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◆うつ、自殺・・・揺れる小舟

気のせいなのでしょうか・・・最近新聞やテレビでうつ病や自殺者の増加が話題になることが多くなりましたね。

「公務員よ、自殺するな」と題した新聞記事では 国家公務員の自殺者が増えていて、公務員に限ると死因の第二位。ついに人事院が防止マニュアルを作成し対策に乗り出したとか。(朝日新聞、2005.6.2)

そうかと思うと世界の自殺者ランキングで、日本は10位。1~9位は不思議にすべてが旧ソ連圏ないし東欧諸国。日本ではグラフの推移を見ると1998年を境に急増しているんですよね。(朝日新聞、2005.6.19)

旧共産圏も日本も、何かが壊れてしまって、生きるよりどころがなくなってしまったのでしょうか・・・

また「労働政策研究所」の調査では会社員の6割が将来性への不安などに起因する精神的なストレスを抱えており、年代別では40代がトップ。役職別では課長、主任クラスが高く、不思議なことに役員クラスのストレスは平社員よりも低い。(朝日新聞2005.8.20)

こんな中でNHKでは“うつ症状の傾向と対策”の番組がシリーズ放映で回を重ね20回を超えて続いていました。広がるうつ・・・家庭の主婦、お年寄り、ベテランビジネスマン、そして若い人たちも・・・もちろん企業などの職場を対象にしたコーナーも何回か。

http://www.nhk.or.jp/fukushi/utsu/file/index.html
このサイトには現在リンクがつながりません。 

この中でビジネスマンの「うつ病」の主な原因は、業務量の増大、希薄な人間関係に続いて成果主義があげられていて・・・成果主義の浸透は職場の士気を低下させ、うつの原因にもなっているとのこと。
またうつ病を悪化させるものとしては離婚や病気といったものならなるほどといった感じなのですが・・・栄転、昇進、結婚といった一見喜ばしいものも悪化の要因となるようです。

会社の中では今もなお果てしなく続く組織改革、リストラ・・・中年、若年を問わず一人一人はまるで荒波に揺れる小舟。それに耐えられる姿勢制御の仕組みを体内に築いておかないと、組織の波間であっという間に転覆してしまうのかも。

会社も最近はこうした状況への対応として社員のメンタルケアに注意を払い始めているとか。社内にカウンセラーを置く、場合によっては外部機関と提携してもっと本格的な取り組みをする等・・・さまざまな動きが見られるようです。

ですが心の姿勢制御はやはり本人自身の問題・・・状況や風景の解釈の仕方、気持ちの持ちようといったことも重要・・・そんな時、組織心理学的な視点は何がしかの役に立つのでは。そんな期待も持ってはいるのですが・・・(2005.10.20)
by c_mann3 | 2009-04-20 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆揺れる小船の姿勢制御

本格的なうつや自殺は医者やカウンセラーの領域だとして除外しても・・・
その裾野の風景としては、身近なところで似たような状況が発生し、不満、消沈、苛立ちが渦巻いています。例えば本来なら明るい日差しと陽気に包まれ始める春先でさえ・・・

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春先は明るい日差しに包まれる一方でつむじ風が舞い、春の嵐もあり意外に不安定な季節・・・人生にとっても岐路に立ったり悩んだりの季節でもあります。
サラリーマンにとっては春先は組織変更や人事異動の多い季節。意にそぐわない指令を受けた人は落ち込み、昇格昇進した人も落ち着き始めてみると、なんか違うとまるで新入学生の5月病にも似た症状に悩む人も少なくない。いずれの場合も新しい状況を受け止め、再解釈し、自身の位置づけを変えていくことが想像以上に難しいということなのかもしれません。

思っていることと現実のギャップがストレスを生み、ストレスがうつを誘発する。
ですが現実は変えようがないとしても、「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言う言葉もある。現実をを受け止める気持ちの側を変えることでストレスも多少の緩和はできるのかもしれません。
  ・状況を神様の贈り賜うた試練と考えることが
   できるなら・・・
  ・あるいは「万事塞翁が馬」などという故事をわ
   が身に重ねて味わえるなら・・・
  ・組織の中で渦巻くものを「組織心理学」では言
   い古された自然現象なのだと客観視できるなら・・・

