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◆創造性:求む、創造性の認知構造モデル

ここからしばらくは、創造性について書き連ねたいと思います。
個人や組織の創造性、創造性のメカニズムやエモーショナルな側面・・・
話題は果てしなく広がりそうです。


◆◆◆

かつて創造性なんてものは持って生まれたもの、訓練して身につけたりできるものではないなんて言われていた時代がありました。

そうかと思うと、エジソンが発明とは99%の発汗と1%の霊感といったとか・・・これは日本人のメンタリティーに受けたようです。ひたすら汗を流して努力すれば発明に通じるというのですから・・・
ですが1%の霊感を伴わない発汗は99%の無駄を積み重ねるだけに終わります(といったばっかりにえらくヒンシュクを買ったことがありました)。ですが、99%の発汗は決して1%の霊感のご降臨を保障するものではありません。

発明は千に三つといわれたこともありました。ですがこの言葉は、どう見ても見込みがない行為に異論を唱えたとき、議論をはじくために返ってくることが多かったような気がします。997個の無駄をしてまでも取り組まなければならないほどのテーマはそれほど多いとは思えませんが、無駄を減らして発明にいたる思考の戦略が議論されることは少なかったような気がします。

そうかと思うと創造性とは水平思考、如何にいろんなことが思いつけるかが大事といわれたころがありました。いろんな会社で水平思考、柔軟思考の特訓が行われたはずですが、創造性にはつながらなかったようです。思い入れや必然性のないアイディアカードを山のように積み上げて、絞りきれずにテーマはうやむやといった風景が悪夢のようによみがえります。

こういったことを振り返ってみますと、結局のところ・・・創造性とは何か、その認知心理学的な構造モデルは何なのかと言ったことが無いままに、時代時代の流行のようにいろんなことが語られてきたのだと思います。
おそらく、水平思考も、99%の発汗説も、創造性の一部を言い当ててはいたのでしょうが、それは構造モデルの全体から見るとほんの一側面でしかなかった・・・だから、効果もなく、から回りしたのだと思います。

このあたりを確実に押さえないと、知的活動の生産性もあがらないし、ノーベル賞とまでは行かなくても技術開発の現場でのヒット率も上がらない・・・結果主義でらしき才能のありそうな人を選別するだけ、育成は打つ手が無いと言うのでは、情けない気がします。

話は飛びますが・・・オリンピックの陸上競技なんかも最近は、記録の出る構造が科学的に究明され、その知見に基づいたフィジカル、メンタルなトレーニングあってさらに記録が伸びている感じです。創造性のジャンルでも、可能性はある・・・いったいどの筋肉、どの神経を強化すると創造性は高まるのか?こうした願いに対して答えてくれそうなのが認知科学とか、認知心理学、そんな期待を感じているのですが・・・(2005.2.6)

       
by C_MANN3 | 2009-10-18 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:認知系の資料を発見。

なんとか創造性をネタに書き込みをと、ホームページを調べたり、本屋をうろうろしていると・・・創造性を認知科学的に扱ったものがいろいろ見つかってきました。

まずホームページですがピッタリのものがありました。慶応大学のHPのようで、内容的にも思っていたことと違和感がありません。
http://create.mag.keio.ac.jp/index.html

それともうひとつ東京理科大の方のHPを添付しておきたいと思います。こちらもなかなか解りやすくて包括的な内容となっています。
http://www.ed.kagu.tus.ac.jp/~j1103629/soturon7.html

・・・と言うことだったのですが、これらのHP、現在つながりません。再検索してみます。

ついでに、本も見つかりました。
題して「創造的認知:実験で探るクリエイティブな発想のメカニズム」、
森北出版(A5判 256頁 3,400円 1999年 )小橋康章訳。
原本はCREATIVE COGNITION:THEORY, RESEARCH & APPLICATIONS、
著者はテキサスA&M大のRonald A. Finke, Thomas B. Ward and Steven M. Smith,1992

詳しくは別途といたしますが、どうもポイントは・・・
● アイディアを生成するプロセスと、それを解釈し絞り込むプロセスの双方が大事
●またアナロジーとか、ワーク・モチベーションの理解といったことも重要

といったことでしょうか。今にして思うと従来の柔軟思考、水平思考はアイディア生成ののプロセスに関わっており、後者の絞込みプロセスは固有技術の範疇とか言って真正面から取り上げられることは少なかったのではないかと思ったりもします。(2005.2.6)
by C_MANN3 | 2009-10-16 13:48 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:ジェネプロアモデル

