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◆◆組織と情報:伝言ネットワーク◆◆

トップの思いがピラミッドの全体に広がっていく。第一線の情報がピラミッドを駆け上っていく・・・
企業組織は一面において巨大な伝言ゲームのネットワークとも言えます。

ITが発達し同質の情報が一斉配信されることが多くなった現代においても、かなりの情報が階層間の一人一人の伝言ゲームを介して伝わってくことに変わりはありません。
で、伝言ゲームのセルの一つ一つのところで変質と減衰が繰り返されながら伝わっていく。

正確には伝わらない伝言ゲーム。ですが、その原因である変質と減衰が排除されるべき弊害かというとそう単純でもない。
底辺の広いピラミッド組織を想定すると第一線の詳細な生情報がそのまま変質も減衰もせずにピラミッドを登っていくとだんだん幅のせまくなる上位の階層では耐え切れない情報の洪水となる。変質は困るにしても編集は必要。減衰は困るにしてもトリミングと集約は必要。
抽象的なトップの訓示は正確に伝達すれば効果が発揮されるといったものでもない。着信先の個々の事情に応じて表現を変える再編集があってこそ聴いてすぐ活用できるものになることも少なくない。

さらにもうひとつ、伝言ゲームに入る手前の情報の発信源における“情報の生成の質”といったことにも配慮は必要てす。市場の変化や、目の前で起こっている事象にしても、それに何かを感じて形のある情報の塊として生成し、伝言ゲームのルートに乗せなければ話は始まりません。

また複数の発信源から類似の情報が同時並行的に伝言ゲームを開始し組織内に漂っているといった風景も見受けられ、この場合は伝言過程での情報の淘汰、収斂がポイントとなるのかもしれません。

ということで、情報の生成、伝達過程での変質と減衰、いろんな情報が行きかう中での収斂といったことについて思いつくままに書き始めてみたいと思います。(2005.6.5)
by c_mann3 | 2008-12-20 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆組織と情報:バーチャル「三現主義」

組織と情報。まずは情報の発信源の確度、第一線や現場で状況をいかにして情報に変換するか・・・
もしここがもっと安定したものであれば、ここまでITが発達した現在、いろいろな会社でよく言われる「三現主義」もまた違ったものになるはずだったのかもしれません。

現場、現実、現物を重視する「三現主義」の思想は、広くいろんな企業で社訓に近い扱いを受けるほどに普及しています。現場の職場改善、品質管理等と相まってこの思想が日本の製造現場の品質向上に与えた影響はきわめて大きいといえます。

しかし普及するにつれ本来の思想とはかけ離れて意味合いも広く解釈されるようになり、管理職も第一線に出て指揮を取るべきとか、会議も代理ではなく直接出席すべきとか・・・やたらワイワイガヤガヤの会議や出張が増える要因となっている面も否めません。

迅速、正確な判断を行うためには現実問題として出張、会議の増加もやもうえない面もありますが、組織論の視点で考えるとこれは変な話です。

組織の階層ネットワークは本来、情報の集約化ネットワークでもあるはずで、現場、現物を前にした第一線のひとが情報を適切に要約して後方に飛ばし、中間過程でそれをひずませずにさらに後方に伝達するなら縦一列が一斉に第一線に張り付く必要はないはず・・・従来の組織はそれを前提にピラミッドを組んでいたはずでした。

なのに三現主義が必要とされる背景には、この情報の臨場感を含めた要約化と伝達がうまく機能しないことが原因のひとつではなかったかと思います。

こうした中でIT革命の時代をむかえ、組織は情報システムに多額の投資をし、第一線の情報が直接広範囲に一斉に伝達される時代となりました。
階層を経て堅苦しく情報が伝達されていた時代に比べると圧倒的に早く、しかも中間過程で情報がなまることもなくなりました。情報の形態もテキストだけでなく静止画、動画と多彩になり、一見臨場感を損なわずに時間と空間を飛び越えた情報伝達が可能な時代になった感じがします。
だとするとこれで三現主義はバーチャル三現主義が可能な時代となり、出張、会議を最少にできる時代となりうるのでしょうか。

こんなことを考えていくと、どうも最後に残るのが第一線で情報をインプットする人の感性となりそうです。
現場、現物、現実を前にして、何をトップニュースにし、それをどういうフレーズの文章にするか、写真ならどういう構図を選ぶか・・・それでニュアンスは大きく変わる。そこがうまくいかないとITを導入し出張、会議を減らしても現場、現物、現実が見えるバーチャル三現主義の時代はこない・・・・そんな感じがしています。(2005.6.5)
by c_mann3 | 2008-12-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆組織と情報:情報の編集と収斂

