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◆放送大、感動の講義:分野別収納室◆


◆放送大、感動の講義:区分別の印象記◆

区分けの境界はあいまいですが、スクロール上下で各区分も見て頂けるということでご容赦を!

心理学系科目の印象記

◆交通心理学('12)

心理学は認知科学や脳科学の発達により基盤が益々確固たるものとなる一方、それを適用する領域も益々広範囲になりつつあるようです。そうした様子は◆心理学概論('12)でも網羅的に紹介されており、教育、臨床、産業、組織、意思決定、消費者行動と広範囲な領域が扱われています。ところがもう一歩進んで個々の領域をさらに詳しく学ぼうとして科目を探すとどういう訳か臨床、教育関連の科目ばかりが目立っていて、ちょっと物足りない感じを抱いていました。
そこに現れたのがこの◆交通心理学('12)です。この科目ではテーマを交通に絞り、事故発生のメカニズム、その心的要因と交通システム側の問題、安全教育や今後の交通システムへの提案的言及へと展開されていて・・・まさにこんなところにも心理学が活躍するのか!と思わせてくれる感動の科目です。臨床だけが心理学じゃない、これからもこうしたいろんな個別領域の心理学が科目編成されるといいのですが・・・

◆認知行動療法('14)

上述の◆交通心理学('12)の話とよく似た言い回しになってしまうのですが・・・
ますます複雑化するストレス社会にあって、病める人への臨床心理学はよって立つ原理としても手法としても益々多岐にわたり発達しているようです。そうした様子は◆心理臨床の基礎('08)でも網羅的に紹介されていて、精神分析、ユング、クライエント中心、認知行動、遊戯等、多岐にわたる療法が扱われています。ところがもう一歩進んで個々の療法をさらに詳しく学ぼうとして科目を探すと、どういう訳か精神分析やユング、クライエント中心療法的な科目ばかりが目立っていて、ちょっと物足りない感じを抱いていました。
そこに現れたのがこの◆認知行動療法('14)です。深層心理を云々せず、行動主義や認知理論をベースにした即効性のある療法とのことですが、これが独立科目として出現したことで放送大学の(臨床)心理学科目群もやっとバランスが良くなったのでは!等と僭越な事を思いながら講義を楽しませて頂きました。ともあれ、こうして時代の要請や学術の進展に合わせて科目群が新陳代謝していく誠実さは放送大学の大事な魅力の一つではないかと思っております。

▼組み合せ受講:ユングとフロイト・・・

◆精神分析とユング心理学('11)と、◆心理カウンセリング序説('09閉)・・・この二つはいずれもユング派の講師とフロイト派の講師のお二人によるコラボレーション科目です。目の前で両派の流儀が展開されるのでその特徴、違いといったことがくっきりと浮かび上がってくる効果は抜群です。
私自身はユング好きだったこともありフロイトについてはあまり本も読まないままに過してきたのですが、この両科目を受講して、目の前で展開される両派の微妙な違いに触れ、理解が一歩進んだ気がします。また講義の中で用意されているご両人の座談のコーナーでは更によく両派の雰囲気が出ている感じがしました。
なお、◆心理カウンセリング序説('09)については既に閉講され、現在はほぼ類似、同題の◆心理カウンセリング序説('15#)としてリニューアルされていますが、どうやら新版では講師が更に一名増え、その方がロジャーズ派ということで、カウンセリングの世界の多様な雰囲気が更によく判りそうな雰囲気です。できれば私も復習を兼て再度聴講してみようかなと・・・

◆乳幼児心理学('12)

三ヵ月の赤ちゃんは視力が0.1で、すでに色の識別が始まっているが青の認識は遅れる。五ヶ月ぐらいから物理法則の概念を理解し始め、六ヶ月では数を認識し1:2程度の開きがあれば大小を区別する・・・えっ!どうしてそんなことが解るの?と思いますが、この講義では視線観察、脳波、光トポグラフィーといった観察手段と巧妙に仕組まれた実験法で次々と明らかにされていき、まさに感動の連続です。
ところでこうした言葉が話せない赤ちゃんの認知機能を解明していく手法は、同じく言葉がつかえない動物の認知能力を解明する領域で始まったとのこと。ならばと動物を研究対象とする ◆比較行動学('11) も追っかけて受講しましたが、確かにヒトの赤ちゃんの発達プロセスが更によく理解できた感じはしました。

