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◆ストレスで伸びる人の心理学

恐ろしい本を発見してしまいました。
題して「仕事ストレスで伸びる人の心理学」。副題が“争わず、逃避せず、真正面から立ち向かう”・・・ダイヤモンド社2006年3月刊。

何でも1975年から12年間にわたり、米国AT&Tの子会社イリノイ・ベルの従業員450人のストレスを臨床心理学者が追跡調査。
ちょうどその途中でAT&Tグループが民営化され、イリノイ・ベルでも大リストラが巻き起こり従業員の半数が解雇。会社に残っても組織も上司もが日替わりメニューのようにめまぐるしく変わる・・・

こうした中で心臓発作、うつ病、アルコール依存、ドラッグ・・・いろんな形で崩れていく人たちの中で、実は1/3の人たちはこのストレスに敢然と立ち向かい乗り切っていく・・・それどころか逆にキャリアを高めていったと。

で、もちろん両者の心理学的比較分析ということになるのですが・・・乗り切っていく人たちの特徴は「弾力性」「ハーディネス」「問題解決型の対処」・・・等々とのこと。


1970年代までのストレス心理学の目的は、会社としてもストレスを与えず、従業員も避けて生きるための処方箋の提示にあったが、その後の社会状況の激変の中でこうした柔な理論ではどうにも立ち行かなくなったところにこうした新しい研究が出てきたのだと・・・

新しいストレス心理学では“ストレスは人間の脳が活性化し、進化し続けるためには必須のもの”とまで言い切っていて・・・ちょっと体調の悪いときに読むには刺激が強すぎる本。

ですが・・・確かにそんな気もしないでもない。アメリカの後を追従して日本も大構造改革が巻き起こり、強烈なストレス社会となっていることを思うと貴重な本なのかもしれません。(2006.4.2)
by c_mann3 | 2009-02-20 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆「鬱の力」・・・

五木寛之さんと香山リカさんの対談集「鬱の力」、幻冬舎新書088。今月出たばかりの本なのですが、なかなかのものでした。

昨日も警察庁が新しい自殺統計を発表したとかで新聞をにぎわしていましたが、98年以降連続10年間、年間3万人を超え記録を更新中だとか。やはりその中で鬱は最大の要因であり続けているようです。

ですが、そうした危険につながる鬱とは別に、社会全般に漂う鬱気分といったものもある。

そんな中で、この本では五木さんによると・・・
日本は戦後の復興期、高度成長期と60年間、躁の時代が続いたが、これから50年間は鬱の時代が続くと。
舞い上がって山の頂を目指す時代は終わった。鬱をネガティブにとらえず、「鬱の力」としてポジティブに捉えて、ゆっくり風景を眺めながら下山を楽しむべき時代なのだと・・・鬱の持つ内省力に注目し、そこから生まれる新しい生き方や社会のあり方に期待をはせる味わい深い本でした。(2008.7.15)
by c_mann3 | 2009-02-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆「私はうつ」と言いたがる人たち・・・

五木寛之さんとの対談「鬱の力」に続いて香山リカさんの新しい本が出ています。題して“「私はうつ」と言いたがる人たち”、PHP新書534。

なかなか味わい深い本ですが、この本によると・・・うつにはCTやMRI、血液検査といった客観的な診断法が無い。自己申告と面談を主たるよりどころにDSM-Ⅳという世界標準のマニュアルに照らし合わせて判断することになる。

従って重度の本格うつで苦しむ人がいる一方で、ちょっと気分が滅入ると「私はうつ」と医者に駆け込み、医者も気軽に薬や診断書を出す傾向が広まっている。

今や国家公務員の長期休職の要因の63%が「精神・行動の障害」であり、癌や循環器といった疾病をはるかに上回っているとのこと。
メンタルケアの行き届いた公務員や大企業ては気軽に発行される診断書を盾にまんまと長期休暇や希望する職場への転属を手に入れる「うつセレブ」がいる一方で、職種や企業規模によっては同じ診断書を提出したばかりに白眼視されたり解雇されたりする「うつ難民」がいる。
「うつ」の世界もまた格差社会なのだと。

