そこで本表ではせめてもということで、小規模なソーラー・風力等の電力を以下の方法で推定して⑧の項に充当しています。
実は固定価格買取の電力は別途統計があるのですが、これは⑥、⑦、⑧の領域に分散して入っているので、固定価格買取の総電力量から⑥と⑦の中の新エネルギーの量を差し引くと残りは⑧の領域の小規模ソーラー・風力だということに・・・
さてこうして表を眺めてみるといろんなことが浮かび上がってきます。
  • 大手10電力は90%の小売りシェアを持っているのに発電シェアが63%しかない。
  • 電力をどこからも買わず自家発電や特定供給でまかなっているシェアが18%もある。
  • 固定価格買取の再生エネルギーは既に6%のシェアとなっていて、今後もさらに増える。
  • ここにきて原発が動き始めているが、原発1基が稼働すると0.7%の発電シェアとなる。


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by C_MANN3 | 2005-09-28 00:00 | Comments(0)

◆原発事故から丸六年の節目を迎えて

【2017.3.11】 震災の日から丸六年が経過しましたが、復興事業では巨大な防潮堤の土木事業ばかりが目立ち、今なお8万人の方々が避難生活を続けておられるとのこと。カメラロボットが入った福島第一の炉内では想像を上回る破損の状態が露わになっているのに、追悼式典で首相の言葉からは“原発事故”との文言が消えてしまっているとのニュースが流れています。

ですがあの手この手で原発の再稼働をもくろむ政府の思惑とは裏腹に、日本はもはや原発は無くとも成り立つことが益々明確になりつつあります。
今年から始まった電力の完全自由化で低圧電力でも新電力へのスイッチングが着実に進み、すでに全国平均で5%を越えました。低圧、高圧を合わせて3月末には新電力の比率が10%に届きそうであり、その分旧電力の顧客は喪失し、もはや原発の稼働は必要不可欠ではなくなっています。

もともと日本全体の発電設備容量は原発を除いても、ここ数年の総電力需要に対して25%程度の余裕があり、しかもその構成が変化し続けています。この5年余りで石油燃料による設備が500万kW減少した一方でLNG火力は1400万kW増え、より高効率でCO2の排出も少ない新規設備へのシフトが進展しています。
また出力抑制や段階的なFIT価格の見直しでブレーキがかかると言われていたソーラーや風力の新規稼働もあまり減速することもなく、毎月60万kWのペースで増え続けています。
鳴り物入りで決めた出力抑制ルールは今の所離島でのみの発動です。ソーラーが増えすぎると火力のバックアップが間に合わず今にも破綻といわれていましたが、最も厳しい条件である端境期の昼間、5/4の九州電力では何と66%ものソーラー、風力を吸収する実績を残しました。その手段は火力発電の出力調整に加えて揚水発電の揚水をソーラー電力の一時蓄積に使うものであり、こうした調整の方式が定着するならまだまだソーラー拡大の余地はありそうです。

こうした変化と持続的な省電力の進展が相まって日本のCO2の排出量はここ2年連続して減少し、燃料輸入の増大で続いていた貿易収支の赤字も今年は黒字に転換。ソーラーのさらなる拡大や廉価なシェールガス輸入の始まりもあり、この傾向は一過性ではなく続きそうです。原発が無ければ立ち行かなくなると言われた理由はもはやそのすべてが成り立たなくなっている。日本のエネルギー構造はついにそういうステージを迎えたのかもしれません。

ここまで来るとそれでも原発の再稼働を求める理由は旧電力会社の利益確保ということになりますが、すでに何回もの電気料金値上げで各電力会社は黒字。それで最近は“その値上げ分を元に戻すため”だとか、“本格的な電力自由化で戦える経営体質を確保したい”といった説明に変化してきています。
これからは本格的な電力競争の時代に入ることは確か・・・ですがそのための経営戦略が原発再稼働かどうかには疑問符が付きかかっている。原発再稼働にはさらに増えそうな安全対策費や訴訟対策、そしていつ再稼働できるか読めないといった時間リスクが付きまとう。そんな時に原発にこだわり過ぎてポートフォリオを誤れば逆に新電力に足元をすくわれる可能性もある。原発にこだわり立ち行かなくなった東芝は電力会社の明日の姿の象徴かもしれません。

現在は3基の原発が稼働しているし、これからも何基かは再稼働するかもしれない。ですが各旧電力会社の経営判断としてエネルギー自由化を迎えてもはやそれどころではないと、原発再稼働が二の次三の次のプライオリティーに格下げされ、旧電力の中に実は隠れ脱原発の気分が漂い始めることを願う・・・そしてそれが最後の脱原発のよりどころとなる、というのは甘い期待なのでしょうか。

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by C_MANN3 | 2005-09-27 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆原発事故から丸五年の節目を迎えて

