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◆組織のかたち:とどめの感動本、一冊

「組織のかたち」と称して、官僚的ヒエラルキー組織には懐疑的でやや反抗的であることを基調低音として、ニューラルネットモデルとかマトリックス組織といったことへの思いを書き連ねてきましたが・・・
実は、最近、こうした思いに頭を冷やせとばかりに思いっきり水をぶっかけられた感のある衝撃の本、一冊に出合いました。

題して「組織戦略の考え方」。一橋大教授、沼上幹著、2003年刊、ちくま新書396

この本はカタカナ組織論とは一線を画し、企業等で実際に組織をデザイン、運用する人が思いをめぐらすよりどころになればと書かれた本とのことですが、内容は・・・

★今もなお、組織の基本は官僚制組織。創造性も戦略性もよって立つ官僚制組織がしっかりしていてこそ、その上で成り立つもの。
官僚制組織の特徴はヒエラルキーとルーチンワークのプログラム。情報の洪水の中で階層的情報処理がなければ思考は停滞せざるを得ない。業務の大半を構成するのはルーチンワーク、その一つ一つはプログラムにのっとり確実、機械的に処理しなければミスが多発、時間も消耗・・・そんな状況下で創造性発揮なんて根底から無理。

★さらに、マトリックス組織が何かを解決するなんて幻想。なぜなら腹を割って話し合い、全社的観点に立ってコンフリクト解消を図ろうという気がない人に限ってマトリックス組織にしましょうなんていうケースが多い。

★マズローの欲求五段階説を信じるのは勝手だが、むやみに五段階目の「自己実現」を組織に持ち込むのは無責任。

★組織は仕事の邪魔をすることはあっても、それ自体が仕事をすることは絶対にない。

★他にも組織を疲弊させる元凶は、フリーライダー(組織へのぶら下がり、紛れ込み人間)、キツネの権力(トラの威を借りる)発生しやすく、これが組織を腐らせ始める・・・等々満載。

読み進めるとなるほどと思うことが多く、しかもまるで企業の中でのた打ち回っている人が書いたのではないかと思うほどの臨場感がある。途中で思わず著者の経歴を確認してしまいましたがどうもキャリアとしては企業に勤めた感じはなさそうなのが不思議というか流石です。

とにかく一読に値します。ということで、衝撃、感動の一冊を紹介し、“◆組織のかたち”からは、いったん抜けることといたします。(2005.2.3)
by C_MANN3 | 2010-04-04 00:00 | Comments(0)
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