▼組み合せ受講:ライフステージの臨床心理・・・

人生には各ライフステージごとに固有の課題や悩み事がある。放送大学ではそうしたステージごとに◆乳幼児・児童の心理臨床('11)◆思春期・青年期の心理臨床('13)◆中高年の心理臨床('14)とセットが揃っています。乳幼児~は孫の姿を、思春期~は自分のかつての姿を、そして中高年~はまさに今の自分を思い浮かべながら受講するとなかなか臨場感のあるシリーズとなっています。
そして各ステージの背景には生涯発達論が横たわっているのでしょうが、それは◆発達心理学概論('11)で下準備をするということで・・・
後はこのシリーズにさらに、(今の所受講を決めかねてはいるのですが・・・)◆死生学('14#)を付け加えるなら、まさに“ゆりかごから墓場まで”の心理臨床が揃うことになります。

錯覚の科学('14)

錯視だけが錯覚ではない。記憶、思考、経済行動、悪質商法への引っかかり、社会認知・・・あらゆる場面で人は思い込みによる錯覚に支配されている・・・そしてそのことにより、たまに弊害はあるが、ほとんどの場面で思考を節約し効率よく生きていけるのだと。
心理学で扱う広範囲な領域をなんと“錯覚”の2文字で説明し尽くしてしまう、ミラクルな講義なのですが、もしかしたら心理の森羅万象がたった2文字でからめ取ってしまえそうな気になることも、それ自体が見事な学術的イリュージョン(錯覚)なのかもしれません。

 社会・産業系科目の印象記 

▼建築、都市、環境デザイン論・・・

古今東西の建築空間、都市空間を味わい深い切り口で分析しながら篤く明日への展望を語って頂ける感動の講義◆環境デザイン論('09閉)があったのですが、残念ながら閉講に・・・ですがその後続に新たな講師陣も加えて◆産業とデザイン('12)が開講されています。こちらでは建築、都市空間だけでなく商業デザイン等も包含した総合的なデザイン論の科目となっていて、前作に劣らず感動的な講義となっています。
なお講師は違いますが、建築や都市空間の快適性とエネルギーの関係に的を絞った課目、◆都市・建築の環境とエネルギー('14)も今の時代の要請に即した感動の講義です。

◆エネルギーと社会('11*閉)('15)

まず最初の2011年度版“エネルギーと社会('11*閉)” はまことにお気の毒な科目となりました。テキストも配布済みでいよいよ4月から開講という直前の3.11に関東大震災、そして原発事故が勃発。原子力発電に関する事項が随所にあるこの講義はあちらこちらに“事故の前に編集されたものです”との断りテロップを入れてのスタートとなりました。
実は原発以外の部分については広範囲な事項が分かり易く解説されている興味深い講義内容だったのですが、原発事故の経緯や被害の甚大さが毎日のニュースで流れる中で、原発擁護の論客、K教授の講義を受講申請する気にはなれず、抜本改訂版を待つことに。
そして出たのが ◆エネルギーと社会('15)、今回は講師も変わり、今もなお国論の別れるエネルギーミックスの話には深入りせず、エクセルギーの概念等を駆使したエネルギーの根本的、基礎的な科目に変身しています。その分難解な熱力学の数式も出てきますが、今回は受講しようかと・・・
 自然科学・情報系科目の印象記 

◆生命分子と細胞の科学('13)

テキスト、放送映像共にわかりやすいイラストがふんだんに用意されていて最先端の生命科学の雰囲気が味わえる貴重な科目です。ただカタカナやアルファベット略号の専門用語が容赦なく連なっているため、受講に際しては事前に何冊かの関連本を読むとか、一部重複する内容のある◆生物界の変遷-進化生命科学入門-('11)を先行履修しておくといった準備をしておくことが無難です。また並行して類似内容のスクーリング授業をいくつか渡り歩くといったこともお勧めです。
手間と根気はいりますがこうして何重にもいろんな切り口の本や講義に接して専門用語になじみができ始めると、そこにはあまりにもよくできている生命メカニズム、そしてそれが微に入り細に入り解明されつつあることへの感動がたっぷり味わえる世界が広がっています。
 歴史・生命・思想等、その他の科目の印象記 