【2016.3.11】 今日で原発事故から丸五年が経過しました。日本のエネルギー事情はこの五年間で年を追うごとに大きく変化してきましたが、それは原発がほぼ動かない中でも社会は回っていけるということを実証し続けた、日本の誇るべき適応力の姿でもあります。
必要とする発電設備の容量は年間のピークを迎える7~8月の最大電力によって決まりますが、下の図表に示すようにその値を7月の最大電力の年次推移で見ると、震災前のH22年を基準にして既に15%(東京電力に至っては20%強)も低減されていることが解ります。

b0050634_21453745.jpg最大電力の低減は日内のピークを直接下げる手段と、ベースを下げる間接的な手段によって達成されますが、自家消費分のソーラー、ピークカット自家発電、ガスヒーポン空調等の普及が日内のピークを下げることに貢献しているようであり、昼下がりのピークは以前に比べると格段になめらかになっています。また大口需要を中心とした新電力への乗り換えの加速もベースを下げる形で旧電力会社の必要最大電力を下げることに寄与してるはずです。
そうしたことの結果として震災前を基準にすると比率で15%、絶対値としては10電力合計で2600万kWの最大電力減となるに至っているのですが、これは既に原発26基(点検停止の稼働率を考慮すると30基)分に相当する発電設備が削減可能な(というか余力になっている)ところまで来ていることを示すものです。

b0050634_1441750.jpgなおFITで全量買い取りとなる大規模ソーラーがついに2000万kWを越えましたが、これは電力需要の削減には寄与せずFITを介して電力会社の供給力となり、日中の最大電力への対応力を増大させています。

このソーラーの2000万kWという値は前述の夏の最大電力の13%に相当するものです。上の図はとある電力会社の7月の電力の日内負荷パターンにその13%相当のソーラー発電の効果を組み合わせた概念図ですが、青線の見かけ上の日内電力負荷に対して、ソーラー分を減じた赤鎖線のラインが実際に電力会社が火力、水力等で確保しなければならない電力であることを示したものです。結果として、日内の最大値はかつてのように青マルの午後の2~4時ではなく、赤マルの夕刻の19~20時に一段低い値となって移動しており、この青マルと赤マルの落差分が電力会社が確保すべき最大設備を削減できるソーラー効果となりますが、これを全電力会社で合計すると800~1000万kW、すなわち原発8~10基分程度になっていることが窺えます。

いずれにせよ大手(旧)電力の実質的な日負荷パターンは絶対値もプロポーションも様変わりし、もはや原発が無いとピークか乗り切れないといった状況ではなくなりました。また火力代替では燃料コスト増で経営が成り立たないといった話も降って湧いた燃料価格の暴落で大きく軽減され、各電力会社がそろって黒字になる有様です。

にもかかわらずここにきて、安全審査の終わった原発が川内、高浜と動き始めています。このまま20基を超える審査待ちの原発が次々と動き始めれば日本の原発依存はもとの黙阿弥ではないか・・・そんな暗澹たる気分になりかけていたところにこのタイミングで出てきた高浜原発の稼働停止の仮処分決定で、なんと一旦動き始めていたものを含めて2基が停止に。こんなこともあり得るんだ、諦めるのはまだ早い・・・そんなことを思いつつ迎えた5年目の節目となりました。

確かに安全審査には20基を超える原発がその合格を待っている。しかし一方でそれを上回る稼働差し止めの訴訟も判決を待っていて、たとえ一時だとしても都度ブレーキはかかる。審査が進むにつれ、その安全対策費も巨額な物として立ちはだかっている・・・やはりこの数年でバタバタと10基を大きく上回って再稼働し始めるといったことには多分ならない。
そしてそのタイムラグの1年1年で日本のエネルギー事情はさらに変わる。4月からはついに小口電力の自由化が始まり、その先には2020年の発送電分離が迫っている。この5年間で地道に仕込まれてきたLNGや石炭の大規模高効率火力発電所が発電を開始し、シェールガスを始めとする低価格の燃料調達も動き始め、その多くが新電力の戦力となっていくことで、旧電力への依存は大きく減じ始める・・・一部の原発再稼働ありきの電力会社を除けば、もはや原発はコストカットの切り札というよりは足手まといになりつつあるのかもしれない。

ともあれ急速に変化するエネルギー事情を背景に原発再稼働の圧力と阻止のせめぎ合いの中で、いずれは脱原発に向かうのだとしても、その途中の過渡期最大稼働数が10基を大きくは超えないことを願うばかりです。そしてそれが、後始末もままならない未曽有の大惨事を引き起こし、幾多の先進国を脱原発に舵を切らせてしまった日本の自省を込めた節度、矜持というものです。 (6/1 ソーラーに関して一部訂正)

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by C_MANN3 | 2005-09-24 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆原発事故から丸四年の節目を迎えて

【2015.3.11記】 今日で原発事故から丸四年が経過しました。おりしも政府では将来の電源構成(エネルギーミックス)の議論がぶり返しており、福島第一では相も変らぬ汚染水漏れやその公表遅れがニュースになっています。
タイミングを合わせたかのようにせっかくご来訪のメルケル首相と安倍首相の会話では、「福島の事故をきっかけに脱原発を政治決断した」と「安全が確認されれば速やかに再稼働」でかみ合わないままでした。