こうした気持ちの持ちようで、すくなくとも思い込み、思いつめる状態から抜け出すことは可能。

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“思っていることと現実のギャップ”・・・この何気ないフレーズは実は三つの要素に分解される。

●思っていること・・・
思いを守り抜こうとすることがストレスの原因だとすると・・・その思いが胃壁に血をにじませたり、うつになる危険を冒してまで守るほどのものかどうかが気になります。
それは本当に自分自身の思いなのか・・・いつのまにか忍び込んだ、いつ誰から刷り込まれたのかもはっきりしないものを自分の思いと信じて、社会に対して代理戦争を挑んでいるなんてことはないか。

●現実・・・
現実は客観的で動かしようがないというものでもない。自分が見ている現実は自分の思いでトリミングしたもの・・・実際の現実はもっといろいろな要素を含み多様なもの。

例えば管理しない管理職。旧来のパラダイムを信じている人にとってはもってのほかの上司、イライラの元凶ですが・・・その人は新しい企業管理のスタイル“自主管理と成果主義”を実践しているだけのことかも。
激動の時代にあっては新旧のパラダイムが入り混じって渦巻いている。自身でも体内にいろいろなパラダイムを持ち、現実を見つめる際は日差しや風景に応じていろいろな色合いのサングラスをとっかえひっかえできることが必要。場合によっては自分に都合のよいパラダイムを信じている振りをして立ち振る舞うのも悪くはない。

●ギャップ・・・
自身とまわりとの関係性についても思い込みはないか・・・自身の思いと現実のギャップでストレスを感じる人ばかりとは限らない。元来ユニークな意見は受け入れられにくいもの・・・とばかりに、まわりと合わないことが自身の正しさの証明、ストレスどころかファイトの源泉といった人もいなくはない。関係性についてもいろいろなスタンスに立てることがぜひとも必要。


気持ちの持ちようで揺れる小船の姿勢を極力安定させる・・・そのためには日頃からの鍛錬が有効。道具建ては何だっていい・・・宗教でも、組織心理学でも、とにかく自分の存在も含めて状況は多様で多元的なものだと客観視できること、悩んでいる自分を手のひらに乗せて眺められることが肝要。

それでもストレスがたまり遂に身体症状が出たとなると、手遅れにならないうちにカウンセラーや医者の元に駆け込み、治療や薬物にすがるのはやもうえない安全策。
ですが・・・カウンセリングはともかく薬物は症状を一旦リセットし、時間的な余裕を確保するためのもの・・・この猶予の時間を使って復帰していくのは自身のしごと。
で、結局は元の心のもちようの話に帰っていかざるを得ないのかもしれません。(2005.10.20)
by c_mann3 | 2009-04-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆家庭の「うつ」・・・そのステージ

NHKのうつ番組が今も続いています。先日も“女性のうつ”と銘打った特集番組が放映されていました。

女性のうつは男性の二倍、しかも自分がうつだとは気がつかないままに症状を悪化させていくことが多いとか・・・
何組かのご夫婦が出演されての赤裸々なトーク番組でしたが、うつのきっかけはキャリアウーマンが家庭に入るとか、産後まもなくといったもの。

まず気力を失い、家事をしなくなるところから始まるようなのですが・・・最初は非難をあらわにし、叱咤激励していたに違いないご主人がある日、うつと判明するとそれを受け止め家事一切を肩代わりし支援に回る。

ですが出口の見えない生活の中でご主人もまたうつになり、家族全体がどんどん出口の見えない世界に沈みこんで行く。そこに至るご主人の努力は痛々しくて見ているだけでも胸が苦しくなりますが、その努力も報われずやがて家族分裂の危機が訪れる。

明日はわが身かもしれないし、最初にうつになるのも女性とは限らないなどと思うと目が離せなくなってしまう番組なのですが、見ていて感じる疑問もいくつか・・・

◆ひとつは最初の入り口・・・

うつではない普通の状態では人は落ち込み元気を失ったときは、叱咤激励したりされたりでハッとわれに返ってまた元気を取り戻すといったことを繰り返しつつ生きていることも確か。それは支えあって生きている普通の姿でもある。