◆文化人類学('14)

レビ・ストロースをはじめ、文化人類学者の言説はいろんな場面で引用されていて接する機会が多いのに、肝心の“文化人類学”の本は読んだことがない。それはまずいんじゃないかと思っていたこともあり、新設されたこの講義を受講することに。
するとやはり勝手に想像していたこととは異なり、文化人類学はもはや未開の地だけを相手にしているわけではない。現代文明の真っただ中の経済活動、地域紛争、大災害の復旧プロセスなどが文化人類学特有の切り口で研究対象となっていることがよく判りました。
文化人類学は社会科学全般の広範な領域に影響を与えているとのことですが、その一つが歴史学。◆ヨーロッパの歴史Ⅰ('15)ではなんと歴史人類学といった切り口での歴史解明が数章を割いて講義されています。文化人類学を受講されるならぜひ合わせてご受講を・・・

ロシアの政治と外交('15)

この講義ではゴルバチョフの時代から現在までのソ連邦、連邦ロシアの政治と外交が迫力ある語り口で紹介されていきます。
ゴルバチョフ、エリツィン、プーチン、それぞれが熱い思いを持って颯爽とデビューし、突き進み、そして(プーチンはいまだ進行形の真っ最中ですが)挫折していくプロセスは正に壮絶な社会実験ドラマといった感じがします。
この講義はこれから受講するのですが、待ちきれずにwebで予習中。マスコミをにぎわしてきたクリミア併合やウクライナ問題に思いをはせながら受講すると立体音響が鳴り響いているかのような臨場感があります。

▼組み合せ受講:ユーラシアの歴史・・・

◆ヨーロッパの歴史と文化('09*閉)◆地中海世界の歴史('09*閉) イスラーム世界の歴史的展開('11)歴史から見る中国('13)、そして◆日本古代中世史('11)・・・相前後して一連の科目をセットで履修すると、広大なユーラシア大陸の数千年の歴史が浮かび上がってきます。歴代幾多の民族や帝国が、時代により西から東へ、中央から両ウイングへ、そして東から西へと怒涛のごとく版図を拡大し、それに加えて気候の変動に乗じて西でも東でも北方の民族が南下を繰り返す。互いにせめぎ合いながら版図を塗り替えていく様はまさに複雑に色と形を変える万華鏡の世界です。
ただ、あまりにも多くの節目の年代や帝国、民族の名称が渦巻いているため、一度や二度目を通したぐらいでは老いた頭には浸み込んでこない。ならば程よい粗さのユーラシア年代表を自分なりに書いたり消したりしながら読むと良いのではなどと試みてはみましたが、これがそう簡単にはいかない・・・ですが、一旦首を突っ込むと抜けられなくなる魅力的な世界です。

▼組み合せ受講:宗教、芸術、経済・・・もうひとつの歴史

ひたすら通史を追っかけるだけではなく、宗教史、芸術史、経済史などの側面史を合わせて受講すると歴史が更に彩り鮮やかで理解しやすいものになるような気がします。
ある時期から教会の姿がやたら天に向かって尖塔を伸ばし始めるのはなぜか、禅宗はなぜ鎌倉で隆盛を迎えるのか、そして江戸時代の藩の行政能力や民間活力(富や経営力)の蓄積がなければ、明治の西洋文明の導入の成功はおぼつかなかったのではないか等・・・もう一つの歴史が通史と互いに影響し合っていたことが解り始めると歴史はさらに面白くなる。
◆仏教と儒教('13)◆芸術史と芸術理論('10閉) ◆日本経済史('12) ・・・こうした科目はそれ自体が面白いだけでなく、そんな歴史との絡みを思わせてくれる楽しみもありそうです。

      
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by C_MANN3 | 2015-01-20 00:00 |  ・・・風にまかせて・・・ | Comments(0)