ところがおもしろいことに、脱原発を政治決断し自然エネルギーによる発電が50%を超える日も出始めているドイツでは、実は今も原発がしたたかに稼働している。対して再稼働を声高に叫んでいるはずの日本ではこの一年半原発はゼロのまま。安全が確認されればというが確認されたかに見えるサイトの原発も再稼働は結局この冬には間に合わず、この夏さえも不透明というのは皮肉な話ではあります。
ともあれ、そんな中で目についた最近のエネルギー関連の動きへの感想を以下に幾つか・・・

▼突然降って湧いたソーラー接続中断の話・・・
九州電力から突然出てきた接続停止の話には経産省が間髪おかず反応し、あっという間に無補償無制限の抑制ルールと受け入れ限度枠が決まってしまいました。
なにやら固定価格買取制度が始まった途端に飛びだした風力発電抑制の話を思い起こさせますが、今回も算出された限度枠は原発再稼働をまるごと前提とした値のようであり、なぜ出力抑制なのかといった説明や今後の緩和策も、取りあえず見繕ったようなあいまいなもののままでした。従って今後の接続量拡大策も蓄電池の話にすり替わったりして、事の本質とは異質なものになりそうです。

なおこれについてはドイツの識者のお見立てをこちらに・・・http://www.energy-democracy.jp/650
また以前の風力買取枠の制限の話はこちらに・・・http://cmann3.exblog.jp/19328546/

ですが今回のこのハプニングは必ずしも悪い話ではない。原発事故の直後に始まった自然エネルギーの固定買取価格制度は、電源確保が困難な中で昼間のピークを押さえられるならとして始まったもの。国民上げての節電と一挙に群がったソーラーの建設で、例えば九州などは既に真夏でさえも昼間のピークは無くなりフラットになっている。このブログでも以前に書いている『有効ソーラー』の量は既に超えてしまっていて、これ以上のソーラーについては固定買取価格が十分に下がるまで一旦ブレーキがかかるのもいいのかもしれません。

▼種々の自由化が近づくなかで・・・
東京電力は電力料金の再値上げを見送りましたが、関西電力は再値上げの申請に。ですがこれで管内の顧客の関電離れはさらに加速し、悪循環に入りそうな気配です。あくまでも原発再稼働を前提にし、それまでは総原価方式による値上げで乗り切る算段なのかもしれませんが、自由化に備えて新規参入する企業が急増している中では通用しにくい経営戦略という外ありません。

▼原発の稼働台数・・・
この1年半、もはや原発はなくとも電力も経済も何とか回っていくとの実績が更に積みあがる中、この夏に間に合うかどうかは別にしてやがて再稼働は始まりそうです。
ですが一方で40年廃炉ルールも動き始め、既に5基は40年での廃止を決めたとのこと。このルールには一回限りの延長条項もあるのですが、延長の条件として規制委員会が繰り出す高いハードルがあり、一方で廃炉に伴う減損会計処理の緩和や政府の支援策が固まっていくなら、一部には延長申請をするところがあったとしても、大勢は40年で打ち切りの廃炉路線が定着しそうです。しかしそれは企業の安全理念などというものではなく損得勘定によるものであり、それはすでに米国でも始まっている趨勢でもあります。

その上で、再稼働する原発と廃炉が競合しつつ、いったい今後の原発の稼働台数はどこに落ち着くのでしょうか。
それを決めるエネルギーミックスの議論が今まさに進行していて、そこからは構成比で15%とか20%といった数字が聞こえてきます。40年廃炉を厳格に守るなら自然に15%に落ち着きますが、延長、設備の更新、さらには新設をも視野に入れて20%以上を狙う主張もあるとのこと。

▼そうした先でこれから起こりそうなこと・・・
2030年で原発比率は15%か20%超か・・・えっ、ゼロの話はもう出ないの?といった感じですが・・・悲観するには及ばない。ちょうど二年前このブログ(この下の記事)にも書いているように・・・政府の諮問機関の論議や要人の発言とは別にこの話は人智を超えて動く、そして日本のエネルギーポートフォリオは落ち着くところに落ち着く。そのカギはいよいよ始まる電力の自由化、発送配電の分離ということでしょうか。
実は反原発や脱原発の人たちにとっては自由化が本格化すると、街頭デモを越えて、もっと直接的な効果のある『不買運動』といった手段が手に入る。

安全基準の達成等で実は原発は安価な電力ではないことが露わになってきましたが、それを総原価方式で転化するならば自由化で生まれる身軽な新電力会社とのコスト差は明らか。そこで早くも割高な原発は原発専用の固定価格買取制度を作って守るといった話が出始めていますが・・・『原発由来の電力は不買』の運動が起こればどうなるか・・・原発ありきの電力会社は、総原価方式に変わって固定価格買取で利益確保と思っても需要が無くて稼働できない原発では固定価格での買い取りも成り立たない。発送配電分離が始まって気が付くと回らない原発を抱え何処からの給付金で再びわが世が来ることを待ちわびる、まるで今の日本原電のような会社があちらこちらに生まれる・・・そんな気がしないでもないのですが、まずは要経過観察ということでしょうか。