前掲の慶応大学のHPもFinkeの「創造的認知」もご推奨のモデルは「ジェネプロアモデル」と言うことのようです。

創造が“生成的(generative)認知過程と探索的(exploratory)認知過程の2つのプロセス”を経て行われること、さらにこの二つのプロセスに“産出制約(constraints)”と称する制約が作用しているというのがこのモデルの特徴であり、創造の持つ色々な側面を包括的に取り扱うことができて、技術系の私なんかの生活体験から見ても違和感のないモデルといった感じがしています。

一時期もてはやされた自由思考、強制連想といったものは“生成的認知過程”にかかわるものであり、ここをいくら強化しても“探索的認知過程”の仕上げや再調整が伴わないとゴールには到達しにくいことは経験的にも納得できるものがあります。

ところでジェネブロアモデルはgenerativeとexploratoryを合成したネーミングのようなんですが、質がよくてかつ、生産効率の高い創造性を獲得するためには実は、第三のファクター“産出制約”が重要なのでは・・・といった印象を持っています。
実際の認知実験でも使える材料といったものに制約を加えたほうが創造性が高くなる結果が得られているようですが、単に“生成と探索”の間のサイクルではなく、“生成、探索、制約”のサイクルを繰り返すことで、その人の思考プロセスがどんどんチューニングされ、その畑で有効な発明なり創造が出る確率が高くなっていくのではないか・・・制約のない世界で自由に発想するだけでは、変わったものは生成できても有効なものは生まれない。

相撲はあの狭っくるしい土俵という制約があるからこそ技が磨かれ独自の世界を構築するにいたっている。文章力を鍛えようとするなら、千文字とか原稿用紙何枚分といった窮屈な制約と締切日のなかで、気ままに思いついてしまったこと(これが生成的認知過程の産物)を読むに耐える文章に推敲する(これが探索的認知過程)ことが一番の近道ではないかということです。

ところでこのモデル、認知モデルということで1970年代以降のもののようなんですが・・・モデル自体はこれとそっくりのものを実はもっと以前に本で見た気がします。で、その本を執拗に探しているのですが・・・どこかにいってしまって出てこない。でもそのときのモデルでは、“探索的認知過程”のところがexploratoryではなく、elavorationとなっていました。これって“推敲”って意味なんですよね。この方がしっくりくるのかも。(2005.2.6)
by C_MANN3 | 2009-10-14 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:等価変換論

アナロジーは創造性を支える重要な基盤の一つであり、ジェネプロアモデルでもアナロジーは“生成的(generative)認知過程を担う要素のひとつとして位置づけられています。

このアナロジーをベースにした創造性理論の代表格として、市川亀久彌先生の提唱した等価変換論があげられます。

一見新しく創造されたかに見えるいろんなものも探してみるとそれとそっくりの何らかの先行モデルが見つかるといったことから、逆に積極的に、新しい未知の課題に挑戦する際、既存既知のものをベースにアナロジー変換していくことで新しいものを捻出するというのが等価変換論。

アナロジーそのものについては前掲で紹介した東京理科大の方のHPでわかりやすく解説されていますが、実際に創造に活用する際は、結果論としてのアナロジーだけでは済まず、何かを切り捨て、何かを付け加えなければ使えるものにはならないこともあり、提唱者の市川先生は単なるアナロジーといって片付けられることを嫌っておられました。

等価変換論は文章で表現しようとするともう一つピンときませんが、下記のホームページを見ていただければイメージがはっきりするのではと思います。いずれも市川先生の著作、「創造性の科学」NHK出版(1970)をベースにしたものです。

まずは、大阪学院大学 中川徹先生の、
http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Ichikawa010918/IchikawaET010918.html

もうひとつは、千葉県御在住のどなたかのもの、
http://www2.bii.ne.jp/~manda39/2tieF/4aideaF/ett.html#ettAn

いろいろな創造性理論とか技法論がありますが、個人的には一番のお気に入りのものです。
この先生がかつて(1970年前後に)開設されていたセミナーはユニークでした。

週一回、丸一日の半年コース。午前中は市川先生を中心にした創造性理論とか技術発達論の連続講義、昼からは毎回講師が変わるアラカルトコース。
メーカーの技術者、新製品で名をはせた中小企業の熱血社長、画家・・・いろんな方が午前中の講義にはお構いなく実践と成功体験に基ずく創造性の持論を展開するといった編成でした。一番印象的だったのは、ある画家が、真白なキャンバスから一幅の絵画を仕上げるまでのプロセスをカメラに収めて紹介されたもの。油絵なので上塗りすると色も形もどんどん変化していくのですが、その過程での御自身の心境を克明に解説され、創造プロセスに立ち向かう“人”のこころのゆらぎ、迷いと収斂といったことが垣間見える感動的なものでした。