組織と情報・・・組織にとって情報とは結局のところそれが集約され、組織が進む次の一歩への方向を示すものとして合意されてこそ役に立つもの・・・そのためには情報の編集と収斂のプロセスが重要となりそうです。

情報システム・・・ハードとしては情報の入力、伝達、蓄積、検索、出力ということですが・・・これを人や組織の観点で見ますと、情報の収集、コミュニケーション(対話)、編集と収斂、結果のブロードキャスティング(一斉放出)・・・組織の中でいろいろな情報が飛びかう過程で少しずつ情報の編集と収斂がおこなわれ、組織全体になにやら結論めいた方向性といったものがうかびあがり、やがてそれがもと来た方向に広がっていくことを繰り返すといったプロセスが浮かび上がってきます。

こうした風景を眺めていますと、ハードとしてのITは放っておいても発達しそう・・・となると、どうみても人の助けの必要な“編集と収斂”の部分が全体のクオリティを支配しそうといった感じがします。

こんなことを考えながら社会全体を巨大な情報システムとして見ていますと・・・毎日発生する無数のニュース、情報をひとつのキーワードに収斂させて世論を形成していく「情報の編集」といった作業に「ジャーナリズム」が大きく関わっている・・・
だとすると企業組織の中の情報システムにこの「ジャーナリズム」に似た機能をビルトインできないものか・・・などと勝手な思いを持ってしまいます。

従来の組織内の情報システムでは、調査部門が情報収集し、企画部門が取捨選択、方向性を取りまとめて上申し、経営会議体がデシジョンしたものを方針として組織に示達れば全体が一丸となってその方向に動くということですが・・・こういった方式ではどうにもならなくなりつつある感じもします。

で、漠然としてではありますが・・・企業組織の中にもっと自由で自然発生的なジャーナリズムにも似た機能が形成されることで企業を取り巻く内外の出来事を自然な形のコミュニケーションプロセスで、ニュースとして捕らえ、編集し、少しずつ方向性を形作っていくこと事ができるなら・・・もっとリアルタイムに、もっと大小さまざまな問題を、もっとポリセントリックに、もっと緩やかな整合性のもとでのデシジョンが可能となり、市場にも社会にももっときめ細かく適合し続けることができるのかもしれません。

こんなことを考えつつ、いろいろと見ていますと・・・
企業組織の中の情報処理プロセスで“情報の編集”に焦点を当てた論文を発見しました。題して「企業のドメイン形成における組織の知識編集メカニズムに関する理論的考察」。圧巻です。(2005.6.5)

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/32172/1/49%283%29_P71-92.pdf
by c_mann3 | 2008-12-16 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆組織と情報:ITは組織を変えるか

数十年も前、メインフレームによる企業の経営情報システムが構築され始めたころから“情報システムが発達すると中間管理職は消滅する”といわれていました。
その後の経過は・・・職制としての中間管理職は今も健在。ですがIT技術の爆発的な発達に比べるとはるかにゆっくりとしたテンポではあったとしても確かに中間管理職のポジションは変化しつつあるようです。

たとえば従来は直属の上司である中間管理職に書面や口頭で行っていた業務報告が、広範囲のメンバーに情報共有されたネットワークサーバー上の掲示板に書き込むとか、グループメールに書き込んで終わりの方式をとったとすると・・・書き終わった瞬間に情報はいっせいに公開された状態になる。従来なら中間管理職が吟味し訂正をかけてさらに上に上げるなり、逆に机の上に眠らせるなり、良くも悪くもいろんな経過をたどっていましたが・・・一斉公開となると最初に反応するのは直属の上司とは限らなくなる。それはおそらく職制職位に関係なく、情報に敏感に反応する人・・・中間管理職のさらに上の人かもしれないし、あるいは隣の部門の人かもしれない。

書き込んだ人といち早く反応する人・・・この二人の間で自然発生的に会話が始まり次の一手が決まっていく。業務の報告に親身になって反応し会話を重ねて指揮をとるのが中間管理職のひとつの機能であったとすると・・・この人の実質的な上司は職制職位の上司とは限らず別の人に移ってしまうことがありえる。結果として中間管理職には形式的な勤怠管理とか、手続き的な業務のみが残る・・・つまり人事管理と業務指揮統括の乖離現象ですが、これなどはまさしくITが組織を実質的に変容させていく、ひとつのハターンだといえます。