この本では野党の追及を受け自殺してしまった松岡農水大臣、あれやこれやで政権を投げ出してしまった安倍首相、一瞬プッツンしてしまったと自己申告した小沢党首などが引き合いに出されているのですが、ポイントはうつだから難局が乗り越えられなかったのではなくて、難局が一時的なうつ症状を引き起こしたということ。

人は困難に直面すると悩んで耐えて突破口を見出すのが本来の姿。その入り口でせっかくの悩みを「うつ」という病気にしてしまうのは人生にとってもチャンスロスなのだとも・・・

重度の本格うつには真剣な対応が必要なことはもちろんなのでしょうが・・・まるでファッションのように「私はうつ」と言う人が蔓延しているといわれると・・・私などにもちょっと胸にぐさりとくるものがある一冊でした。(2008.8.26)
by c_mann3 | 2009-02-16 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆悪いのは私じゃない症候群・・・

精神科医、香山リカさんの新しい本が出ています。題して「悪いのは私じゃない症候群」、ベスト新書239。
いつもながら香山リカさんの本はタイトルが刺激的で中身も臨場感に溢れている、この本もそんな一冊です。

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教師や医者といった先生と呼ばれる人には畏敬の念をもって接し、何事にも謙虚で何かあると先ずは「私が悪うございました」と謝ることが美徳とされていたはずの日本人はすっかり変わってしまったのでしょうか。
今や教育現場、医療現場、会社の職場とあらゆるところで「悪いのは私じゃない症候群」が蔓延しているとのこと。

叱責や指導を受けると「悪いのは私じゃない」と開き直る。さらには「悪いのはおまえだ」、「治らないのはおまえのせいだ」と生徒や患者が教師や医者に乱暴な言葉で攻撃をかける・・・この本ではそうした様子が事例をふんだんに取り入れて生々しく実況されています。

鬱の世界でも新型が増えている。
本来の鬱は「悪いのは私」と自分を責め、沈み込んで活力を失っていくのが通常だったが、最近は「悪いのは私じゃない」、私は被害者でこんなに困っていると激しく回りを攻撃するタイプが少なくないとのこと。

あまりのひどさに「そうじゃないでしょ」と言いたいところだが、教育現場では背後にペアレントモンスターが控えているし職場ではパワハラ規制の目が光る。そんな中で一歩間違うと執拗なスパム攻撃や訴訟にも発展しかねない。
結果、ぐっと我慢する医者や教師のほうが旧来型の鬱になり、会社の職場では逆パワハラによる上司の鬱が労災認定されるケースさえも出始めているとか・・・

ところで・・・悪いのは私じゃないといって「謝らなくなった日本人」については以前にこんな記事も書いています。よろしければ▼併せてご一読を・・・(2009.9.15)
by c_mann3 | 2009-02-14 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆新型うつ・・・雑感

最近気になったニュースなのですが・・・

日本うつ病学会が気分障害の治療ガイドラインを発表。その中で私生活では元気だが職場でのみ症状が出る、いわゆる“新型うつ病”については医学的知見の裏打ちが不十分(マスコミ用語に近い)として対象から除外したとのこと。

苦しんでおられる方が多いことは確かですが、それは学会が言及を避ける程に微妙な話なのかもしれません。なのに、そんな微妙な病名に会社も症状を訴える人もお医者さんもがなんとなく寄りかかって納得し、手打ちしている、そんな構図を感じなくもない。

こんなニュースに接すると、(もちろん素人の妄想ですが)いろんなことが脳裏をよぎります。

《その①》 かつて“モラトリアム人間の時代”と言われた現象がありましたが、それは病気とか治療の対象とかいったものではなかったですよね。
モラトリアム人間が仕事につく手前でのうずくまりだったとすると、新型うつは会社に入った後の仕事を前にしてのうずくまりといった感じもする。現実の仕事を目の前に控えての新型うつは、キャンパスの中という安全地帯で感じるモラトリアムよりは切羽詰まったものではあるが通底するものもありそうな気はする。モラトリアムが病気でないのなら、新型うつももしかしたら・・・とは思います。