いろんな畑でいろんな人がそれぞれの切り口で創造に挑んでいる。一見互いに無関係なようでいて、続けて見ていると背後に潜む共通項が浮かび上がってくる。
発明されるものや作品自体が何らかの先行品と類似性があるといったことだけでなく、創造行為そのものにもジャンルを超えて共通の成功要因、成功手順といったものがある感じがし始めます。

次々と熱く繰り広げられる体験談をシャワーのように浴び続けることでこちらの体にも熱いものがすこしずつ染み込んでくる・・・これがこのカリキュラムの狙いだったのかも知れません。

やがて時代を経て内橋克人さんの『匠の時代』シリーズとか、山根一眞さんの『メタルカラーの時代』シリーズ、最近ではNHKの『プロジェクトX』といったいろんな畑の創造物語のオムニバス巨編が出現し、私たちは創造現場の感動を擬似的にしろ追体験できるようになりました。
が、今にして思うとこの創造性セミナーはそれよりはるか以前の時代にこうしたオムニバス巨編がもつ効果を狙った先取り的な企画ではなかったか・・・などと思うことがあります。

たくさんの感動を吸収して自分の体温を変えていく・・・感動と理論を車の両輪のごとくバランスよく身につけていく・・・これが創造性を高めるための要件ではないか・・・

創造性を理論として扱うと抜け落ちやすい「感動」。“飛ぶ鳥を見て感動し、ならば私もと羽根をつけて崖から飛び降り怪我をした発明家がいました”なんていう例を持ち出すまでもなく、感動したからといって即自分が再演できるわけではありませんが、スポーツで言うイメージトレーニング的な効果は確実にあるのではと思っています。(2005.2.6)
by C_MANN3 | 2009-10-12 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:観点の変革と自由

市川先生の著作「創造性の科学」NHK出版(1970)は“等価変換”、すなわちアナロジーの成立する適切な先行モデルをベースに変換作業をすることで新しいものを生み出す過程を説いたものですが、これを進める際、“観点の変革、自由な観点の確立”が重要な要素となると述べています。

何に類似性を感じ、先行モデル(ベースドメイン)とするかが、等価変換の成否を決める要点であるにもかかわらず、ここのところがかなりの程度まで感性的なものに依存していることは否めません。

“ミソとクソ”は分けて考えるのが知性の通念であり、躊躇もなく両者に類似性を感じる人は少ない。“資本主義と社会主義”の違いを語る人はいても類似性に注目する人は少ない。ましてや“中央集権国家の崩壊”と、“コンピュータがメインフレーム集中処理から並列分散処理に移行”することが同じ時代潮流の中で同時進行しているなどと言ってもキョトンとされるか「それとこれは違うでしょ」といわれるのが落ち。

ですが、おそらく先行モデルにふさわしい候補は身の回りに無数にある。毎日いろんな人やものに接し、おびただしい情報が自分の周りを素通りして行っている。なのに、それが格好の先行モデルになるかもしれないとは思ってもいない。その目をくもらせているものが価値観や先入観といった認知バイアスなんだと思います。
この認知バイアスから解放されること、それが“観点の変革、自由な観点の確立”であり、より柔軟に先行モデルをキャッチし、さらにはキャッチしたものからより多くの類似性を引き出すことにつながる・・・(2005.2.6)
by C_MANN3 | 2009-10-10 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:発想の自在学と自在研究所

“観点の変革、自由な観点の確立”をいかにして身につけるか・・・・そのひとつの答えが、『自在学』かもしれません。

テレビでロボットコンテストがあるといつも決まって審査員席でニコニコしておられる森政弘先生。森先生が提唱される発想法が“自在学”、そのメッカが先生が主宰される“自在研究所”です。

効能はありそうですが、何しろ仏教をベースにしていて説明が難しい・・・ということで事例で言うと
 ・良いホースを造るには水を通すことだけを考えてはいけない。ホースは水を阻止するもの。
 ・高速で走る車の開発の要点は、走ることだけではない。高速から一挙に制動できること。

すべての機能がスムーズに発揮される完全な状態を『全機』と言うようですが・・・
全機はホースでいうなら通す機能と阻止する機能、高速で走る車ならアクセルとブレーキ、完全な人格は善と悪というふうに、互いに矛盾する機能を平然と含んで成り立っている・・・ということのようです。