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by C_MANN3 | 2005-09-22 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆原発事故から丸二年の節目を迎えて・・・

[2013.3.11記] あの日から丸二年・・・TVでは連日のように事故関連の特集番組が流れています。再放送を含めて見ればみる程、あらためて惨事の大きさがうかがえますが、事故の発端は地震と津波であったとしてもその後の安全装置や対策となるはずの壁がことごとく機能せずに破られていった様子にはあらためて愕然とします。

そんな中で惨事を最悪の大参事の一歩手前でかろうじて食い止めた第一線の方たちの現場力、そしてその後ろ(というか上)にいた人たちの従前からの備えの軽さが益々際立って浮かび上がってくる感じがします。

二年たった今も現場は崩れたがれきのままの様相であり、廃炉に40年、除染は進まず、使用済みの燃料や廃炉廃棄物の最終処分に至ってはめどさえついていない・・・そんな状況の中で政権が変わり“脱原発は見直し”、“安全を確認すれば即再稼働”といわれても、もう一度“後ろ(というか上)にいる人たち”の安全の言を信じて未来を託す気にはなれないですよね。

▼ただ、先は見えなくもない・・・

多分、今もこの先をどうするかという政策論争をすれば極論と極論の愚にもつかない論争になる。だがそんな議論にはお構いなしに、現実の目の前では少しずつ、そして黙々と新たな均衡点に向かっての答えが出始めているような気がするのが救いです。

“安全を確認すれば即再稼働が方針”というが現実は(あえて反対するまでもなく)規制委員会の繰り出すハードルが再稼働を少しずつ向こうに押しやっています。

その結果“いつまでも稼働が無ければ需給は破たん”というがこの冬も原発は2基のみで乗り切れてしまいました。

そして“たとえ乗り越えられても燃料費負担で電力費は高騰”というが、人件費抑制や資産売却の条件の付く料金改定はそう簡単には進まない。そうこうしている内にシェールガスも入り始め、新たな高効率発電所も稼働をしはじめて・・・多分耐えられないほど極端な事にはならない。

今年は束の間のソーラーブームに明け暮れました。そんな中で“不安定なソーラーでは量を確保できず固定買取制度はドイツのように破綻”と言われていますが多少なりとも買取価格の調整が始まればやがてブームは去り、これもそれほど極端な事には多分ならない・・・

歴史は人智を超えて動く・・・あれやこれやの不毛の議論やその場しのぎの政策をよそに淡々と滲み出てくる新たな均衡点・・・3~5年後に結果として姿をみせる新たなエネルギーのポートフォリオを是と信じ、それが新しい日本の姿なのだと期待したい・・・ふとそんなことを思った事故から二年経過の今日一日でした。

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by C_MANN3 | 2005-09-21 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆日本の脱原発への思い・・・整理すると

[2012.11.20載] 世界的に見れば一部の先進国が脱原発を目指してはいるものの、国情により新たに原発を望む国が多いことも確か。そんな中で日本が脱原発を望むのはなぜか、そうしたことを素人ながらも整理してみました。

▼中国、そして輸出産業としての原発・・・

現状ではこれからも国情により新たに原発を望む国が多いことも確かであり、その入札では日、仏、米、露、韓、そして中国がしのぎを削る風景が続いています。

とりわけ中国では、どんどん集結する天然ガスパイプライン、世界一の規模の風力やソーラーと多様な選択肢がありながら(いわゆる)国産化された原発の建設に熱心な背景には輸出への戦略があるとのこと。

そんな中で英国の原発入札では、中国は避けられ、本国が脱原発となったため手を引いたドイツの企業、対して一歩前に出る日本の企業といった構図となっているのが印象的です。

▼脱原発で言われることの一つに・・・

脱原発のディメリットの一つとして言われることに“国内が脱原発では海外には売り込めない、人材の維持や確保もできない”というものがあります。
技術立国日本としては、“建設、運用、廃炉廃却”の全工程を安全確実に達成し世界に信用して頂けるなら素晴らしいことであり、脱原発には(こと、この点についてのみは)後ろ髪をひかれる思いがないわけではありません。

▼そして確かに安全確実な原発はありうる・・・

今、日本では事故の包括的な検証もないままになし崩しに対策が進められようとしています。 例えば津波のせいにして堤防を高くする・・・それは言い訳にオオム返しのような策であり、それで良しとする風潮は事の本質を覆い隠すものです。

ですが本来原発の事故は人や組織と一体となったソーシャル・マンマシンシステムとして多重防護の理念によって安全が確保されるもののはずです。ところがそうした包括的な報告は国会や政府の事故調からはすっきりしたものが出ないまま、むしろ海外の報告書に迫力を感じるものが目に付きます。
そしてそうした報告に従った対応をするならば、安全な原発はありうるのかもしれない・・・そんな印象はあります。