《その②》 もうひとつは・・・ずいぶん昔の話ですが、河合隼雄さんが何かの本で“永遠の少年”の一番確実な治療法は“仕事につくこと”とゲーテも言っているなんてことを書いていたのを見たような気がします。
昔は仕事は四の五の言わず、無理やり対峙せざるを得ないものと相場が決まっていたからこそ、永遠の少年を脱皮させる薬にもなった。ところが最近では仕事は絶対的なものではなく、対峙する以外にもその前でうずくまってしまうこともありなんだよといった公認のオプションが出来てしまった・・・それが新型うつの一つの背景といった感じがしないでもないんですよね。

でも公認の病名をもらって何か月かのモラトリアム期間を確保はできてもやがてそれが終焉し、復帰するとそこには何も変わらない仕事の壁が突っ立ったままなんですよね。こころの苦痛を和らげる薬はあっても、仕事をかみ砕きやすくする薬はない・・・それをどうするかが問題なんじゃないかなどと・・・ふと。(2012.8.25)

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by C_MANN3 | 2009-02-12 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆若年性アルツハイマー / ビューティフル・マインド

前掲の記事で、心を鍛えて揺れる小船の姿勢制御・・・などと判った風なことを書きましたが、もっと恐ろしいのは心を心として扱える領域を超え脳に損傷が始まる世界。

例えばアルツハイマー、そして分裂症・・・心脳問題の境界がすっきりしないように、こうした症状も自身が心を鍛え、周りが心を支えることが予防や改善にまったく無関係ではないとのことではありますが・・・身近に経験する揺れる小船の世界とはかけ離れた重い世界であることも確か。軽いタッチで記事にするテーマではないのかもしれませんが・・・映画の話を二題。

★若年性アルツハイマー

韓国映画「私の頭の中の消しゴム 」が公開され、変な題名で何だって感じだったんですが・・・誘われるままに見に行ったところ、これが実によくできた、すばらしい映画でした。
テーマは「若年性アルツハイマー」、女優はソン・イェジン。
ただの物忘れのひどい女の子と思っていた彼女が結婚し、幸せの絶頂で若年性アルツハイマーだとわかり、急速に症状が悪化していくというストーリー。

若年性アルツハイマーは最近現実の世界でも実際に見られ始めているとか・・・若年性よりもっと確率の高い初老性の年代に差し掛かった私などは見ていてもう他人事ではない。

身体的な病気については医学が発達しどんどん寿命が延びている現在、それよりも手前で脳が寿命を迎える確率は確実に高くなっている。
いつの日か、私にもそういう日が来る。家族のことも、自分のこともわからなくなる日が来る。自分が何者で、何を考えて生きてきた者なのかがわからなくなる・・・

映画の中の1シーン・・・
脳裏からどんどん消されていく記憶を補おうと、部屋の壁や扉を埋め尽くして張り巡らされた思い出の写真、日常生活の手順メモ・・・その一つ一つを確認しながら蘇っては薄れ、薄れては蘇る記憶。

こんなシーンを見ていてふいに思ったことは、私も今思っていることをできるだけたくさん、せめて文章にしてでも残しておかなければ・・・このブログもふっと気が抜けると一ヶ月以上も新着記事がないなんてことがありますが、それはまずい。日々思うことは書くだけ書いて推敲、編集して・・・

そして迎える自身が痴呆となった日々。もはや自分で考えたり文章を書いたりは無理となったとき・・・まるで他人の文章を読むかのように、かつての自分が書いた文章を読んでこっくりこっくりうなずく日のために・・・ん、そんな事態になるともはや、文章を読んだりうなずいたりって事はもう無理なんだろうか???

それにしても・・・宮廷女官「チャングムの誓い」もそうですが・・・韓国の映画やドラマは本当によくできている。何が違うのでしょうか。俳優なのか、テーマの切り口なのか、それともシナリオの練りこみなんでしょうか。

★ビューティフル・マインド

こちらは2001年のアメリカ映画、そして実話。天才的数学者ジョン・フォーブス・ナッシュが数学の研究に没頭し、ついに「ゲーム理論」の基礎を固める。だがその才能に目を付けた国防省の依頼で秘密裏の暗号解読研究に没頭し始めるとともに少しずつ現実と非現実の区別がつかなくなっていく・・・
症状はだんだん悪化しついには入院や電気ショックの治療を繰り返すが改善は見られない・・・だがやがて何かを求め続ける意志の強さと回りの支援が支えとなり、ついにはすべてを克服しノーベル賞の受賞スピーチの壇上に立つ。
映画を見終わったとき、いったいどのシーンが現実でどの部分が幻想の世界だったのか区別に自信がもてなくなってしまうのですが・・・強い意志で分裂症(統合失調症と書くべきなんでしょうが・・・)の世界を脱却しノーベル賞に輝いたことは確かな事実。電気ショック療法があったこと、そしてそれが役に立たなかったこともどうやら確か・・・