ですがいったんうつとなると・・・うつの人は励ましてはいけない、すべてを認めて受け入れることが肝要なのだと・・・その知識自体はかなりの程度まで普及していて理解しているつもりでも、毎日接している家族や会社の同僚とは結構厳しい会話で日常が成り立っている。

この日常の中である日どうも様子が変だと思うことがあったとき、その人が今、一線を越えているのかどうかをどう判断すればよいのか・・・まるで異なる二つの世界をいったいいつ切り替えればよいのか・・・タイミングを失して状況を悪化させないようにと言われてもその判断は難しい・・・

◆そして出口はいずこに・・・

夫婦そろってうつとなり、まるで二匹のハリネズミがくっつきすぎて互いに傷つけあっている状態となったとき、そんな二人が相談して安全な出口を見出すことは難しい。

番組に出演されていた方はストレスの少ないところへの転居、離別の心積もりといろいろな選択をされているのですが、ここに何がしかの第三者のアドバイスやカウンセリングは必要なのではないか・・・この番組ではそのあたりがよく見えませんでした。

おそらくうつから脱出したとしても、もう以前のように社会通念としての決まりきった価値観や在るべき姿に縛られる世界に戻ることは難しいのだとすると・・・
一体どんな復帰メニューが考えられるのかの提示があれば、コース選択のリスクは多少なりとも少なくなり、出口にいたるタイミングも早くなるのではないかと思ったりもします。

うつのプロセスにはいくつかのステージがある。
  ・始まる前後の段階
  ・どうしようもなく沈み込んでいく段階
  ・闇の中の小康状態を過ごさざるを得ない段階
  ・そして訪れる、出口に向かう段階

このステージごとに、周りの人の接し方も、本人の心の姿勢制御のありようも異なったものがある・・・素人ながら、そんな気がします。(2006.7.31)
by c_mann3 | 2009-04-16 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆職場の「うつ」・・・二種類の会話

先日、産業医のセミナーを聞く機会がありました。
増え続ける「うつ」、自殺・・・職場における過労やストレスもその一因であり、職場の管理職はこうした症状をもつ従業員に対する「予見義務」と「回避義務」が必須。これを怠ると民事訴追を受けかねない時代が来つつあり、上司はこうした兆候の第一発見者としての適切な処置が要求されるとのこと。

ちょっとした変化を感じるとそれとなく声をかけること、そして話を聞くときは以下の三つが大事だとか・・・
  ・受容、共感、支持の気持ちを持って話をすること
  ・相手が自由に話せるオープン・リードに勤めること
  ・こちらの意見を言わずリフレクションに徹すること

オープン・リードとは、はっきりした返事を必要としないあいまいな質問をすること。リフレクションとはいわゆるオーム返し。
この三つ、昔からよく聞くカウンセラーの会話の仕方そのもののようでなるほどと納得、何の異論もないのですが・・・困ったことに日常交わされている職場の会話とはまったく異なる点が玉に瑕。

会議、会話は手短に。ロジカルシンキングで即断即決、そして目指すは成果主義・・・槍を突きつけ、壁に追い詰め、遠慮会釈なく畳み込むような会話が繰り広げられる職場の風景。そんな中である日突然、異変に気がついたとき・・・同じ人が同じ職場で一瞬にして受容、共感、リフレクションの世界に切り替えられるものなのだろうか・・・なんてことがちょっと心配。

ただ、こうした職場の雰囲気が「うつ」につながりかねないストレスを生んでいることも確か・・・日ごろから両極二種類の会話が切り替えられるよう・・・突然豹変する二重人格の上司と思っておいてもらうか、鬼の部長と仏の次長といったフォーメーションを組んでおくといったことも必要なのかもしれませんね。

◆更にちょっと思ったことなのですが・・・

このカウンセラーもどきの会話法、「うつ」の心情を引き出すためではありますが・・・同じく、無意識の水面下に潜み慎重にくみ上げないと潜ったまま出てこない社員の「創造的叡智」をくみ上げるための対話でいわれているものと似ていなくもない。そんなことを思うと職場、職種にもよりますが・・・日ごろからこうした会話の雰囲気を導入しておくことも悪くはないのかもしれません。(2006.8.12)
by C_MANN3 | 2009-04-14 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆「うつ」と付き合う心理学・・・