数年前、NHKスペシャルで「情報革命が組織を変える ~崩れゆくピラミッド組織~」が放送されましたが、そこで紹介されていた世界はピラミッド組織の権化と思っていた軍隊組織でさえウェアラブルコンピュータで情報装備した特殊部隊が、司令官の指示を受けずに自立的に行動することを目指すというショッキングなものでした。都心部に侵攻した時のように敵との接近戦で本部の情報分析や指令が間に合わない場面を想定したモデルのようですが・・・形式的な組織はそのままでも、実質的な組織運用はITをベースに確実に変わっていくのかもしれません。(2005.6.5)
by c_mann3 | 2008-12-14 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆組織と情報:暗黙知に火をつける

情報システムの役割は形式知をリアルタイムに共有し、蓄積し、いつでも効率的に活用できること・・・ですが、更なる役割はそれをベースにして暗黙知が誘発されること。

こんな思いを募らせていたのですが、富士通がメインフレームの時代から25年にわたってはぐくみ進化させてきたナレッジマネジメントの本が出ました。
題して“富士通の知的「現場」改革”。野中郁次郎監修、黒瀬邦夫著、ダイヤモンド社から10/14発行されたばかりのものです。

一橋大学の野中郁次郎さんが提唱するSECI理論をベースに試行錯誤を重ねた体系とのことで、主観や暗黙知をくみ上げて実成果につなげることに真正面から取り組んでいます。

SECI理論とは・・・
知識には暗黙知と形式知があるが破壊的想像につながるのは暗黙知から出発したもの・・・この暗黙知をメンバー間で共感し(S)、概念化し(E)、結合し(C)、具現化(I)する。このプロセスからメンバーの主観領域にさらに新しい暗黙知が生まれ・・・これが循環することで革新的な知識が創造されていくというもの。

このプロセスを理解し推進するのが真のナレッジマネジメントであり、形式知のみに注目したIT化では多少便利にはなってもそこから創造的知識が生まれるまでには到らない。

富士通でも最初はITを駆使しネットワーク上で情報共有さえすれば何とかなると思って始めたが、便利にはなってもそこから「智慧」は生まれなかったとのこと。そこに思い入れのある人が絡み、フェース ツー フェースの場があって、さらにある程度の強制力とトリガーが働くことが必要といったことが少しずつ判明。

結局暗黙知を重視するナレッジマネジメントシステムは、ITベースのシステムに、思い入れのある運営のマネジメントがプラスされて始めて成り立つということのようです。

本書の構成ですが・・・
第一章が野中さんと富士通社長の対談コーナーで、味わい深い話が満載です。

第二章以下では、富士通の4000人のSEが集結した「富士通ソリューションスクエア」での運用状況、このシステムを導入したユーザー企業の事例と続きますが・・・
このソリューションスクエアにおける、あるSEの一週間の日記風の実況中継がおもしろい。最先端のネットワーク技術やOA環境が駆使された職場環境なのですが、その一つ一つのエレメントはあちらこちらの企業でも導入されていそうなシステムやソフト。

ですが、それが全て統合されて一連のナレッジマネージメントフローとして展開される姿はもうSFの世界。あまりにもできすぎていて富士通がソリューションPRとして描くバーチャルな夢の世界と思えなくもないですが・・・高価なシステムを導入するしないにかかわらず、その心、運用ノウハウはぜひとも吸収し展開に着手すべきもの・・・まさに本書の副題に示された“事例に見るワークスタイル変革の実践”そのものといった注目に値する一冊でした。

ただ多少、気になることも・・・ここまでスムーズに形式知が組織的に集結され、編集されてしまうと、とりあえずのところはそれで良しとなってしまい、暗黙知が埋もれてしまうのではないか。もう少し渋滞、停滞が発生し、行き詰まり、コンフリクトが発生する状況がないと暗黙知をリクエストするトリガーが働かないのではないか・・・などと思ったりもします。

SECI理論、暗黙知については“組織と創造性”のコーナーでも▼別掲記事があります。(2005.10.30)
by c_mann3 | 2008-12-12 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

  ・・・次は・・・

      ◆次は「情報スキル」について・・・⇒⇒


by C_MANN3 | 2008-12-01 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)