「われ思うゆえにわれあり」とか、「心頭滅却すれば火もまた涼し」などと自負している“人間”。ならばせめて想うことができ、意思がある限りは頑張らなければ・・・などと思ったりもします。(2005.10.25)
by c_mann3 | 2009-02-08 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆「フリーズする脳」・・・

ふらりと入った本屋で眼にした帯広告の“あなたの脳は大丈夫か?”のフレーズに惹かれて思わず買ってしまいました。
築山節さん(脳神経、ぼけ外来がご専門)著、NHK生活人新書163。題して「フリーズする脳」、副題が“思考が止まる、言葉が詰まる”。


きびきびと動いていたパソコンが突然フリーズするように・・・
日常会話の中でふっと単語が出なくなる、目の前の人の名前が出なくなる。突然話し掛けられると一瞬頭の中が真っ白になり反応できなくなる。

いわゆるボケの始まりは初老期とは限らない。いまや30代、20代にも広がり始めている。

そしてボケの原因は自分の脳を使っていない、もしくは使い方のバランスが悪いこと。
パソコン、インターネット検索、携帯電話、カーナビ、親切な奥さん、真綿でくるむように接してくれる上司や同僚・・・一見快適な環境の一つ一つがあなたの脳を怠惰にさせ、壊死させている。
インターネット検索やカーナビは覚えよう、思い出そうという意欲と行為を失わせる。簡単なメールで会話を済ませることが、対面会話ならほんの一言で相手の表情が変わるといった緊張感を失わせる。
一見難しそうな仕事も超ベテランともなると指先や口先が勝手に仕事をしてしまい、前頭葉は動いていない可能性がある。

常に脳を活性化させボケを阻止するためには、対人的な緊張感や揉め事、雑用、新しいことへの挑戦といったことが切れ目無く必要ということのようです。

実例が豊富で読んでいると身につまされる。と同時に読んでいると自身のことだけでなく、同僚や知人の顔も浮かんでダブってきますが・・・だからといって、そうした人達に勧めたりするといくらよくできた本だとはいえ角が立ちそうですよね。
まずは人の心配をする前に自分の傾向と対策を立てることが先決なのかも・・・(2008.2.20)
by c_mann3 | 2009-02-06 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(2)

◆「孤高の出張カウンセラー」・・・

【2013.2.23記】 先日日テレで放映のあった番組「孤高の出張カウンセラー」は衝撃的でした。近々BSで再放映もされるようですが・・・行動分析学を応用し自閉症児の救済に立ち向かい成果を上げていく奥田健次さんの姿は必見ものです。

概要は下記の日テレのサイトを。このリンク先のページの三段目あたりにに紹介記事があります。
http://www.ntv.co.jp/document/back/201302.html


この奥田健次さん、独特の風貌と切り口で“子育てブラックジャック”と呼ばれているらしく、本も出ているとのことで早速手にしてみたのですが、これも読めば読むほど伝統的な心理療法とは真逆。目からウロコです!
 
集英社新書「メリットの法則~行動分析学・実践編」 たった777円です。臨床に興味をお持ちの方は是非ご一読を!

ベースとされている行動分析学なるものには今まで全く接する機会が無かったのですが、ユングやロジャーズ流のカウンセリングばかりが目につく中で、よって立つ理論が異なると同じカウンセリングでもこうまでも違った世界になるのかと。そして奥田さんの経歴にもただならぬものが漂っています。

ともあれミラクルな人物による脅威の療法・・・奥田さんのブログサイトもあるようで、これからも記事を追っかけて行きたいと思います。それにしてもトップ画面の雰囲気は何とも怪しい・・・
http://diamondblog.jp/kenjiokuda/


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by C_MANN3 | 2009-02-05 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

  ・・・次は・・・

      ◆次は「組織と情報」について・・・⇒⇒


by C_MANN3 | 2009-02-01 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)