①まずは米国の発電運用協会のレポート・・・

このレポートでは、運用面での示唆に富んだ分析がなされています。
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO46247170Y2A910C1000000/

②そして海外の調査チームによるオナガワレポート・・・

これは福島ではなく、同じ状況下で事なきを得た女川を調査分析することで福島の問題を浮かび上がらせようとしたもので感動的な切り口です。

文中からエキスを拾うと・・・
  無事だった女川と、事故を起こした福島第1。命運を分けたポイントは何だった
  のか。調査チームの代表者は、いくつかの要素について語った。
  原発の設計、施工方法の違い、過去地震にあった際の補修方法、点検と品質
  保証の違い……。そして最後に挙げたのが「(原発を運転する電力会社の)経
  営体制と企業文化の違い」だった。
  そしてさらには、東北電力について「きわめて協力的でオープンだった」と高く
  評価する・・・とのこと。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK3103C_R30C12A8000000/
この日経のリンクで全文が読めるのは会員のみですが、下記のリンクなら全文が見えます。
http://www.nihonkai.com/sindbad4/20120904b.htm

この種のレポートは日本人が書くとどうしても「私は悪くない」、「不可抗力だった」、「いや、あいつらが悪い」といったことを論証することに明け暮れてしまい、方策につながりにくいのが困ったところです。


▼だがそれでも脱原発となる理由は・・・

ただ、せっかくのレポートがあったとしても日本では脱原発となる理由はいくつか・・・

①同じ地震の中で疾走する新幹線を無事に停止させたほどの先進技術国で起こった原発事故であること、そしてその結果があまりにも甚大であることを目の当たりにしてしまった。

②その原因を人知を超える地震や津波のせいと言いくるめてしまったことで、人知で制御できないシステムなどもってのほかとの風潮を固めてしまった。

③事故の直後に浜岡を止めてしまったことでほぼ原発ゼロの状態が発生し、そのことが原発が無くても何とかなるとの実績に基ずく実感を作り出してしまった。

こうした①~③を踏まえると、ドイツの倫理委員会が言うように“代替技術があり、それが可能ならもはや原発を使い続けるわけにはいかない”ということになるのは止もうえない帰結なのかもしれません。

▼それでも、もし仮に原発復活の可能性があるとすればそのシナリオは・・・

①まずは東京電力の下記のような謝罪が必要です。
今回の事故は天災ではなく(組織としての)人災であり、東電としてはそれを深く認識反省し向こう49年間原発を運用することを慎むが、今回の事故をもとに安全強化された原発自体を、慎みのある他の電力会社が運用するならば安全は確保される。ぜひもう一度原発を信頼して頂きたいと・・・

多分これは他の電力会社や海外の原子力関係者の思いでもあるはずです。特に海外の見方は“日本ほどの国でも避けられなかった事故への深い同情”から経緯が判明するにつれ“失望”に変わっているとの話も・・・

東電は慢心によりチェルノブイリ級の事故を招き、原発の歴史を捻じ曲げてしまったことを深く自省すべきです。でなければ海外の目が“失望”を超えて“軽蔑”に変わる可能性さえありそうです。

②そして使用済み燃料、廃炉廃材の最終処理法と行き先の確保
③太平洋火山帯に位置する日本としての場所の再選択と規模の見直し
④さらには国民の信頼性を取り戻すこと

それは単に技術システムとしての原発の信頼性だけではなく、それをとりまく“省庁や専門家集団の関わり方”そして“運用会社の組織としての体質や運用姿勢”についての信頼性であり、それ無くしては物理的な手段や言をいくら積み上げても信頼性の納得にはつながらない・・・
今日本はそうした根深い不信の淵にあり、それを解消するには“放射能の半減期を待つに等しい”時間を要しそうです。

ですが以上の①~④の条件が整わないかぎり、エネルギー供給の空白を作るわけにはいかない日本としては“より迅速で確実な脱原発への道筋”を模索せざるを得ない・・・
そしてそれは(つなぎとしての当面の間の原発は必要だとしても)LNG火力経由の再生エネルギーということになりそうです。

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by C_MANN3 | 2005-09-20 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆日本の脱原発、欧州のエネルギー事情・・・

[2012.11.7載] 東京電力の火力発電所建設がついに動き始めるとのニュースが流れていますね。入札方式で事業体を募集するとのことです。
このブログでは、ここ数年を何とかしのげば後は順次LNG火力発電が立ち上がってくるなどと書いていますが、この一年余りの間にニュースになったものを拾い集めてみますと・・・

中部電力(2014年に上越で238万kW)、東北電力(2016年に新仙台で200万kW)、中部電力(2017年に西名古屋で220万kW)、北海道(2021年に石狩で50万kW)、そして今回の東電入札(2020年に260万kW)、さらにこれに関電が決心すれば(2020年ごろ和歌山で370万kW)、そして東京ガスなどのIPPの計画と続き、これだけでも原発15基分を超えることになります。