確かにホースにしろ車にしろ一方にとらわれて開発を進めても全機が達成されるものにはなりそうにない。

ところでこうした内容を反映してか『自在学』のセミナーもユニーク。都内のとあるビルの一室が自在研究所。そこでほぼ月一回、一回数時間のペースで10回程度がセットになったコースが開かれていますが、研究所の中はふかふかのカーペットでそこに円座を組んで座り込み先生の講義が始まります。
東工大の先生ということでロボット工学の話が中心かと思いきやほぼ8割程度が前述の禅問答にも似た談議、セミナーの回を重ね、やがて場所を変え都内の某禅寺で座禅を組むところまでこぎつけるとこのコースもほぼ終了と言った塩梅です。

仏教については、その中でもとりわけ難解な『唯識』が中心。第六識とか、阿頼耶識といった言葉がポンポン・・・
15年ほど前、機会があって参加したときは禅や仏教には興味はあったものの、唯識の知識がまったく無かったため戸惑いの連続でした。
最近になってひょっと唯識の本をちらちら読むようになって・・・あ~、そういうことだったのか・・・などと、まことにもったいないことをしてしまいました。

☆森先生執筆の参考文献は・・・
  ・ホースや車の話は・・・「人がいい人」は「いい人か」、佼成出版社(1993)。
  ・セミナーの概要は・・・「頭の自遊自在学」、講談社(1993)。何回目かのコースの速記録のようです。(2005.2.6)


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★なお唯識については《ユング・・・》コーナーにも関連記事が数件あります。
by C_MANN3 | 2009-10-08 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:錬金術と創造性

さて、創造性のメカニズムは客観的、分析的に見ていくと「創造的認知」で解明されつつあるロジカルな世界となるのでしょうが、四苦八苦して創造性を搾り出す当事者の側から見るとまた違った風景となるような気がします。

“捉われない自由な観点の確立”、これについて自在研究所の森先生は「唯識」を引き合いに出していますが、同じく重要なポイントである“集中、のめり込み”に思いをはせたとき、わたしは「錬金術」とか「能動夢」といったユングの世界を思い浮かべてしまいます。
“捉われない自由な観点”と“集中し、のめり込み、こだわる”ことは一見、相反する概念のようでいて、創造性を構成する車の両輪のような対概念といった感じを持っています。強いて言うと“集中し、のめりこんで捉われる状態”の極限を経て、ある瞬間に弾けたように広がる“捉われから解放された自由”の世界・・・これが創造の瞬間なのではないか。

質的な変化をもたらす創造は化学反応に擬えることができ、化学反応では自由で平穏な常温常圧下よりも、高温高圧下でよりドラスチックな反応がおこりますが、“集中し、のめり込みむこと”は自身を高温高圧化に追い込むことと同様の作用をするようです。

錬金術の世界・・・ただただ黒いだけの素材をすりつぶし坩堝に入れて火加減をし、とろりとろりとかき混ぜて突如現れる「真っ白な状態」、さらに続けると極めてまれにではあるがたどり着く「金色ないし赤い物質」、これを金に見立てて錬金術というようですが・・・

勿論、冶金学、化学としての錬金術は近代科学を持ち出すまでもなく破綻をしていますが、錬金術師が持っていた精神世界は今も有効・・・ユングはそこに自己実現、個性化のプロセスを見ましたが、私はそこに創造性のプロセスを感じてしまいます。
そっくりな風景としてマダム・キューリーが来る日も来る日も鉱石をすり潰し分析しては捨て夜中に至る日々の中で、今日もだめだったと疲れ果てて帰ろうとし研究室の灯りを消したとたん闇夜に鈍く光るバナジュームの輝きを発見・・・これぞまさしく錬金術師が追い求めていた情念の世界なのではないか。手先は無心に作業を続けていますが、意識がそこに集中している隙に意識という名の覆いが薄れた無意識の世界から何かが沸きあがってくる。この湧き上がってくるものに導かれてきらりと輝く瞬間にたどり着く・・・創造性は意識と無意識の境界領域で起こる精神活動なんだと思います。

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この創造性談議というか雑感、「創造的認知」と言った一見科学的なアプローチからスタートし、唯識、錬金術といった怪しげな話に持ち込んでしまいましたが・・・前掲のFinke著「創造的認知」でも最後の数章はここで述べた創造性の持つエモーショナルな側面を扱っています。勿論表現は異なります。いわく“洞察、固着、孵化、直感、メタ認知”・・・そうしてこうした領域もうまく考察と認知実験を組み立てていくことで認知科学的に解明していくことができると・・・