認知療法、行動療法、論理療法・・・いろいろな療法が言われていますが、それらはどう違うのか、認知療法は認知科学(心理学)と、行動療法は行動科学(心理学)と関係があるのかどうなのか・・・以前からこうしたことが気になっていたのですが、一冊の本に出会って多少霧が晴れる感じがし始めました。

題して“「うつ」と上手につきあう心理学”、高橋良斉さん著、ベスト新書38。

この本によるとどうやらうつはストレスに満ちた環境にあってそれに対する自分の受け止め方、つまりはその認知プロセスに誤りがあり、それが悪循環を起こすことで発症するもののよう。次々押し寄せるストレッサーが脳から副腎にいたる神経伝達物質やホルモンの分泌に影響し、それが脳の生理的なダメージにつながっていくプロセスや、よく使われる薬の解説にも言及はされているのですが、それ以上に主だった認知の誤りの種類や特徴が詳しく列記されていて、思い当たることが少なくない。

“自分でできる認知療法入門”との副題が示すように、この認知プロセスの誤りに気づき少しずつ脱出を図っていく手立てがわかり易く書かれています。しかも自力脱出を超えて医者の助けが必要な目安なども書かれていて、軽症のうちに一度読んで味わっておくと「うつ耐力」がたかまりそうな感じのする一冊でした。

実は妙に鬱々とした気分が続き、さらに潰瘍ができたりしていることもあり手にした本なのですが・・・巻末の「ペックうつ評価尺度」とかで自己採点してみると、期待に反して?まったく「うつ」じゃない。ということは単なるうつ気分ということなのでしょうか・・・じゃあ、この身体症状は何だ?

とは言うものの・・・単なるうつ気分、まっとうなうつ、医者や薬が必要な本格うつ、さらには気分は生きいきしているのに頭痛や吐き気の身体症状のみが現れる仮面うつ病・・・うつは症状も療法もいろいろ。症状の区分や治癒の傾向と対策は一筋縄ではないということなんでしょうか。(2007.1.28)
by c_mann3 | 2009-04-12 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆続、うつとの会話・・・あれこれ

ふたつ上(にスクロールしたところ)の記事と合わせてお読み頂きたいのですが・・・
日頃は叱咤激励が飛び交う職場にあっても鬱懸念の人が現れると「叱咤」は問題外、「激励」さえも避けるべきであり、会話は“受容、オープンリード、リフレクション”が肝要だとのこと。
ですが一方で海外ではまた違った対処の仕方をしているといった情報も目に付きます。

▼まずはカナダの話・・・
以前、朝日新聞のbe欄での「うつ」に関する記事で気になるフレーズを発見しました。

カナダに本部があり、うつと闘うNPOの日本代表、山口律子さんの紹介記事なのですが、その中で・・・
“「うつ病の人を励ましてはいけない」というのは日本だけではないでしょうか。むこう(カナダ)では患者をうまく励まして、ともに闘っていくという姿勢です。”と・・・

これって、何かすごく示唆的な言葉ですよね。接する際はオープンリードとリフレクションなどといって固唾を呑み見守るだけではラチがあかない場合もある。状況にもよるのでしょうが、もう少し激しい言葉や心の絡み合いがあっても良いような気もします。

▼さらに英国の場合・・・
先日12/19のNHKスペシャル、「うつ病治療 常識が変わる」では英国のカウンセリング風景が紹介されていました。

英国では2007年以降、国を挙げて抗うつ薬中心の治療から認知行動療法をベースにした心理面からの治療に切り替えたとのこと。
鬱が懸念されると病院に行く前にまず近くの診療所の心理療法センターでカウンセリング(無料)を受けるのですが、その風景が紹介されていました。
日本のカウンセリングでは傾聴重視が基本となるのでしょうが、ここでは結構ハードな会話が繰り広げられていて少なくともオープンリードといった雰囲気ではない。着地点を見立てて会話を誘導し答えを強要する。そして別の見方を気づかせる。