このすべてが原発の置き換えになるわけではなく、喘ぎながら今を支えている老朽火力の更新にも回るのでしょうが相当な規模になることは間違いありません。


▼ところで今日は欧州のエネルギー事情について・・・

欧州の事情について一冊の本が目に留まりました。題して「欧州のエネルギーシフト」、脇坂紀行さん著、岩波新書1370、今年5月に出た本です。

欧州のエネルギー事情がきわめて分かりやすく包括的にまとめられているのですが、この本によるとEUとしてのまとまりを追及しているはずのヨーロッパもエネルギー問題となると国情により様子はさまざまのようです。それを大きくタイプ分けしてみると・・・

  ・ドイツを筆頭に脱原発を宣言するイタリア、スイス、ベルギー等
  ・反対にこれから新たな原発の導入をしようという国は
     ・EU加盟の条件として旧ソ連式の原発廃棄を余儀なくされ、できれば最新たな
      原発が欲しい旧ソ連圏諸国。
     ・北海油田の枯渇懸念と老朽化した原発の更新で新たな原発が欲しい英国。
     ・国情から水力も風力も期待できず、ロシア依存からの脱却には原発が欲しい
      フィンランド。
  ・そうした国を相手に、原発技術への絶対的な自信から自国はおろか世界の原発
   化を指すフランス。
  ・一方、風力とバイオコージェネで脱原発はおろか脱化石燃料をも目指すデンマー
   クやスウェーデン・・・といったところでしょうか。

▼こうしたなかで例えばドイツについては・・・

2002年に一旦脱原発を決めソーラーや風力の導入を進めてはいたのですが、政権が変わり目標を緩めた矢先に起こった福島の事故で、再度方針を転換し新たに2022年までに脱原発と決めました。

そんなドイツに対して日本では“自然エネルギーの買取制度は破たんしかかっている”とか、“脱原発と言っても隣の原発電力を輸入するなら同じ”といったことが言われていますが、そのドイツでは首相の諮問を受けた「倫理委員会」が脱原発に至る際の6ヶ条の条件を策定しており、その中にはこんな条項も・・・
   ・隣国の原発で作られた電力を安易に輸入しない
   ・再生可能エネルギーの加速的拡大に安易に頼らない

そんなルールを守りながらどうやって脱原発を達成するのかというと“徹底した省電力の推進”と“過渡的には高効率ガス発電(大規模集中)とガス・コージェネ(小規模分散)”ということのようです。

ドイツはもともと電力の輸出国であり脱原発をしても輸出余力が減るだけのこと、また再生エネルギーの買取価格もどんどん訂正され、ここ数年でほぼゼロになってしまうようです。

ですがここ当面はガス火力の助けを借りながら徐々に再生可能エネルギーを増やし、2022年には脱原発、そして2050年ごろには脱化石燃料をも狙うとのこと。

ところでそんな方針を策定するほどに大きな影響力を持つ「倫理委員会」については下記のサイトに概要が紹介されていますが、まさに必見ものです。
  http://webronza.asahi.com/synodos/2012072700002.html
    このリンクもつながらなくなっていますので、以下のリンクに張り替えます。
  http://synodos.jp/international/1553

  http://www.nikkeibp.co.jp/article/reb/20111108/289865/

また委員会の報告書自体も60ページの大作ですが、読み応えがありますのでこちらに・・・
  http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/dai3/iidasiryou2.pdf

この本や「倫理委員会」の記事を見ていると、どうやら欧州の脱原発を目指す国々は本気のようです。そして脱原発の向こうに脱化石燃料をも視野に入れています。

もちろん全欧州をつなぐ電力融通網があればこそ成り立つ面はありますが、単に電力エネルギーだけでなく熱エネルギー全般の節減を目指しており、産業革命という革命が欧州で起こったように、この50年で再び起こりそうな気配の“グリーンエネルギー革命”もまた、欧州発となるのかもしれない、そんな感じがしはじめました。・・・ん、考えすぎ?


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by C_MANN3 | 2005-09-18 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆脱原発に向かう・・・思いの軌跡

[2012.11.1載] 3/11以降、少しずつ脱原発に傾いていった自分自身の気持ちの流れを多少なりとも整理し、振り返ってみたいと思って纏めてみました。
 
▼まずは原発事故後の数週間・・・
 
毎日流れるテレビや新聞のニュースを眺めながら思ったことは以下の二つでした。
   ・これはきっかけは未曽有の天災だったかもしれないがその結末は人災。
   ・そして天災であれ人災であれ、いったん起こると被害はとんでもなく深く、
    そして広範囲に及ぶ。

原発はもともと幾重もの多重防護で固められているもの。最初の防護が想定を超える津波で突破されたとしてもその後には何重にも防御のチャンスはあった。それがこと如くが破られ、最後の頼みの綱として設計されていたガードは日頃訓練したこともなく活されるすべもなかった。
 
なのに政府や東電からは想定外の津波、そして想定外の震度による設備の損傷といった見解が繰り返される。そしてその当然の帰結として、そんなに危険な原発ならばと浜岡の強制停止につながっていきます。