認知科学の今後の成果については興味津々ですが、成果が出たからといって自分の想像性が急に向上するわけでもないし、その日まで待つこともできません。唯識であれ、錬金術であれ、創造性を刺激できそうなものがあるならその言葉のシャワーで自身の心身を暖め続け、一種のイメージトレーニングで体内にあるかもしれない創造性を搾り出すのも一法!と言ったところでしょうか。(2005.2.6)


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★なお《ユング・・・》コーナーにも「錬金術」「能動夢」についての関連記事があります。
by C_MANN3 | 2009-10-06 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

◆創造性:エジソンとテスラ

先日大停電のあったニューヨーク市を管轄する電力会社は「コン・エジソン社」、その昔大停電のあったカリフォルニアの電力会社は「サザンカルフォルニア・エジソン社」というように米国では“エジソン”の名を冠した電力会社がかなりの数に上るようです。米国で始めて発電、送電のシステムを開発し事業化し始めたのがエジソンということに由来するものですが・・・実は彼が発明したものは“直流による発電と送電”、ところが現在世界中で実際に使われているのはこの後、テスラが発明した“交流による発電と送電”です。

先日、このエジソンとテスラのすざましい戦いを紹介したテレビ番組が放映されていました。題して「大発明王エジソンの闇!イジワル、強欲、偉大な男の素顔!」

数千の発明に輝くエジソンの発明品のひとつが何と、死刑執行用の電気椅子。なんでこんなものを発明したかというと、テスラの推奨する“交流電力”が、人を感電死させる危険なものであると世間に訴えるため。

テスラはもともとエジソンの下にいて、エジソンの推進する直流系より扱いやすい交流系を発明し提案。ですがエジソンには受け入れられず、執拗に繰り返すエジソンの意地悪、傲慢、強欲に耐えかねてついに離脱。やがてテスラがスポンサーを得て交流電力の事業を推進し始めると、エジソンはあらゆるネガティブキャンペーンを張ってこれを妨害。

b0050634_145371.jpg衝撃的な番組でしたが、この話は“創造性”から見てもいろいろと興味深いものがありました。
ひとつは“直流VS交流”の戦い。前掲の“答えの形”と言った観点から見ても興味深いものがあります。
これに匹敵する現代の戦いというと・・・世界規模で起こっている“マイクロソフトのウィンドウズ VS リナックス”でしょうか。そういえばマイクロソフトにもExcelはLotus 123の系統のパクリ(ちょっと表現が悪いか?)、ブラウザでは抱合せ販売でのnetscapeの突き落としと、結構ネガティブな側面がありますよね。

もうひとつ気になることは、“創造性に秀でた人”の“人格、性格的特徴”ということ・・・

昔から強い創造性を示す人の人格特性についてはいろいろな調査結果がありますが、ガフのCreative Personality Scaleでは“強い自我、利己主義、自信家、因習にとらわれない・・・”等18の項目が正の因子とされているようです(組織心理学、林伸二著p74)。
これはあくまで性格傾向であり、このスケール得点が高い人が創造性が高いということでは決してありませんが、結果として創造性が高い人にこうした性格傾向があることはなんとなく納得できるものがあります。強い自我、追い求めるもののためにはすべてを利用しつくしてもなんとも思わない利己主義、邪魔なものは徹底的に叩いてでも第一人者でなければ気がすまない功名心・・・こういったネガティブなエネルギーが、創造プロセスの突破力、持続力として作用していることは考えられます。

意地悪、傲慢、強欲、なりふりかまわぬネガティブキャンペーン・・・エジソンにあこがれる子供の夢をぶち壊しかねない話ですが、発明、創造に限らず、強い達成動機を支えるものは時としてこうしたネガティブなエネルギーなのかもしれません。(2005.2.6)

(2009/1/26追記)
こうしたエネルギーを発揮する人をもう一人発見・・・アップルを率いてMac、iPod、iPhoneを開発したCEO、▼スティーブ・ジョブズ氏もかなりの方のようです。
by C_MANN3 | 2009-10-04 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)

  ・・・次は・・・

      ◆次は「答えの居場所」や「図形化表現」等について・・・⇒⇒

           これも創造性にとっては重要なファクターです。


by C_MANN3 | 2009-10-01 00:00 | 組織心理学の心象風景 | Comments(0)