認知行動療法は薬物療法に比べて改善率が高く、結果として医療制度の総費用も低減できるとのことなんですよね。

▼そういえばロゴセラピーといったものも・・・
認知行動療法といった言葉も無かった数十年前、フランクルの本「現代人の病-心理療法と実存哲学-」(1973)を読む機会がありましたが、この本ではロゴセラピーといった療法が紹介されていました。
生きがいを見失ってしまった人が再び生きる意味を見出すことを狙いとしたセラピーなのですが、別名“逆説療法”というだけあって本の中に出てくる臨床場面の会話はこれも結構ハードで鋭い質問がグサリと突き刺さる禅の問答に近いと感じた記憶があります。

和風カウンセリング、カナダやイギリス風、ロゴセラピーや禅問答・・・いずれも会話を通して違った認知の仕方もあるのだと気づき、変容してもらうことを狙うという意味では同じなのですが・・・心のもつれを解きほぐす会話には硬軟いろんなメニューがある感じはします。


◆となると、あらためて職場での会話とは・・・

香山リカさんの本、「悪いのは私じゃない症候群」におもしろい話が出てきます。
病院で対象を患者として扱う精神科医と、企業の中でとりあえずは健常な従業員と接する精神科産業医では立場も違うし落としどころも違うと・・・

職場での対象は荷重労働に起因し体調に変化をきたしてしまっている本格鬱から、仕事や職場に対する認知プロセスの基礎が無いままに職場に迷い込いこみ途方にくれてはいるが私生活では元気はつらつといった若者までタイプはいろいろ・・・
職場の鬱ではおそらくスキルの不足、職業観、組織観の不適切といったこともきっかけや原因になりそうなのですが、いったん病院の門をくぐると精神科診療室ではおそらく原因も結果もが心の問題として取り扱われてしまう。

今の時代、職場ではちょっと突っ込みすぎるとパワハラと誤解されかねない風潮が強まっていますが、病院に駆け込む手前の段階としての職場という臨床現場で日常的に有効な会話、OJTならぬオン・ザ・ジョブ・カウンセリングとしても使える会話とは・・・といったことが気になりますよね。(2010.3.17)
by c_mann3 | 2009-04-10 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆フランクルの・・・ロゴセラピー

フランクルというと「夜と霧」ということになるのでしょうが、実は精神療法の分野ではロゴセラピーといったことを提唱されているんですよね。

手元にある古い一冊の本、V.E.フランクル著、題して「現代人の病-心理療法と実存哲学-」。1960年代に書かれた本なのですが、“生きる意味を見出す”ことを狙いとした心理療法、ロゴセラピーが紹介されています。

身体・生理的な背景を持ついわゆるノイローゼに対して、実存的空虚、空への恐怖といったことに起因する精神的なノイローゼからの脱却を目指したもの。深層心理学的なアプローチに対して高層心理学(意識の領域?)の領域での勝負を目指したものとのことですが・・・ロゴセラピーの特徴は、

・フロイト的な快楽への意志、アドラーの力への意志に対して「意味への意志」に注目
・従って無意識といった深層心理学ではなく意識領域を対象にした高層心理学で対応
・心因性、身体因性ノイローゼに対して精神因性ノイローゼを対象にする
・それは実存的空虚、空の恐怖、平衡に対する抵抗といったものなのですが・・・
・カウンセラー室では他の療法と違って聞きたくないことを聞かされ、答えを強いられる
・だがそれは言葉による言いくるめでは無く、自身が新たな自覚に至ることへの支援
・そして、せっかく悩んでいる人を薬を使って解消してしまうのはもっての外だとも・・・

それにしても・・・ノイローゼという言葉自体が最近は使われない懐かしい言葉ですよね。多分この時代、「認知行動療法」などはまだなかったと思うのですが、それを思わせるものがあったりもして・・・数十年を経て今読み返しても感動的な一冊です。

実はこのロゴセラピー、すごく気に入っているのですが・・・ほとんど話題にならないのが不思議というか、残念ですよね。(2010.3.17)
by c_mann3 | 2009-04-08 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

  ・・・次は・・・

      ◆次は「うつの諸相」について・・・⇒⇒


by C_MANN3 | 2009-04-01 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)