ですが人災を認めず想定外の天災やそれに耐えられなかった設備のせいにすることは責任回避、話のすり替えではないか。(もちろん今回の事故でいくつもの改善点は露わになったとしても)原発システムのそれ自体がそれほどとんでもないものだとは思えない。少なくとも電力不足が目の前で確実視される時点で浜岡を生贄にして止めるのは原因と責任の全てを設備のせいとするすり替えだ・・・と当時は思っていました。
 
▼しかし事態はますます深刻に・・・
 
事故現場は益々ひどい状況になり、被災地域の惨状も毎日のように報道される中、政府や東電の説明は二転三転し、対応の不備や備えの無さが日ごとに露わになる中で思い始めたことは以下の二つでした。
   ・これほどの惨状を招く原発はやはり順次廃止していくしかない。
   ・もし原発システム自体は改善され安全性が増すとしても、今この惨状を
    とりまいている政府や電力会社、識者といった、こんな関係者にその
    運用をゆだねるわけにはいかない。
    そして信頼できる担い手がいないのであれば廃止もやもうえないと・・・

ただ一方で電力事情のことを思うと熟慮された脱原発のスケジュールは必要。当時の菅首相のソーラーを一千万軒の家庭の屋根に設置すれば原発は不要といった乱暴な発言が流れていましたがそんな無責任なものではない。
 
▼そこに原発運用40年限度の方針が・・・
 
これなら代替電力を整備しつつ脱原発を図ることができる。そこで思ったことは以下のふたつでした。
   ・ただ、その置き換えはソーラーや風力といった不安定電源ではない。
   ・まずは40年廃炉のスケジュールに同期して確実なLNG火力発電所を整備し
    追っかけて、ないし並行してソーラーや風力にも取り組むべきだと・・・
 
▼そして未来のエネルギー三択のパブリックコメント募集が・・・
 
当然私は40年限度に見合った2030年での原発15%論のコメントを出すつもりでした。ですが、その議論の中での原発推進派のなりふり構わぬ強引な公聴会運営、電力不足の脅迫1点張りで代替火力の準備にも冷淡なままの関電での大飯原発再稼働・・・そうした一連の動きを見ているとこうした人たちに穏やかな出口戦略を提示しても聞く耳はなさそう・・・極論には極論しかないという気持ちが強くなり、いざ出したパブコメは気が付くと0%提案に。そして集計の結果は民意も過半が0%でした。
 
▼結果としての近未来の(私の勝手な)予想は・・・
 
結果として政府の新エネルギー戦略は2030年代に原発ゼロと策定されました。そして何よりもゼロへの備えとしてLNG火力や石炭火力の活用、コージェネの普及促進、広域電力融通網の整備といったことにも言及されました。政権が変われば揺り戻しもといった見方もありますが、一応その方向での動きは大きくは変わらないのではないかと思います。
 
そんな中で政府の方針は“安全が確認され次第いったん全基数を再稼働”ということです。一方で市民の感覚は“安全でかつ、必要な基数を再稼働”です。そして今節電をするならばほとんど原発が無くても夏も冬も賄えるといった実感を持ちつつあるのが現状です。
 
まず安全の確認については新しい規制委員会のもとで仕切り直しが行われていて、全基数が安全ということにはなりそうもない。そして来年の夏には間に合いそうにない。安全合意に時間をかけているとその間に節電は定着し、曲がりなりにも代替電力も増えてくる。そうした“安全なら”と“安全かつ必要なら”の勢力のせめぎあいの中で・・・おそらく2030年に至る過渡期の最大台数は10基、多くても20基を超えることはなく、もしかしたら5~7基程度に収まってしまうのではないか・・・そんな勝手な予想を感じ始めています。問題はそんな日本でいいのかということなのでしょうが・・・
   ・もはや原発はそんなにたくさんなくても極端な節電は必要ない。
   ・燃料費が増大するというが、LNGの価格は下がる。
   ・現在の買取価格のままでソーラーが急増すれば電気代は上がるが、価格
    変更がなされれば落ち着き、LNG電力は実質的な原発コストと変わらない。
   ・産業の空洞化というが、昨今の家電業界などの行き詰まりや経済の低迷
    は電力だけのせいではない。
   ・原発を順次LNG発電に改造する等の知恵で立地先の経済困窮緩和も可能。
   ・あれやこれやで事故の後始末や廃棄物最終処分のめども立たないままの
    原発を脱することができるなら、LNG火力経由の自然エネルギー世界への
    道というのも決して悪い選択ではない。
 
今も続く週末デモの人たちの(多少不便で割高でももう原発はいらないという)素朴な思いに対して“前後を顧みない反対のための反対”という見方があるようですが・・・だったら一方の何が何でもほとぼりが冷めれば元の原発ありきの世界に戻そうする人達の論理にも同じく合理的な説得力はない。反原発の運動が盛り上がっているからこそ、原発継続派のなし崩しの展開を阻止できている面もある。
 
