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◆建築とこころ:あなたの心は何階建て?

建築とこころ・・・建築や街並が住む人の心を変え、こころが建築の様式を変えていく・・・両者が織りなす風景は・・・
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●まずは心を建築に見立てると・・・

英語でたとえば“三階建ての家”を表すのにthree stories high とかいって、階をstoryで表現しますよね。
最初に接したときは何故?って変な感じだったのですが・・・最近はなかなか味わいのあるよくできた表現じゃないかと思うようになりました。

この表現、一見、ひと固まりのように見える家やビルディングも実は一階、一階それぞれに他の階とは違った物語“story”があるってことのようです。

だとすると人の心は何階建てなんでしょうか。
ペルソナ、意識、自我、無意識、普遍的無意識・・・これで5階建て。最近言われるようにそのもっと奥の爬虫類脳に太古の時代から引き継いだ本能に近い無意識があるなんて話しはさらに下の地下室があるってことなんでしょうか。

問題はこうした各階それぞれに他の階とは違った物語が潜んでいて・・・日ごろは交流がない。日ごろはエレベータで自分の階に直行で特に用がなければわざわざ階段を昇り下りしてまでは行きかうこともない。

大地震かなんかのアクシデントがありドスンと床が抜けたとき不意に現れる異なる階の物語・・・突然意識と無意識が遭遇し心は大混乱に陥っていく・・・
この話は・・・安定していた意識や自我が突然の環境変化で乱れ始め・・・その混乱に乗じて無意識の世界から何かが湧き上がってくる心の世界にそっくりかも。

●そして組織心理を建築に見立てると・・・

会社組織を象徴的に示す本社ビル。大企業ともなると数十階建ての超高層ビルだったりして・・・その一階、一階に企画本部、開発本部とか、営業本部とか・・・ひとつの会社の組織のようでいて実は日ごろはそれそれが異なる物語の世界に浸っている部門があり、その間をつなぐ細い階段やエレベータも右往左往行きかう人はあまりいない。

ここでもとんでもない市場変化とかいった地震が起こりフロアーが抜けるほどのことがなければ真の部門間交流は生まれないなんてことになるのかも。(2006.2.10)
by c_mann3 | 2006-02-20 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(1)

◆建築とこころ:三丁目の夕日・・・

見上げると日々、東京タワーの鉄骨が伸びている・・・昭和30年代初期の東京の下町を描いた映画「ALWAYS 三丁目の夕日」が好評でロングランを続けています。

小さな路地裏の両側に住居や修理工場や駄菓子屋が渾然と並んだ下町の風景。どのうちも玄関は開けっ放し、人はほんの一言の挨拶で返事も聞かずいきなり土間の奥まで入ってくるが、そこはもう食事をしているちゃぶ台の横。
家庭内では笑い声や怒鳴り声が絶えず、親子喧嘩や夫婦喧嘩はものを投げつけ足蹴りをしているうちに家の中では収まりがつかず路地まではみ出していく。当然近所中が集まり、一家の騒ぎは一挙に町中の騒ぎになっていく。
路地を駆け回る子供はどこのうちの子という区別もなく、親に叱られれば隣のうちに逃げ込めばいいし、親のいない子がいても扱いは変わらない・・・妙に懐かしい喧騒の世界。

一人一人は今と変わらない悩みも苦しみも抱えていたはずですが・・・等しく貧しく、一人の悩みは近所中の悩み。家庭、家族に外部との境界がなく、自己と他者がシームレスにつながっている。

こうした情感を支えているのはもしかしたら家の作り、町並みのつくりなのかも・・・開きっぱなしの玄関はコモンエリアである路地とプライベート空間であるはずの土間をシームレスにつないでいる。

◆同じころ・・・田舎では

のどかな田園風景の中、ポツリポツリと散在する垣根に囲まれた家。垣根の隙間からは家の庭が見え、門に扉はない。ふらりと訪れた客人は庭先から声をかけるが、進む先は玄関ではなく、家の南に面した部屋とつながる開けっ放しの縁台。勝手に腰掛けたころには奥から家の人が顔を出す。なぜか縁台に続く広間にはお茶と茶菓子が常設・・・しばらく続く取り止めのない世間話に夕焼けが彩りを添える。

ここでも垣根は境界線ではなく、広い庭先と縁台は準コモンエリア・・・縁台に座るは何かの縁。侵入者が近所の知人であれ、見ず知らずの行商人であれ、とりたてて風景は変わらない。

◆そして今・・・鉄の扉で遮蔽された時代に

その同じ国で時は流れて50年。都会は果てしなく広がるコンクリートのジャングル。マンションなどの集合住宅では競うようにセキュリティが厳しくなり、建物の入り口でまずブロック。やっと中に入ると玄関は鉄の扉で二重鍵。近所の子供が駆け込むといった雰囲気にはほど遠い。
企業のオフィスも同じ、やたらガードマンがいて、職種や職場によってはちょっと同僚と話をしようにもIDカードをかざさなければ開かない鉄の扉に何回もさえぎられる。だったらもうメールでいいかとなるのは自然の流れ。
ここまでして安全は高まったか・・・鉄の扉で遮断された密室の中と外で起こる犯罪はますます異常なものとなりつつあり、情報は扉を超えて漏洩しウィルスはノックもせずに侵入してくるのが実情。

建築の様式が人を変えるのか、人の気持ちが建築の形を求めるのか・・・無機質な街並や効率とセキュリティー第一の建物に呼応してすさんでいく心・・・

ですが少しは希望が見え始めている。マンションでは少しずつロビー空間のような準コモンエリアにもスペースを割き始め、オフィスでも大きな吹き抜けを取り囲むように段違いのフロアーを積み重ね、吹き抜けの向こうに隣の部門が見渡せるといった開放的な空間デザインも取り入れら始めている。

建物にも心にも、自者と他者の間にコモンエリアは必要・・・非武装中立地帯は立ち入ると双方から狙撃される危険地帯ではなく、双方が立ち入り、交わって安全な空間であってほしいですよね。

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b0050634_0154243.jpgあっ、そうそう・・・オフィス空間ではありませんが明日2/11、東京表参道の同潤会青山アパートを改造した表参道ヒルズがオープンするんですよね。
安藤忠雄さんの設計で、高い吹き抜けを取り囲むスパイラルスロープが特徴とか・・・吹き抜けっていうのは一種の屋内パルコですよね。地下を深くして高さを抑えるってのも安藤さんらしい。こうした建築や空間デザインが広がっていくことで少しずつでも人の心が変わっていくことにつながればなどと思うのは期待しすぎなんでしょうか。(2006.2.10)

ところで安藤忠雄さんについては他にも記事が・・・

by c_mann3 | 2006-02-18 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)

     ・・・・ end ・・・・・・     


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これで、《ユングの裾野の風景》のコーナーは終了です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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by c_mann3 | 2006-02-01 00:00 | ユングのすそ野の 風景 | Comments(0)