今の日本はこと原発に関してはアクセルとブレーキが同時に踏まれてるようなもの・・・エンジンやブレーキが焼き切れてしまわないうちに合理的な落としどころを見つけて、合意形成することが必要なんですよね。
 

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by C_MANN3 | 2005-09-16 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)

◆新エネルギー戦略決定・・・風穴があきましたね。

[2012.9.17記] 首相を含めた関係閣僚が出席した「エネルギー・環境会議」で新たなエネルギー戦略が方針決定されて三日が経ちましたね。せっかく思い切って30年代に原発ゼロ%を目指すと打ち出したのですが、結果は選挙目当て、矛盾だらけ、具体性が無い・・・と散々な評判です。
 
ですが方針をよく読むと文面としては凄くよくまとまっていて包括的になってきた感じもあり、もう少しお褒めの言葉もあってもいいと思うのですが・・・

http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2012/pdf/20120914senryaku.pdf

第一章・・・40年限度厳守、新増設はしない、2030年代にゼロを目指す、の脱原発三原則。
第二章・・・節電と再生エネルギー、第三章・・・安定供給のために火力を重視、第四章・・・電力システムの改革、第五章・・・地球温暖化の25%削減を明確に。

世間の目は第一章の原発比率や年限ばかりに向きがちですが、今回の注目点は何と言っても第3章の火力です。
原発にお引き取り願う後継としては再生エネルギーと火力が車の両輪と位置づけ、やっと火力に真正面から言及。しかも火力はLNGやコージェネだけでなく、石炭火力もありと。そうなると問題になるCO2の25%目標は第五章を設けてハッキリ見直しになると言明。
 
エネルギーのポートフォリオとしては、すごくバランスが良くなり、遂に未来に向かって風穴があいたという感じです。確かに言われているように選挙目当てのきれいごとの面はあるのかもしれないし、未消化で矛盾を残したままの所もあったとしても、これが一つの方向性になることは確かです。
 
こうして打ち出された以上は曲がりなりにも、それと整合性のある形での施策や予算措置がとられます。現にコージェネ優遇の予算措置が取られ始め、シェールガス権益には国の資金も投入され始めている。火力発電建設の最大のネックのアセスメント期間も多少は短縮されそうです。
 
もともと不安定電力のソーラーや風力が原発の置き換えになるはずもなく、火力こそは原発に憂いなくお引き取りを願うための快速、豪直球です。今回の方針決定でそれが加速されるなら、その効果が出始める2020年ごろには日本のエネルギーの状況は一変しそうです。
 
現在は「原発が無ければ計画停電不可避」、「割高な再生エネルギー依存で電気代を高騰させるか安価な原発か」と脅迫まがいの議論が続いていますが、2020年には「もはや原発は不可避ではないが、やや割安な原発はいかが?」といった程度の落ち着いた冷静な議論になっていそうです。
 
コストにしても大盤振る舞いの再生エネルギーに置き換えるから高くなる。ソーラーを抑制し石炭やLNGの比率を高めれば安価なシェールガスの普及と相まって様相はかなり変わりそうです。
 
ところがそれほど威力のある第三章なのに、閣議決定の翌日の朝日新聞では・・・結構スペースを割いた政府文書の要約でなんと第三章のみは“省略”とたった2文字でおしまい。そんな感覚でまともな世論の喚起が出来るのでしょうか?
 
でもものは考えよう・・・第1章と違って話題にもならない第3章なら変な横やりが入ることもない。着々粛々と実行されれば2030を待たず、2020年に決着がつきそうです。

それにしても政府としてはとりあえずはこんな方針を掲げておいて、安全が確認され次第極力早く全基の再立ち上げをしたいのでしょうが、“2030年代には原発ゼロ”と出口がふさがれると入口の風も止まってしまう。来年の秋、大飯が止まると次の再稼働にはまたぞろ反対運動が盛り上がり、全基再稼働どころか5~10基とまとまった基数が立ち上がるのに3~5年かかるんじゃないかと・・・意外とそんなことになりそうな気配もありますよね。


◆その後の顛末について追記(2012.9.19)・・・

せっかく策定した方針ですがその後、国内外からの強い反発を受け政府はほんの数日で一転トーンダウン。一旦決定していた新エネルギー戦略(上記リンクの文面)自体の閣議決定は見送りそれを参考文書とし、“戦略を踏まえ不断の検証と見直しを行いながら推進する”との文言のみを閣議決定することになったようです。

ただ参考文書に格下げになったとはいえ、戦略文書は原文のまま残り、その中で今回横やりが入ったのは“ただ一点”、第一章の原発ゼロの文言です。 こうなると戦略文書の中でもクレームの付かなかった第三章を黙々と実施することがますます重要となってきます。もともと第一章の将来の原発比率などはその結果としておのずと決まる(ないし、まともな議論ができるようになる)性質のものなんですから。

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by C_MANN3 | 2005-09-14 00:00 |  エナジー & カーボン | Comments(0)